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【くちコミ情報】
生き生きとした描写がみごと
私たちは当たり前のように、「イギリスにいるのはイギリス人」と思っていますが、900年前にはまだ、先住民族のサクソン人とか征服者のノルマン人などの区別がありました。それらがまざりあってやがて「イギリス人」になっていく、ちょうどその頃の物語です。イギリスという国の成り立ちについて興味のある方は、ぜひ読んでみてください。 p この物語はランダルという犬飼いの少年が紆余曲折をへて騎士になるまでの成長のドラマです。故郷と呼べる場所にたどりつき、あるじに忠誠を誓い、友情を知り、敵と闘い、大人になっていく過程に、読む人も自分の人生を重ね合わせることができます。また、当時の騎士の習慣や荘園の生活、風俗などが細かく描かれていて、その頃の人たちはこんな暮らしをしてたんだ、と想像しながら読むのもおもしろいと思います。 p 児童文学ということになっていますが、大人が読んでも十分楽しめる作品です。
少年の成長と友情と涙の物語
時代は、有名な12世紀のノルマン・コンクエストのすぐ後の話である。ヘイスティングの戦いでエドワード王を破ったノルマンディー公ギヨームは、ウィリアム1世と名前をかえ、イングランドの王位に着いた。物語は、彼の死後、王位継承をめぐって行われる彼の息子たちの戦いの前後に始まる。 犬飼のランダルは、人が嫌な気分であれば蹴っ飛ばされ、鞭で背を叩かれるという境遇で、精一杯、楽しく生きていた。ところが、ある日、城主の馬の頭にイチジクをおとすという失敗で、ひどい目にあおうとする。 そこへド・ベレーム公のお抱え楽人エルルアンが、チェスの戦いで勝利し、ランダルを救い、連れて行く。そして彼の信用できる相手にランダルを預ける。 エルルアン「楽師というのは不安定な身分!!ですしね」 ランダルは、違う土地で物事を学び、最終的には先住民族の墓のあるディーンの土地で騎士の侍従という地位とベービスという親友を手に入れる。 人の目から逃れるように生きてきたランダルが、欲深い騎士チボーからディーンを守るために勇気をふりしぼって駆け引きする姿は感動モノである。 ディーンの城主エベラート・ダグイヨンは「お前の歳であんなに恐ろしい相手を敵にまわすなんてはやすぎるぞ」と叱咤しつつも誉めてはもらうが、それが、結果的に彼に数々の悲劇と運命をもたらすことになる。 これはランダルの成長の物語である。少年が大人になり、そして大地と結びついて、所領をもつ騎士へと続く道程の物語だ。 サトクリフの作品は、「ともしびをかかげて」「第九軍団のワシ」等が高い評価を受けてはいるけど、僕の中では最高傑作はこの作品である。 小学生の頃に初めて読んで、もう何度読み返したのかわからない作品である。児童文学に分類されるけれど、読み返すごとに、ブリテン島の文化を学ぶごとに、感動が深まっていく作品だ。
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【くちコミ情報】
アクイラ一族の五百年に渡る永い歴史物語が今幕を開ける・・・
紀元前1世紀頃、ローマ本国より若き騎士階級(本来は騎乗の出征兵を出せるほど裕福な商人階級を指す)の若者が本国ローマよりブリテンへ百人隊長として赴任した。彼の名は、いるかの紋章を家紋とするマーカス・アクイラ。かれはゴール軍団付属第四大隊の大隊指令として、初の指揮を取り、やがてドルドイの反乱に出会い、ケルトと闘い足を負傷、軍団を名誉除隊することになる。同じくブリテンの基地指令として現地除隊していた叔父のもとで静養中、ハドリアヌス防壁の彼方、カレドニア(スコットランド)の地で、かって父が副団長兼主席上級大隊長として指揮をし、全滅したと伝えられるヒスパナ第九軍団の軍団旗である「ワシ」の飾りが部族の守り神になっているとの噂を、叔父の親友の軍団長からきくことになる。マーカスは部族出身の奴隷で、親友となったエスカとともに、防壁を超えて、長く辛い「ワシ」探索の旅に出るのであった・・・。この話しを少年の頃に読み、大人になり塩野七生の「ローマ人の物語」の中で、紀元前117年に第九軍団がブリテンの防壁の奥で壊滅したとの史実の記載を見たときに、「ああ史実だったんだな・・・」と深いため息が出た。こののちもサトクリフ・ローマンブリテン4部作の中に脈々とアクイラの子孫たちが、その指にいるか紋章の指輪を嵌めて登場しては歴史の闇へと消えてゆく。最期の子孫、騎兵十人隊長のアクイラが、西ローマ帝国の崩壊を防ぐため、ブリテンを去る軍団を抜け、滅びさるブリテンの王朝へ忠誠を誓い闘い行くまで・・・永い物語の開幕です。
サトクリフの最高傑作
英国の作家ローズマリー・サトクリフによる、ローマン・ブリテン三部作の第1作。 p 主人公の若きマーカスは、ローマ軍団の百人隊長として、軍人としてのキャリアを開始する。青雲の志をもって、ローマ軍人であった亡き父の背中を追い始めたマーカスであったが、ブリタニアで戦闘中に負傷し、軍人としての未来を閉ざされてしまう。目標を失ったマーカスは、軍籍を離れると、ブリタニアに引退していた叔父の元に身を寄せる。ここ南ブリタニアの町カレバで、マルクスは叔父アクイラ、少女コティア、そしてマーカスの奴隷となったエスカらに見守られ、人生の目標を求めつつ、新たな生活を始める。やがて彼は、エスカとともに父の死にまつわる秘密を解明すべく、冒険に乗り出した。 p サトクリフが多くの作品において扱ったテーマ -少年が困難や挫折を乗り越えて、大人になってゆく- を、この作品も追求している。彼女の作品が、歴史世界を舞台にしているにもかかわらず、現代の我々の心にも強く訴えかける理由の一つは、我々の誰もが人生において直面する問題を扱っているという点であろう。しかし、それだけではない。彼女の物語の主人公は、夢をそのまま叶えたりはしない。どんなにあがいても解決できない(おそらく永遠に)問題や、取り返しの付かない出来事と向かい合った主人公が、それでも人生をひたむきに生き、人生を肯定する力を自らの中に育んでゆくのである。夢は破れるのである。安易に夢の実現を語らないサトクリフの醒めた視線が、彼女の作品に強力なリアリティを与えている。このリアリティこそが、我々の心を揺り動かす秘密である。 この作品は大人にこそ読んでもらいたい。 p
判りやすくて深いです
自分の生き方を持っている脇役達にあって、これから新しい生き方を探さなければいけない主人公マーカスがいろいろ考えるところがいいですね。 p サトクリフの本はイギリス史を扱ったものなので児童書としては敷居が高い面がありますが、この本は青年の冒険談というスタイルなので入っていきやすく、お勧めです。
青年の挫折と成長
古代イングランドがローマ帝国の支配下にあった頃。マーカスは戦傷により軍人生命を絶たれてしまう。そんな彼に、かつて霧の中で消息を絶ったローマ第九軍団の探索の話が持ち込まれた。危険に満ちた北の辺境への旅がはじまる。 p 「ともしびをかかげて」「銀の枝」へと続くサトクリフのローマ物の第一作です。 p 運命のいたずらにより、それまでの目標を失った若者。サトクリフの作品に繰り返し登場する主題です。彼は冒険の旅を通じて周囲の人間との絆を再認識し、新しい自分自身を見つけて帰ってきます。 p 一人の青年の物語でありながら、一方で歴史の大きな流れと個人とのつながり・無限に続く人間の未来への賛歌を描き出しているところが、サトクリフのすばらしい点ではないでしょうか。
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【くちコミ情報】
美しい!
アラン・リー画伯のオールカラー・イラストに惚れ惚れ。 物語はイリアス+α、トロイア戦争の発端から決着までのダイジェスト版といった趣ですが、わかりやすく端正な文章(juvenileにつき)に惹き込まれ、一気に読み通しました。 これでこの価格なら、買い!でしょう。 ペーパーバックですが、けしてチャチな造りではありません。 英語で書かれた読み物とトロイア戦争周辺のギリシア神話に興味のある人(特に中~高校生)には、最大限にお勧めします。 本家 Iliad の修辞過多な長セリフの応酬にゲンナリした人にも(笑)
アラン・リーのファンなら画集の代わりに
古典中の古典、トロイア戦争のサトクリフによる再話です。 この本は指輪物語の挿し絵で知られるアラン・リーの美しい挿し絵を、ほぼ全ページに渡って、フルカラーで背景にした戦記ものの絵物語です。 p 日本語訳も出ていますが、版型が小さく、縦横の比率も全く違う上、日本語と英語の文字バランスの違いもあって、このオリジナルとは全く違った印象になっています。 英文が読めなくても、画集として持っていてもいいくらい、美しい本です。このお値段なら損はないと思います。 p 星4つはやっぱり英語なので、苦しいものが…、さらに大きいので、収納がつらいかも。 これ、ハードカバーとなっていますが、私の持っている本は平綴じの大型のペーパーバックです。ハードカバー版があるとは知りませんでした。購入する方は一度確認された方がよろしいかも知れません。
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【くちコミ情報】
ブリテンをローマ軍が支配していた頃の物語。お奨めです。
面白くて一気に読んでしまいました。登場人物の名前と土地の名前の発音が分かりにくかったのですが、何とかクリアしました。 p ブリテンを支配していたローマ軍の指揮官Ma cusは、戦闘で足を負傷し、軍団を退いて叔父の元に身を寄せる。 Ma cusは、いつも気がかりだった亡くなった父の所属していた第9軍団の話を叔父の友人総指揮官のClaudiusから聞く。そして、第9軍団のワシを取り返すために、剣闘士だったEscaと共に、北の地カレドニアをめざして旅立つのだった。 p 話は、展開が早く、ドキドキ、ハラハラで進み、一気に読むことが出来ました。 お奨めです。
実話から生まれたアドベンチャーストーリ
The Eagle of the Ninth というのは金のワシの事。 古代ローマの軍隊のある部隊の象徴のことである。 戦争に行く際にはこれを常に掲げて行くのだが、近 代に入り、このワシが史実とは異なる所から発掘さ れた。 p つまり、第9部隊が北方遠征に失敗し、帰還しなかっ たにも関わらず、ワシのみが何故か帰還していると いう事になっているのである。 p そこで作者は史実に基づいたミステリと創作を重ね合 わせた。第9部隊に属していたある戦士の息子が父親の 消息を探る為、冒険に繰り出し、金のワシを敵陣から 取り戻したというストーリを考え出したのである。 p この作品は Oxfo d Bookwo ms Li a y Level 4 1400 wo ds のシリーズ。
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ギリシア旅行前の必読書
ナショナル・ジオグラフィック誌によると、ギリシア旅行には、「オデュセウス」と「イリアッド」が必読書とのこと。 そうでしょう(納得)。しかし、読もうと思っても、日本ではなかなか適切なテキストがありません。 岩波文庫で立派な翻訳が出されていますが、研究者ならともかく、旅行前に即席で情報を仕入れようとする人には、ちょっとつらいものがあります。 そこで、このサトクリフ版です。 向こうでも青少年向けに書かれたものですので、英語はやや古風な言葉が使われていますが、選び抜かれた言葉でオデュッセウスのさすらいの旅を格調高く語ってくれます。 それにしても何という苦難に満ちた旅だったのでしょう。 そして、後半では故郷に帰ったオデュッセウスが知恵の限りを賭けてかつての王位を取り戻します。 ギリシア旅行前に英語のおさらいもできます。 巻末の地図(オデュッセウスがさすらったと推測されるところ)も参考になります。 もちろん、アラン・リーの挿絵の良さは言うまでもありません。 ギリシアの当時の雰囲気がよく伝わってきます。 なお、英語ではつらい、という人には日本語訳も出ています。
読みやすいし安いから
オデュッセウスがトロイアの10年戦争から故郷に帰るまでの物語で、挿絵がアラン・リーだからお好きな人にはお薦めです(挿絵は少なめです)。よくぞここまで取りまとめたなーという感じで1日あれば読み終わるでしょう。 私は映画「トロイ」でショーン・ビーンが演じていた役なので、ずっとそのイメージで読みました。分厚くないからお部屋の場所もとりません。お薦めします。
この本を買うのはアラン・リーの絵が欲しくて
著者がサトクリフ、なんとイラストがアラン・リーという涙が出るほど 嬉しい組み合わせなのに、毎回この翻訳者には泣かされます。今回も英文直訳。 マニュアルみたい。叙事詩で読んだ美しさは感じられません。 サトクリフは名文で知られた作家と聞いています。本来はどんな調子なんだろう! といつもストレスの元になってます。 しかも、イギリス版はペーパーバックで24cm×24cmくらいの 美術館の図録のようなフルカラーの本で、イラストを楽しむための 本になっていたはずなのに。見開いたレイアウトの感じも英語版と かなり違うのも減点対象。 印刷がきれいなのと、フルカラーなのにお値段がリーズナブルなのはほめてあげます。
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心の砦を守ること
ノルマン人がイギリスを征服したことをノルマンコンクェストというのは「ロンドン」という大長編を読んだときに知った。イギリスでノルマン人の征服を受けなかったのはスコットランドと湖水地方だけだったらしい。シールド・リングと呼ばれる盾の輪を心の中に持ち結束してノルマン人に抵抗したのが、ノルウェーからイギリスにやってきたヴァイキングの子孫たちだ。かつては征服者だった彼らが次には征服される者になるこれは歴史の悲劇かも知れない。湖水地方の谷の奥で一族を指揮し戦う三人の男。族長のブーサル、アリ・クヌードソン、族長の弟でアリの養子エイキン友好関係を結ぶためにアリがノルマン人のラルヌフ・ル・メスカンのもとに交渉に行くのだが、相手は彼を虐殺して帰す。それが谷に住む人の結束を強めて「シールド・リング」という心の砦になるのだ。どんなにシールドリングの秘密を強迫されても誰も自白しない、そういう鉄の結束。30年間その結束を守り、最後の戦いにノルマン人を追い払う。少数の部族で、地理を生かして敵をおとしいれる知恵を働かせたのがビョルンだ。竪琴弾きの養父ハイトシンから竪琴のわざを引継ぎ「剣の歌」を歌う彼は、いるかの紋章つき指輪を引き継ぐものだった。湖水地方というとピーターラビットの故郷でナショナルトラスト発祥の地。なだらかな丘とたくさんの湖の美しい土地に荒々しくて粘りづよい戦いの歴史があったとはおどろきだ。他者に征服されることを潔しとしない人々自分たちの生活を守り抜こうとする人々の心。それは土地を昔のままに守り抜こうとするナショナルトラストに引き継がれているような気がする。この地で飼われていた羊の毛を脱色せずそのまま使ってヴァイキングの旗にオオガラスの絵を刺繍する場面があたあれはポターさんが飼っていたハードウィック種の羊なのだろうなと思ったし、ノルマン人を撹乱させた「どこにも行かない道」がもしか今も残っているのかもしれないと勝手に想像している。族長ブーサルの名前がバターメア湖の名前で残っているというらしいから。ビョルンが戦いの後に歌うあらたな始まりの歌。心に砦を持ったものが引き継いでいく新しい歌 いい終わりかただ。
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