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【くちコミ情報】
いろんな贈り物
タイトルからは物語の内容が想像できなかった。 最初短編集かと思って読み始めたが、各章毎に独立はしているけれどもひとつの物語だった。 作者は実際にHIVのホームケアワーカーとして働いていた経験からか、その方面の描写がリポートを読んでいるようにリアルに感じられた。かと言って、無味乾燥な印象ではなく、淡々としながらもじんわりと心の中に染み込んでくる。後半に来ると、主人公の思いが伝わってきて胸が熱くなる。 すべての章で何かしら贈り物が表現されている。贈り物にもいろいろあるものだなぁと思った。こんな風に思いやりひとつをとっても贈り物と考えると、毎日が少し楽しくなるような気がする。
生きていることが恵み、それが贈り物
すべての短編が"The Gift of 〜"で統一されていて、題名はThe Gifts of the Body。 一番好きな場面はThe Gift of Skin「肌の贈り物」の最後。もう動けなくなった患者の体を洗った後、シーツを体に掛けようとしたところ、「彼が片手で私を制した。『まだ掛けないで』と彼は言った。『空気がすごく気持ちいい。空気を肌に感じていたいんだ』」。 しかし、世話をしていた人たちはすべて死んでいく。しかし、最後には体の贈り物を感じるし、別な贈り物も感じていたと思う。 gift。どこか宗教的なものも感じて、キリスト教の意味を探ってしまう。ギリシア語ではχαριτοs(カリストス)。リデル・スコットの辞書で引いてみると、最初に出てくるのはthanksgiving, f ee giftだった。
文学作品というより、ノンフィクションに近い
著者は、終末期のエイズ患者を看護する仕事に従事していたということで、その経験がそのまま話になっている。であるから、小説というよりも、ノンフィクションに近いような感じである。英語は極めて平易だが、文章はあまりうまくない。例えば、No one wanted to hi e someone to sleep ove the e so when Joe and Miss Kitty stayed ove Connie didn't a gue.のように、話し言葉をそのまま英文にしたようなところがあり、接続詞や句点の使い方が曖昧で、部分的に読みにくい。上記の文章は、普通ならこうなるはずだ。No one wanted to hi e anyone to stay ove the e, so Connie didn't a uge when Joe and Miss Kitty stayed ove the e. 口語的表現も多く、平易とはいえ、あまり英語学習などには向いていない。あくまで、著者の、経験に根ざした、AIDS患者との繊細な心の交わりを味わうべき作品である。とは言え、Edを描いたThe Gift of Mo ilityなどは、一編の作品としても十分いける。
シンプルなのに深い。
エイズ患者のホームケア・ワーカーが体験した話を、11編に渡って短編集風に綴ってあります。 事実のみが語られ、著者の感想や装飾は一切ありません。 それなのに、こんなに感動させられる、考えさせられる作品には滅多にお目にかかれないでしょう。 p 末期のエイズ患者のヘルプ、相当重い内容ではありますが、エイズという病気を他に置き換えてみても、病んでいる患者とヘルパーの話だと言うことを置いておいても、人として基本的なことを、単純なことを見直す機会を与えてくれる作品ではないでしょうか。 p 英語もそれほど難しくなく、文体も非常にシンプルなので、英語に自信のない方でも比較的読みやすいと思います。
非日常の日常
無駄のない文章ってこういうことをいうのだろうか。 話としてはエイズ患者の支援をしているヘルパーの日常。 相当重い話であることは間違いないのだけれど。 それを一切の無駄を省き書き連ねている。 p そして、こういう状態で日々を過ごしている人たちがいることも教えてくれている。 病んだ人とそれを支援する人。 残り少ない時間をそれぞれの人がそれぞれの過ごし方をしている。 p ここにもコミュニケーションがある。
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【くちコミ情報】
父親を失って青春を終える
自伝的連作短編集。レズビアンであることに目覚めること、父親との関係、そんなことが淡々と語らる。淡々とだけれど、けっこう心に爪あとを残すような語りでもありますね。さりげない、煙草をめぐるエピソードなんか、ちょっときます。ブラウンの家族はみんな喫煙者なんだけれど、吸う煙草が違う。ブラウンは母親といろいろな煙草を試したときも、別れて出ていった父親が吸っていた煙草だけは吸わなかった。煙草のエピソードが重いのは、なおも両親とも健康を害して亡くなるなるという、その背景にそれが暗示されているということ。そうして、ブラウンはやがて青春を終える。 「家庭の医学」で母親を看取ったブラウンが、ここでは父親にも焦点を当てているっていうのがポイント。
お気に入りの小説になりました。
煙草を吸う人々がいいです。煙草を吸うことで、なんとか人生をまっとうすることができた。煙草なしでは、生きられなかったのだ。ということをモチーフに両親のことを語っています。多かれ少なかれ、みんななにかに病的に依存してやっと生きているという事実に気がついたりします。ガールスカウトだの病院のボランティアだの「生真面目」ともいえるモチーフの物語もでてきますが、それがかえってこの人の文章だとクールなんです。「なんか辛いなぁ」という時に読むと、ほっと一息つけるかもしれません。
涙すら許さない、確固たる文体
”youth”というと、通常は青春時代、もしくは10代(teenage)のころなどを指すようですが、今回は若干事情が異なるようです。 ここでの”youth”は、両親が亡くなるまでのことを指すのだと考えてみてはいかがでしょう。 p この本では、両親との、必ずしも楽しかったとは言い難い思い出の数々が、その他の幼い頃のエピソードとともに綴られ、最後に両親の死と、両親から語り手が受け継いだ(相続した)性格についての叙述が加えられます(本の中ではInhe itanceというタイトルの章が設けられています)。 この過程をもってして、「若かった日々」の終わりと考える。 僕はそのように受け取りました。 p 文体はとても静かで、さっぱりとしていながらも(入り組んだ構文になっていない)、力強さを感じます。 もちろん、英語なので、僕の語学力では細かいニュアンスまでは汲み取れないのですが。 p 他の作品、"The Gifts of the Body"、や"Exce pts f om a Family Medical Dictiona y"なども、基本的には”the end of youth”と同系列の物語と考えていいと思います。 "The Gifts of the Body"は、死を間近に控えた人たちの世話をするホームヘルパーの話。 "Exce pts f om a Family Medical Dictiona y"は、重病を患った母親の身の回りの世話をしながら、息をひきとるまで見守る話。 p 淡々とした文体が、いたずらに涙を誘うことはありません。 筆者の断固とした態度が、ずっしりと染みわたってきます。
家族って…
自分の身を削るように言葉をつづる人がいる。そんな文章に久しぶりに出会った。本書は著者の体験が色濃く反映された短編集だ。 厳格な祖母との愛憎半ばする関係に束縛される著者の母親は、夜中に大声をあげて目を覚ますことがある。それを目の当たりにしていたわたしも、実は自分も母親と同様に暗闇が怖く眠れず苦しむ。そんな自分と母親の脆さを再確認する「暗闇が怖い」。母と離婚した父を訪ねていくと、父はいつも軍人であったこと、悲惨な闘いを生き抜いたことを自慢したがる。だがわたしは、それが全部嘘であることを知っていて、さらに父の自尊心と強がりがわかるからこそ嫌悪感を覚える。父と娘の哀しい葛藤を描く「魚」。ほとんど年下の女の子ばかりのサマーキャンプに行った私は、夜に散歩しているカウンセラーの女性に声をかけられる。彼女は規則を押し付けるカウンセラーではなく、人間として話をしてくれた。同性への愛の目覚めを描く「ナンシー・ブース、あなたがどこにいるにせよ」。手や足といった両親とそっくりなからだの一部分をじっくり見たとき、ふとした仕草や癖、話し方などが両親とそっくりだと気づいたとき、わたしはいまもどきっとする。こうした受け継いだものへの愛憎を繊細に描く「受け継いだもの」など。 「魚」を読んだとき、胸がぎゅっとなるようなせつなさに襲われた。「わたし」は、嘘をついている父が嫌なのではない。自分自身にまで嘘をつこうとする、父の弱さを見るのが嫌なのだ。そんな「わたし」の複雑な想いと父娘の微妙なすれ違いが、魚釣りという行為を通して描かれている。また、「受け継いだもの」では、両親が自分の体の中に息づいているという感覚や、どんなに離れていても、どんなに愛し、憎んでいても、「自分はその人たちの肉と血をわけてもらった」という感情の入る余地のないシンプルな事実を描く。それをこんなに説得力のある言葉でつづれるのはすごいと思った
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ちょっと手ごわい愛の物語
レベッカさんの本を読むのは5冊目くらいですが、これはちょっと手ごわい本でした。(おそらく)同性愛と思われる著者の心の傷、その記憶を直接的に、物語的に語るのではなく、詩的な文章で刺繍を縫うような手つきで語っていきます。英語そのものはそんなに難しくないのですが、柴田先生訳で読んだ方がより深く読めるかも。
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