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   Paul Auster の売れ筋最新ランキング   [2008年09月07日 13時57分]
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カスタマーレビュー数:1

Book Description
ポール・オースターの『Man In The Dark』は、各地で紛争が絶えない世界の多くの現実をテーマにした優れた衝撃的な小説

72歳のオーガスト・ブリルはヴァーモント州にある娘の家で、自動車事故で負ったけがから回復しつつある。書評家であった彼は夜に眠れないとき、忘れたい記憶を頭から追い出すために、さまざまな物語を考えている、その記憶とは最近の妻の死、そして孫娘の恋人タイタスが無残に殺害された事件だ。
ブリルはイラクで戦争をしているアメリカではなく、内戦のさなかにあるアメリカというパラレルワールドを想像する。その別のアメリカでは世界貿易センターは倒壊しておらず、2000年の大統領選挙の結果によって国家の分裂が起こり、州が次々に連邦から脱退して血なまぐさい内戦が勃発しているのだ。夜も更けていくうちにブリルの物語は次第に強烈なものになり、必死に避けている思いは、かえって語られたがっているかのように消えてくれない。ブリルは明け方にやってきた孫娘に徐々に心を開き、自分の結婚生活についての話をする。孫娘が寝入った後、彼はついに勇気を奮ってタイタスの死にまつわる心に受けた深い傷と向き合う。
熱い感情が込められたショッキングな『Man In The Dark』は、まさに私たちの時代の作品といえる。私たちに夜の闇を突きつけるともに、おぞましい暴力が起こりうる世界にもごく平凡な喜びがあることを称える本だ。

くちコミ情報
As the weird world rolls on.
オースターの最新作。 最近の作品の雰囲気が好きであれば入り込めるかと思う。 小説内小説、構造的実験、衒学的な会話、前面に押し出された政治性、 そして暗い闇に覆われた世界にも一筋だけ差し込む希望。 小品だが、昨今のオースターのエッセンスがつまっている。 前作がややとっつきにくかったのだが、今回は文章も最後までよどまず、 非常にストーリ性の高い作品に仕上がっている 語り手は頭の中で小説を描き、孫娘の恋人を襲った悲劇に思いをはせる。 小説内小説もかなりのできだが、小説の白眉は後半の孫娘とのやり取りだろう。 悲劇を乗り越えること、希望を見出すこと。 暴力で覆われた世界でこの先も生きようとする意志の力が伝わってくる。 O acle NightやB ooklyn Folliesあたりだろうか、 暴力に叩きのめされ絶望している人間がいる。 だが結末にはそこからの脱出や解放が描かれ、ほのかな未来への展望が開ける。 希望を描くといっても単純なハッピーエンドではない。 そこには必ずそばに、密着するように絶望が張り付いている。 B ooklyn〜のラストの、あの象徴的な9.11テロの予兆の描写のように。 オースターはこの世界に暴力的なものがはびこっていて、 それが決してなくならないことを書き続けているし、これからも書くのだと思う。 そして同時にこの世界で生きる人間が、ほんのわずかでも生活の中に希望を見出し、 前へ進もうとする様を書き続けるのかもしれない。 初期作の迷宮的世界ももちろん好きだ。 だが今の少しセンチメンタルなオースターもいい。



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¥ 1,844(税込)
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通常24時間以内に発送
ジャンル内ランキング:6,261位  
カスタマーレビュー数:2

Amazon.co.jp
NPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)のニュース番組「Weekend All Things Considered」との共同企画。現代アメリカ文学の第一人者の選による、NPRの人気番組に寄せられた話をまとめた短篇集。日常のできごとがいかに人の心を打つかを教えてくれる。

ポール・オースターとNPRの「Weekend All Things Considered」がナショナル・ストーリー・プロジェクトを始めたときの反響はすさまじいものだった。月に一度の番組は好評を博し、応募作品は驚異的な数を記録した。誰にでも何か語ることがある、ということらしかった。

『I Thought My Father Was God』は、その中から180人の人たちの、実際にあった話をまとめた傑作集だ。それぞれの話は、性別も年齢も、バックグラウンドも、歩んできた人生も異なる人々の身の上に起こったできごとである。しかも、それぞれに42の州の特徴がよく出ている。作品の多くは、日常生活の中の意外なできごとを、簡潔に生き生きと描きだしている。また、暮らしの中の1つのできごとに焦点を絞っているものがほとんどだ。年に1度行われるクー・クラックス・クランのパレードで、メンバーの1人の愛犬が歩道から飛び出し、町中の人の注目が集まるなか、飼い主のマスクをはずしてしまった話のように愉快な話もあれば、オレゴン州ポートランドで、白いニワトリが意図に基づくかのごとく道路を歩き、ポーチの階段をぴょんと上がってドアをノックして、すました顔で家の中に入っていく様子を目撃した女性の話のように、不思議な話もある。

思わず笑ってしまうような失敗談や、胸が痛くなるような事件、死にそうな目にあった話、奇跡的な出会い、信じられないような皮肉な事件、何かを予感した話、悲痛な話、夢の話など、この本に収録されている話は設定も時代も題材も驚くほど幅広く、めったに見ることのできないようなアメリカ人の心の奥底をのぞかせてくれる。


くちコミ情報
I Thought My Father was God
・渋い本です。昔の思い出などが短編でつづられてます。 ・個人的な思い出が多いのではじめはどうかなと思うのですが、だんだん引き込まれてしまいました。 ・全米からの葉書を採用しており、小さい頃○○で、何十年後には○○だったとかいう話が多いかも。 p ・おばあちゃんに嫌いな豆をお金上げるから食べろといわれて、吐きそうになりながらいやいや食べて、その後、お母さんにお金のために食べられるなら愛情のためなら当然食べられるでしょといわれて一言も言い返せなかったなどのエピソードが延々と続きます。
もうちょっとがんばってみようかな。
この本は、もうちょっとがんばってみようかな・…と思わせてくれる一冊です。「奇跡」なんて言うとちょっと陳腐に聞こえるかもしれないけれど、奇跡ってこういうことを言うのかなぁと実感してしまう、一冊です。一つ一つがとても短いお話になっているので、なんとなくブルーな気分になったり、イライラした気分になったりした時には、好きなお話を選んで読んでみると、ちょっと気持ちが楽になりますよ。


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カスタマーレビュー数:6

Publisher Comments
生命保険のセールスの仕事から引退したネイサン・グラスは、家族とも疎遠になり、癌治療後の不安に満ちた状況にある。「静かに死ねる場所」を探している彼は、「ブルックリンを勧められた」。しかし、ブルックリンを拠点に創作活動をしているポール・オースター(『Oracle Night』)が書いたこの生き生きとした小説の主人公は、その代わりに、魅力的な人々があふれる活気ある心優しい地域と出会う。それらの人々には、大学を卒業したもののタクシー運転手をしながら魂の安らぎを探求するネイサンの甥のトムがいる。トムの9歳になる物静かな姪は、たった一人でトムの家を訪れる。情緒不安定な母親に連れられてではなく、だ。それから、『緋文字』の贋作原稿を売ろうと計画している派手な書籍商もいる。彼らの人生とかかわるうちに心が癒されていくネイサンの姿を描きながら、オースターはアメリカ文学における「聖域」という主題について深く考えていく。ホーソンやポー、ソローなどが、ピカレスク小説の要素にロマンティシズム、南部ゴシック、ユートピアへの憧憬を織り込みながら築いたテーマだ。オースターはドラッグクイーン、不遇なインテリ、汚いスプーンを出すウエイトレス、中産階級など、この地域に暮らす多様な人々に温かい視線を注ぎ、ブルックリン橋を照らす月に詩を捧げる。本書の中心に浮かび上がってくるのは、ブルックリンの最初の詩人といえるウォルト・ホイットマンの魂といえる。オースターが優雅に自由気ままに展開していく物語は、感傷に陥らない程度の十分な陰りをおびていて、説得力をもつ。本書は愛情をこめて描かれた、人間の魂の最終的な安らぎの地として町の姿だ。

くちコミ情報
9.11以降、「言葉」と「人生」について書くということ
 暗鬱としたミステリー・ストーリーに、文学者達への敬愛(=ホーソン、ソロー、ポー、ジョイス等)と「言葉」を巡る苦悩と愛、ブルックリンへの思いが凝縮して込められた作品。こういったところは、いつものオースターらしい小説だと言えますね。言語コミュニケーションの限界を論理学で証明しようとしたヴィトゲンシュタインへの軽い言及なんかもされながら、9.11とブッシュ J .への批判なんかも忘れない。この情報量とネタの的確さは相変わらず大したもんだと思います。  ただ、この小説は他の彼の幾つかの作品とは読み応えが違うところもあります。例えば、「偶然の音楽」等のハードなカフカ的世界に比べてずっと救いがある点。家庭関係が壊れきった登場人物達(=多くは微妙に血が繋がってたりする)が奇妙なご近所・共同生活を行うところとか、壊れた恋愛や家庭のエピソードがこれでもかと語られつつも、一方で幾つかの心温まる恋愛エピソードがさりげなく挿入されたり。そして、ラストの「そこはかとない希望」が見えるところが他に僕がこれまで何冊か読んだ作品と違っています。  "One should neve unde stimate the powe of ooks."   この文だけ引用すると、なんか妙に肩に力が入ったポジティブさのようにも感じるかもしれませんが、この一節が、9.11の悲劇と重なってラストで語られることを鑑みると、この意識的なポジティブさはしみじみ来ました。翻訳不能な言葉遊びも冴えてるので、いつか日本語訳が出ても原書で読んでみることをオススメします。
心が温まる再生の物語
冒頭では、元保険セールスマンの何とも寂しい状況が淡々と語られる。 癌で健康を損ない、妻との家庭生活も破綻し、リタイアして今は仕事からも 身を引いている。でも、ふとしたきっかけから、長らく没交渉だったおいと 友人として再び付き合い始めると、新たな世界が広がってゆく。 静かに展開するストーリーの見事さもさることながら、登場人物の描写も 秀逸。また、登場人物たちは文学や政治まで、作中で様々なテーマについて 議論を展開するが、その内容も興味深い。 中でも、「Hotel Existence」のくだりは、幸せなせつなさで一杯になる。 魂の避難場所とでも言うべきか。後半、物語が大きく展開する契機とも 大きく関係している。 こうしたストーリー以外の部分も、この作品を読む醍醐味だと思う。 誰が読んでも楽しめるが、特に大人にお勧めしたい。心が温かくなる。
これがブルックリン!
彼の新作が出るのを待っていたので、書店で見つけた時は小躍りしてしまいました。そして読んで見て、期待通りの作品で物凄く嬉しかったです。会社を退職したちょっと悲しいやもめのオジサンの話で、細部が全部アメリカで日本とはいちいち違うんですけど、何故かいちいち共感出来ます。出て来る人物のことも皆嫌いになれなくて、何となく応援したくなって。いつも通りの程よい緊張感に溢れた透き通るようなオースターの文章のせいでもあるんだろうけど、それ以上に彼のその文章の積み重なったこのノベルには何かがあるのでしょう。ブルックリンの片隅できちんとバランスしている「読後感」。それこそがこの作品の価値だと思います。オースターを読んで見たいな、と思っている人にはちょうど良い導入作品になるかもしれません。お勧めします。
面白かった!
この作者の作品はO acle Nightに続いて2作目だが、こちらもとても面白かった。というよりは本作品の方が全体に明るい作品でより楽しめた。 物語は主人公の元保険外交員のNathanが妻と別れ、一人死に場所を求めてB ooklynに住み始めるところから始まる。当初はすることもないのでぶらぶらしているのだが、甥のTomとばったり出会うところから突然物語が動き出す。Tomの雇い主のHa y、妹のAu o a、その娘のLucyと次々と登場人物が増えてきて、一つの出来事が次につながり物語は思いもよらぬ方向へと進んで行くことになる。 各々の人物の造形も見事で、辛い過去を持つ人が幸せをみつけたり、何の不自由もないと思われた人が突然不幸になったりと実に目まぐるしい展開となり、最後までまったく飽きることなく一気に読んだ。英語も実にわかりやすく、それほど長くないので、原書に挑戦したい人にもお勧めしたい作品だ。
「ムーン・パレス」並。
ムーン・パレス以来のオースターの悲喜劇。 オースターの文学的テーマは「偶然のリアリズム」とでも言うべきところにあるが、彼のテーマが最も幸福にストーリーと結びつくのは悲喜劇というスタイルのようだ。 前作「O acle Night」は三重の物語構成にしろ、そのストーリー展開にしろ、かなりサスペンスじみていて、いただけなかった。 前々作「The Book of Illusion」も、さっぱりする終わり方であるものの、悲劇が物語の通奏低音となっていた。 今回の作品、「The B ooklyn Follies」は、そういう意味ですごく救われる、失われてしまっていた家族の回復の物語となっている。 たとえ2001年9月11日、午前中のブルックリンの風景で終わるこの小説の悲劇的な続きを、全ての読者が知っているにしても、読者はこの物語を「ムーン・パレス」と同じくらいに好きになるだろう。


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くちコミ情報
ワールド イズ ラブ
非常に面白いストーリー。 おもしろい展開だけど、おかしくないか?と言うツッコミはない。 なぜだろうか。 青春は、そして人生は、多かれ少なかれ必然の偶然がある。 それを作者が絶妙にそしてパワフルに作品に送りこんだからだと思う。 そして誰もが青春をしっているから。 雨は決して降り続けることはない。 そして点と点はつながる。
衝撃・感嘆・そして沈思黙考に至る
現代日本にとっては極めて現代的な内容である(のではないだろうか)。 とくに、耽美的であり虚無的な20代の青年には、その衝撃はかなり大きいのではないだろうか。いつか読むべき本ではなく、『今』読むべき本だと思う。
絶品
この小説は初めて最後まで読めた小説だった。ポールオースターの美しい言葉や表現でドンドン見入ってしまった。やはり絶品の小説だった
卵の落下
もう読んで何年かになるが、それでも時々思い出すのが、主人公が台所で卵を落とす場面である。おそらくオースターの実話だからだろうが、困窮する生活の中で大事な卵を落とす深刻さが本当によく書けていた。ことばから何かがイメージできるなど幻想に過ぎないが、この卵の落ち方の生々しい物質性は、その幻想を信じる気に十分させる。
生きていかなきゃいけないのです
そういう物語。 息している限り、息がある限り、私たち人間は生きているのです。 長い物語のあらすじを描くと総てが見えてしまうのはこの作者の作品の特色です。 なので作品に関しては何も言えないわ。 息があった事を、主人公に祝福。 生きていてよかったね。 命あってのものだねだ。 過去は捨てればいいものだもの。


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カスタマーレビュー数:3

Book Description
A man pieces together clues to his past?and the identity of his captors?in this fantastic, labyrinthine novel

An old man awakens, disoriented, in an unfamiliar chamber. With no memory of who he is or how he has arrived there, he pores over the relics on the desk, examining the circumstances of his confinement and searching his own hazy mind for clues.

Determining that he is locked in, the man?identified only as Mr. Blank?begins reading a manuscript he finds on the desk, the story of another prisoner, set in an alternate world the man doesn't recognize. Nevertheless, the pages seem to have been left for him, along with a haunting set of photographs. As the day passes, various characters call on the man in his cell?vaguely familiar people, some who seem to resent him for crimes he can't remember?and each brings frustrating hints of his identity and his past. All the while an overhead camera clicks and clicks, recording his movements, and a microphone records every sound in the room. Someone is watching.

Both chilling and poignant, Travels in the Scriptorium is vintage Auster: mysterious texts, fluid identities, a hidden past, and, somewhere, an obscure tormentor. And yet, as we discover during one day in the life of Mr. Blank, his world is not so different from our own.

くちコミ情報
独特な世界に惹きこまれる
ポール・オースターの作品は結構読んでいるが、いつも本当にうまいなあと感心してしまう。本書では記憶喪失の老人の男性が、見慣れぬ小部屋で目を覚ますところから始まり、その老人の一日が描かれている。 通常なら全く興味がわかないテーマで、多分著者がオースターでなければ絶対読まないと思うが、いざ読み始めるとちょっとしたイベントの連続に知らぬ間にこの不思議な世界に引き込まれてしまう。そして最後まで読み終わるとこの話は一体何だったなのだろうと考えさせられてしまう。 個人的にはこの前に読んだThe B ooklyn Folliesの方がわかりやすくて好きだが、本書の方がオースターらしい作品だと思う。英語は簡潔で読みやすいし、何と言ってもペーパーバックで100頁強と薄いので、原書に挑戦する人にもお勧めしたい。
うーーーーん
ポールオースターの大ファンの私。この本は初めて「どんどん惹き込まれ」ず(!)に読みました。(O acle Night, The B ooklyn Folliesはまだ読んでいません。)途中でなんども休み、挙句に途中でほかの本を読んでしまったほど。 いつものように文章はとてもきれいで理知的なのだけど、主人公のおかれている状況のあまりの「静」、何より彼自身のマインドの動きの小ささに、退屈してしまいました。途中から彼が読む物語とその続きを彼自身が考えるあたりからは動きが出てきて興味深いのですが、同時に本の終わりに近づいて、そしていつものように不条理のまま終わるんだろうな、という悲観がもたげてきて、案の定、「こんなのアリ?」という気分にすらなる終わり方、と感じました。 私の読解力不足かもしれないので、ほかの方のレビューを楽しみにしています。
短いけれど、大変な作品です。
短いお話です。しかし大変な作品だと言っていいでしょう。どこの誰だか分からないおじさんが、どこだか分からないところにあるお部屋にいて、何が何だか分からないうちに一日が過ぎて行きます。次々と現れる正体不明の男や女…、な、なんだ、これは? という展開なのですが、その「謎解き」の手がかりとなるものを把握するためには、オースターの過去の作品を全部読破して置く必要がありそうです。でも、幾ら世界的な作家だからって、こんなことしちゃっていいのでしょうか? 「当然、俺の本は全部読んでるよね?」ってなノリで一冊出しちゃうなんて。これはもしかしたらオースターの大きな挑戦なのかも知れません。私自身、ファンの一人としてその挑戦を受けて立つ為に、再度全部彼の作品を読み直してから、もう一度、そしてその時は深く深く丁寧に、この作品を読み込んでみたいものだと思っています。


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ブリルはイラクで戦争をしているアメリカではなく、内戦のさなかにあるアメリカというパラレルワールドを想像する。その別のアメリカでは世界貿易センターは倒壊しておらず、2000年の大統領選挙の結果によって国家の分裂が起こり、州が次々に連邦から脱退して血なまぐさい内戦が勃発しているのだ。夜も更けていくうちにブリルの物語は次第に強烈なものになり、必死に避けている思いは、かえって語られたがっているかのように消えてくれない。ブリルは明け方にやってきた孫娘に徐々に心を開き、自分の結婚生活についての話をする。孫娘が寝入った後、彼はついに勇気を奮ってタイタスの死にまつわる心に受けた深い傷と向き合う。
熱い感情が込められたショッキングな『Man In The Dark』は、まさに私たちの時代の作品といえる。私たちに夜の闇を突きつけるともに、おぞましい暴力が起こりうる世界にもごく平凡な喜びがあることを称える本だ。

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オースターの最新作。 最近の作品の雰囲気が好きであれば入り込めるかと思う。 小説内小説、構造的実験、衒学的な会話、前面に押し出された政治性、 そして暗い闇に覆われた世界にも一筋だけ差し込む希望。 小品だが、昨今のオースターのエッセンスがつまっている。 前作がややとっつきにくかったのだが、今回は文章も最後までよどまず、 非常にストーリ性の高い作品に仕上がっている 語り手は頭の中で小説を描き、孫娘の恋人を襲った悲劇に思いをはせる。 小説内小説もかなりのできだが、小説の白眉は後半の孫娘とのやり取りだろう。 悲劇を乗り越えること、希望を見出すこと。 暴力で覆われた世界でこの先も生きようとする意志の力が伝わってくる。 O acle NightやB ooklyn Folliesあたりだろうか、 暴力に叩きのめされ絶望している人間がいる。 だが結末にはそこからの脱出や解放が描かれ、ほのかな未来への展望が開ける。 希望を描くといっても単純なハッピーエンドではない。 そこには必ずそばに、密着するように絶望が張り付いている。 B ooklyn〜のラストの、あの象徴的な9.11テロの予兆の描写のように。 オースターはこの世界に暴力的なものがはびこっていて、 それが決してなくならないことを書き続けているし、これからも書くのだと思う。 そして同時にこの世界で生きる人間が、ほんのわずかでも生活の中に希望を見出し、 前へ進もうとする様を書き続けるのかもしれない。 初期作の迷宮的世界ももちろん好きだ。 だが今の少しセンチメンタルなオースターもいい。


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Book Description
ポール・オースターの代表作『The New York Trilogy』は、『City of Glass』(邦題『シティ・オブ・グラス』)、『Ghosts』(邦題『幽霊たち』)、『The Locked Room』(邦題『鍵のかかった部屋』)という連作的な長編小説3作からなる――いずれも、スリラーさながらの息もつかせぬペースで展開する、心をとらえて離さないミステリアスな物語だ。

くちコミ情報
三部作という名のひとつの作品。
三部作としての完成度はかなり良いですが、この本の評価が高いのは、一方で三部作それぞれが分けて製本化されていることを考慮した場合、このコストパフォーマンスは評価されるべきなのではないかということです。 City of GlassとGhostsの間に関連はほとんどなく、The Locked Roomの最後の部分で、作者はCity of GlassとGhostsについて言及します。 つまり前の二つの作品は長い長い伏線であり、すべては輪が閉じられるための言葉だったと、最後の最後で明かされるわけです。 それぞれの作品の中、最後の最後で作者が作品の中、言うなればカメラのフレームの内側に顔をのぞかせます。 City of GlassとGhostsの時には、それがすごく宙ぶらりんな感覚をもたらすために、この作品は、それぞれひとつずつでは未完成といって差し支えのない読後感を与えます。 The Locked Roomでの種明かしがあって、はじめてこの三部作はひとつの作品となるのではと、最後まで読みきり、思いました。 非常に良質な作品です。 春雨の日、外に出るのがおっくうな時にでも、是非。
人間の危さや脆さを描く初期の傑作
ニューヨークを舞台にしたこの3部作は、何れもある人物に関わる謎を探ることを目的とする推理小説のような体裁を取っているが、読み進めるにつれて実は謎を追い求める主人公の内面の変化がテーマになっていることに気がつく。 主人公は最初は職務としてターゲットとなる人物を尾行したり、過去を調べたりするのだが、次第にターゲットと自己との境目が曖昧になり、謎を探る行為は職務ではなくそれ自体が自己の存在意義と化していく。 外面からは安定しているように見える人間の心に潜む危さや脆さが見事に描き出されており、楽しく読める作品ではない。ただしそれを最後まで読ませるポール・オースターの筆力は見事であり、最近の円熟した作品とは異なる実験的な要素がちりばめられた初期の傑作だと思う。
基本です。
ポールオースターの出世作だから、押さえとくべき本なんでしょうね。この人の真髄はやはり上質の布地のような読んでいて心地よい、本当に素晴らしい文章なんでしょうが、この3つにはその片鱗が見えるものの、私個人としては他の作品の方が味わい深いように思えてなりません。しかし、この人の作品にある、読み出すと読み手の側に透明な緊張感が湧き起こって来るところはこの3篇もそのままです。
オースターの出世作
~今年の初め、たしか週刊文春で彼について書かれた記事を見て、そしてなにより写真をみていい男だな、というより、面白い小説を書いていそうな男だなと閃いて、まず出世作であるこの本を買いました。 p 一番小説らしいのは最後の"The Locked~~ Room"だけで、他の2作品は昔のATGの白黒映画を見ているかのようでした。 p 3作をとおしてのテーマは、「失踪」ということになるのでしょうが、それは後年の"Reviathan"にもつながるテーマであり、この作家の永遠のテーマなのでしょう。 p この作家の魅力は、ストーリーテリングの上手さというより(ストーリーテリングの才も素晴らしいのですが)、それぞれが~~「詩」ではないかとさえおもえるような魅惑的な文章(パラグラフ)をひとつのピースとして構成された、楽しくそして本当に奇妙なジグソーパズル状の物語にあるのだ、と私はおもっています。ストーリーというストーリーがない"City of Glass"と"Ghosts"はまさにその典型でしょう。~
初めて洋書を手にとりました。
 洋書なるものに初めて正面からチャレンジしました。 訳の解らないことは何も英字であるからと言うわけでもなく、母国語の文学の中にもあるので、「まあ、いっか。」 と言うくらいの気楽さでチャレンジ。  p  難易度的には、どうなんでしょう。 英字新聞をざっと把握できるぐらいの英語力は必要でしょうか。 私は、辞書を手元に置いてじっくり読みましたが…。 p  本人のインタビューなどを聞くと、ポール・オースターは、あらゆる事に真剣であり、ヒジョーに人間味の溢れる熱いピュアな人のようです。 まずはこの人の人間性が面白いのじゃないのでしょうか。 こういう真摯さを持ったおもしろい人は日本の作家の中にも沢山います。 p  この本においても、オースターのおもしろ感は十分に発揮されています。 一種の思考訓練のような物語でもありました。  人生における奇妙な偶然性だとか、本を読むときにはじっくりと読みつつ、距離を置きつつ読む…なんていう自分の人生においても何かのヒントになりそうなフレーズが多々出てきます。 そういうのが、うれしい。


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本書は、ポール・オースターが、「犬の視点」を通してアメリカのホームレスを描いた作品。一見奇妙な設定だが、ジョン・バージャーの『King』同様、感情に流されない厳しい犬の目を通してホームレス生活を描くことで、メロドラマ的なセンチメンタリズムに歯止めをかけた。バージャーが数人の登場人物をかわるがわる描いたのに対し、オースターはたった2人の主人公をじっくりと追っていく。まず「これといった血統も特徴もない雑種犬」のミスター・ボーンズ、そしてその飼い主であり、4年前の母親の死をきっかけにホームレス生活を始めた精神分裂症の中年患者ウィリー・G・クリスマスだ。

物語は、ウィリーとミスター・ボーンズが人探しのためボルチモアの街をさまよう場面から始まる。相手はウィリーに作家になるようすすめてくれた高校時代の英語教師。死期迫るウィリーは、飼い犬と、グレイハウンドバスのターミナルに隠してある自分の大量の原稿の引き取り手を必死の思いで探していたのだ。「とうとうウィリーはこれまで書いたことのない最後の1文を書き終えた。残された時間はもうわずかしかない。あのロッカーにある原稿の一語一語、それは彼がこの世に存在したあかしのようなもの。もしその1語でも欠けてしまったら、彼の存在自体を否定されたも同然なのだ」

ポール・オースターは、考えさせることで読者の感情を揺さぶるタイプの知性派作家である。死ぬ瞬間、ウィリーはあふれんばかりの言葉の海に向かって漕ぎ出していく。一方、残されたミスター・ボーンズはきわめて哲学的なことを考えだす。それはかつてウィリーが「ティンブクトゥ」と称した「あの世」のことだった。

ペットとしての生活が許されなくなったらどうなるだろう。いや、そんなことはありえない。だがミスター・ボーンズはだてに長生きしているわけじゃない。ちゃんと知っているのだ。この世の中、ありえそうにないことがいつだって起きる、なんでもありの世界だということを。だぶんこれもそのうちの1つなんだろう。でもこの「たぶん」ってやつの先には、ものすごい恐怖と苦痛がぶらさがっている。それを考えるたびに彼は言い知れぬ恐怖に襲われるのだった。

ウィリーの死後、1人ぼっちになったミスター・ボーンズをとりまく環境はどんどん悪化。飼い主のいない犬は数々の裏切り、拒絶、そして失望を経験することになる。犬の心の内側に入り込んだ独特の世界観を通し、オースターは人間のもつ残酷さ、めったにお目にかかれない優しさを巧みに描き出す。だが読者は思い知らされるだろう。「ティンブクトゥ」の世界が荒涼としていること、そしてときおり感じる神の恵みの瞬間さえ、長くは続かないことを。(Alix Wilber, Amazon.com)

くちコミ情報
期待通りの温かな作品
オースター氏の作品で、柴田さんの訳であれば、間違いないとは思いましたが、3時間程で一気読みしてしまい、後に温かな気持ちになりました。 本っていいなぁ、小説って素晴らしいなぁ、この作品に出会えて良かったと思いました。 小汚い犬に路上生活者の男、という社会の外れ者をこれほど温かく書けるのはオースターならでは。 語り手の設定や、ストーリーの展開も意外さがあって新鮮。 最後は、M .ボーンの幸せを強く願いながら本を閉じましたが、励まされるのは読者の方なんですね。 これから寒くなると、路上以外に住む所のない人や犬には辛い季節だなぁと哀しくなりました。
淡々と物語は進んでいきます。
ポールオースター待望の新作です。「ミスター・ヴァーティゴ」、 「最後の物たちの国で」、「幽霊たち 」と、彼の作品は大好きで すので、本書もとにかく買ってしまいました。 犬の視点から世界を眺めていきます。物語は淡々と進んでいきま すが、ポールオースター作 + 柴田元幸訳 の文章が心地いいです。 犬(主人公)にも段々と感情移入してきます。が、寓話的な感じ が本書にないのが残念でした。ここを一番楽しみにしていたんで すが・・・「犬がしゃべる最初から寓話」なハズですが、物語が 自然なので、犬がしゃべるのが全然不思議に感じられず、それが 逆に災いした気がします。 ちなみに、”ティンブクトゥ”の意味は、同時に読んでた「富の 未来」によれば、アメリカ人共通の”地の果て”だそうです。 「シューシャンクの空に」の”ジワタネホ”みたいに個人的な思 いで使っていると思っていましたが。 最後のシーンはジーンとしたので、星1つ足して、星3つです。
世界の隅っこでワン(one)を叫んだケモノ
 飼い主に先立たれた老犬ボーンズは、その後何度かウィリーとの放浪生活からは想像もつかない「犬的に」豊かな飼い主に出会うのだが、どうしてもそこに居つくことが出来ない。常に主人としてのウィリーに思いを馳せる(ってのも極めて人間が考える犬性に拠る)。その犬的な葛藤が僕にどんどんページを捲らせる。「おいおい、どうしてオマエはそうなっちゃうんだよ?」。。。そして最後のたったの3ページで読者は驚愕の結末に口をあんぐりと開けることになる。オースター作品の中でも最も「想像のつかない」結末だ。  これは、「愛の分配性」についてのお話である。ウィリーは何一つ持たないが故にボーンズを唯一無二のシモベとし、最大の愛を注ぎ、ボーンズはそれに常に応えている。そのシンプルさは美しい。そして主人の死によって、「一般的な人間は多くのモノを所有し、それが故に愛=共に生きる時間を無意識に分配し続けている」という一般性の複雑さに老犬は気付いてしまう(同時に僕らも気付くことになる)。一般論として、豊かさは複雑さとの葛藤であり、その世界ではシンプルな愛の交換は得がたいものなのだ、と。  人間は、あるいは犬は、幸せを最大化するために生きていることが前提であるにも関わらず、豊かな食事も、一定時間的に優しい飼い主も、雨露がしのげる家さえも最大欲求=愛の非分配性をカヴァリッヂできないのだ。  けっきょくは人は他の誰にとっても周辺(f inge)なのだ。隅っこで端っこなのだ。つっか、実は全ての豊かな者は中心であると同時に隅っこなんだろう。そしてそれぞれがその隅っこで愛を叫んでいる。世界の中心で愛を叫ぶことができたのは、お互いを中心として捉えることが出来たボーンズとウィリーだけだったのだ。  その「気付き」のための物語。オースター作品で最も寂しく、哀しく、理解し難い幸福な結末の1冊である。
ダメ。ボクにはぜんぜんあわなかった
皆さんの評価とジャケ買いで読んでみたのですが ダメでした。 ボクには合わない。 眠いし、わからないし、退屈。 主人公の人物に共感も興味も持てない。 ジャンキーな詩人。 こういうの苦手。 最後に期待しようとも思ったのですが、 途中で断念。 読んでいる時間がつまらないし、もったいなく感じ 途中で本を閉じました。
shaggy dog story
声に出して読んでみるとよくわかるのですが、 日本語のリズムに無理がなくて、耳にものどにも心地よい。 柴田さんの和語のセンスのよさが感じられます。 物語は、冴えない男とそのペットの犬との まったくとりとめもない話なのだと言ってしまえばそれまでです。 でも、毒にも薬にもならないということは、 呼吸をするのと同じくらい、そこにあることが自然だということ。 すっかり自分の生活の一部になっているということ。 それは犬のみならず、何か生き物を飼ったことのあるひとなら、 わかってもらえる感覚だと思います。 生き物を愛する、愛される。 お互いにそんな関係でいられたらいいのに。 年を取るのも死ぬときも、いっしょだったらもっといいのに。


おすすめ度

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