米国の顧客サービス分野でカリスマコンサルタントとして知られる著者が、ベストセラーの前著『ディズニー7つの法則』に続き、本書ではドットコム企業の顧客サービスにおける「7つの法則」を提唱している。 冒頭で著者は、インターネットの「花の盛り」がすぎた現在、ドットコム企業は、商品でも価格でもなく、サービスの差別化をいかに打ち出すかで生き残りが決まる段階に入っていると指摘。しかし、実際に行われているサービスはあまりにも貧弱だと警告して、次のような例をあげている。
Webサイトのページの表示が遅い、サイト内の移動がしにくい、説明がわかりにくい、延々と入力事項の続く注文フォーム、売り手に都合よくしくまれた返品ルール、返答のない電子メール、読めば読むほど疑問がわく「よくある質問(FAQ)」…。
著者は、顧客はつねにサービスの質を他のサイトやオフライン企業と比較しており、1回でも不快な経験をすれば2度とそのサイトに戻ってこないこと、さらに、顧客満足度調査でたとえ「よい」「満足」と評価されたとしても、最高の評価でない限り、その顧客は他に乗り換える危険性があることなどを述べている。ページ表示の遅さが生む損失額の調査や、優れたサービスを行っている企業事例など、興味深いデータや事例が多数あり、非常に読みごたえがある。
「7つの法則」は、そうした前提から、顧客満足と差別化を実現する質の高いサービスの構築をねらったもので、「つきあいやすさ」や「体験の個客化」といった概念から、「トラブル対応を得意分野にする」といった指針、「印象的なデザイン」のサイトづくりといった具体的なものまで幅広くカバーしている。また、その法則を具体化する「24の鍵」を示すことで、実用度も高めている。
「最初の3回のアクセスを記憶に残るものに」など、顧客の「体験」をデザインする一連のノウハウは必見のところ。随所に出てくる米国の最新のサービス手法も参考になる。サイトの顧客離れが起こる前に、知っておきたいノウハウである。(棚上 勉)