【くちコミ情報】 「王家の谷のすべてがわかる」魅力的な1冊
1996年に出版された原書の翻訳。著者の一人ニコラス・リーヴス博士は,1990年に王家の谷の王墓に関する包括的な研究書『Valley of the Kings─The decline of a oyal nec opolis』を著している。これは大変な労作で著者の博学には驚かされるばかりだが,一般の読者にはややとっつきにくい憾みがあった。 p 本書はThames and Hudson社の「The Completeシリーズ」の第2作(ちなみに,第1作は『The Complete Tutankhamun』,邦訳『図説 黄金のツタンカーメン』原書房)。一般の読者を対象に,リーヴス博士がウィルキンソン教授と組んでその知識と情熱を惜しみなく傾注した傑作である。 p 古代エジプトにおける葬送の歴史から始まり,王家の谷の発掘者達のプロフィール,各王墓に関する発掘の歴史とそれにまつわるエピソード,王墓と副葬品の描写など,どの頁を開いても好奇心と想像をかきたてる記述に満ちている。500点をこえる貴重な図版がふんだんに使用されており(多くはモノクロではあるが),誰にも楽しめる内容となっている。 p セオドア・デイヴィスが「王家の谷は掘り尽くした」と宣言してから90年。いまだに新しい発見が毎年続く王家の谷のすべてがわかる,これはまことに魅力的な1冊である。