経済史の研究家である著者が、19世紀後半の「第一期グローバリゼーション」から、大恐慌による崩壊までを詳しく検証し、現在の「第二期グローバリゼーション」の問題点を浮き彫りにした注目の1冊。 東西冷戦終結後の90年代よりグローバル資本主義が拡大し、米国のニューエコノミー論の台頭はまさにグローバリゼーションの全盛を示していたが、一方で99年のシアトルでのWTO閣僚会議の失敗や2001年9月11日の米国同時多発テロの勃発はそれに対する軋轢を示すこととなった。
著者によると、19世紀末の世界は、資本、情報、モノ、人の移動によって経済の一体化が進み、第一期グローバリゼーションが形成された。その後第一次世界大戦による各国の利害対立の激化により、国際的協調は乱れ、大恐慌によりそのグローバリゼーションが崩壊したという。
そのグローバリゼーションの崩壊要因には、「システム自体が内包する欠陥によるもの」「社会的、政治的な反動が危機をもたらす」といった2つの説があるといわれているが、著者は3つ目の説として、人間が作り出す制度が世界の統合で生じる心理的・制度的変化に適応できないという制度的欠陥を主張している。その制度的欠陥の検証を、本書では1920年代末から1930年代の大恐慌期の世界動向に焦点を絞って行っており、なかでも関税制度、中央銀行、移民法に注目している。
20世紀には全盛であった「グローバリゼーション」は、21世紀になってからはむしろ、移民への敵意、資本規制の信奉、世界貿易の不信感などで「反グローバリゼーション」の色合いが濃くなってきている。過去の歴史を詳しく振り返ることで、この問題の行方を予想できるのが、本書の魅力であろう。(木村昭二)