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¥ 2,205(税込)
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カスタマーレビュー数:2
【くちコミ情報】
日本人の倫理観では口に出すことも不可能な研究なのだろう
正式名称テネシー大学人類学研究施設。通称「死体農場」。ひとりの法人類学者(著者)が、ある事件での死亡推定時刻の推定の判断のあやまりをきっかけとして設立されたこの研究施設の研究目的は、死後経過時間推定の科学的な方法の確立にある。 法的機関あるいは献体によって持ち込まれる死体をさまざまな条件下に“さらし”、死体の死後損傷を研究するのだが、“さらし”というのは誇張ではない。死体を屋外に放置したり、虫にたからせたり、水に沈めたり…。日本人の私には、本当にここまでしていいのか、という思いも浮かんだのだが、読み終わったときには、学者の探求心にただ頭が下がる思いであった。 ただ、本書はその研究そのものが語られるのではなく、実際に著者が法人類学者としてかかわった実際の事件の回顧録が中心となっているので堅苦しいものではない。検死や死体農場でも研究の描写も抑えた表現で書かれているので読みやすい。しかし、想像力を膨らませて読むと、当たり前だがかなりグロテスクではあるので、やはり食事前に読むのは止めたほうがよさそうだ。 日本でいえば有名な上野正彦の「死体は語る」シリーズと似ているかもしれないが、「死体農場」で行われているのは「語る」ではなく「語らせる」という点が決定的に異なっている。 作品の内容とは関係ないが、タイトルについている「実録」の二文字。小説に対する「実録」ということは理解できるが、もうチョットなんとかならなかったのか。「実録死体農場」…。帯を読まなければトンデモ本と勘違いしそうだ。
一見恐ろしそうな装丁だが・・・
この場所が一躍世界規模で有名になったのはパトリシア・コーンウェルの同名小説で取り上げられたからだという。死体に関する優れたノンフィクション「死体はみんな生きている」にも登場したし、ディスカバリー・チャンネルで紹介されもした。要するに、献体された死体を様々な状態で腐敗させ、死亡推定時刻の測定に活かすための施設(正式名称は「テネシー大学人類学施設」)の創設者の話なのだ。 とはいえ、本書の大半は死体農場に関する話ではなく、アメリカ法人類学の草分け的存在としての彼の半生を辿りながら、様々な骨の鑑定を行う話であり、一般読者に向けてか、非常にわかりやすく読みやすい本になっている。殺人事件を中心に、腐敗や虫や骨の話となれば、敬遠したくなる人も多いだろうが、施設の人気を考えると(「人体の不思議」展人気にも通じるだろうか?)、だからこそ人の興味を惹きつける何かがあるのだろう。骨に関する蘊蓄(なぜ黒人の水泳選手はいないのか?などなど、既に知っていれば別だが)も仕入れられるし、何より地道な活動に頭が下る思いがする。現在活躍しているアメリカの法医学者の多くが、彼の下で学んだという。専門的な内容を求める読者には物足りないかもしれないが、逆に多くの人に手軽に読んでもらえる入門書と言えるだろう。
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