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【くちコミ情報】
共生の思想の壮大さ
黒川紀章氏による「共生の思想」の集大成。 実際「共生の思想」に関する著書は3種類あり、最初の著書「共生の思想(1987年)」に中間領域論や聖域論が補足され、「意味の生成へ」という新しい章が追加されたものが「改訂版 共生の思想(1991年)」。さらに全体の章の構成を再編成し、これまでの文章にも手を加え、「まえがき」「二十一世紀の世界新秩序としての共生」「機械の時代から生命の時代へ」「経済における共生」「共生の条件」「アブストラクト・シンボリズム」「アジアの共生」という章を新しく追加したのが「新・共生の思想」。 本書の要約は「共生の思想(1987年)」に譲ることにするが、昨年「共生新党」を設立して政界進出を目論んだだけあって、内容の是非は別として「政策」とも言えそうな内容にまで言及されている点は、射程の広さを感じさせる。現代の建築家でここまで広範囲に論じられる者はいないだろうと思わず感心してしまう。 ただ、その思想の壮大さが実際の作品にうまく反映されていないように思うのが誠に残念・・・
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【くちコミ情報】
「都市の時代」“創造性”こそパワ−の源泉
■20年ほど前、まだ「共生」という言葉が耳慣れないとき、 この著者の考えにとても感銘を受けた記憶があります。 今またこの書に出会い、 「機械の時代」「経済性の時代」から「生命の時代」「創造性の時代」へと パラダイム(理論的枠組)転換が進む中で、 都市論にとどまらず、いろいろ貴重な示唆をいただきました。 建築家としての思索の広さと深さを感じさせる一冊です。
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【くちコミ情報】
いずれでもないもの=中間領域
昨今、共生新党なる政党をつくり政界進出を目論んでいる?黒川紀章氏の著書。 黒川氏は「共生の思想」という言葉を1979年から使用していると述べており、まず手始めに本人の言葉を幾つか紹介する。 近代主義の合理主義的、二元論的建築に対して、このような(=いずれでもないもの)中間領域を取り込み、魅力と神秘性に満ちた建築を作っていくことが、共生の思想の一つの重要なテーマである。(抜粋) 共生の思想とは、対立を含んだままで両者の関係を作り出すものである。そしてその関係は常に変化する流動的なものでなくてはならない。(抜粋) 本書のテーマは建築的内容が中心となっているが、建築を通して社会全体を広く論じようとする姿勢がうかがえ、冒頭から「タモリ」「研ナオコ」「山田邦子」「明石家さんま」「ビートたけし」の顔写真が大きく取り上げられていることからも推察できる。 近代主義を如何にして超え得るかというテーマに基づいている。黒川氏は近代社会の「工業化による普遍主義」「機能にもとづく分離主義」を批判しつつ、江戸文化の「多義性」やドゥルーズ・ガタリの「リゾーム」、仏教の「唯識論」などを参照しつつ、近代主義を乗り越える思想として「共生の思想」を展開する。 唯識論は近代主義と二元論を乗り越えるための共生の思想のバイブルになりうる(抜粋) 具体的には、「東洋には広場がなく、西洋には道がない」と指摘し、中間領域としての「道」が都市において重要であることを指摘しているのも興味深い。また、渥美和彦氏が提唱する「バイオメーション」(人間の技術であるオートメーションと生物のバイオとの混血が新しい社会の技術になるとする考え)を引き合いに出し、日本社会を「農耕社会→工業化社会→情報化社会→バイオメーション」という流れで把握している点や、通時性(時間の相対化)・共時性(空間の相対化)の導入を提案する発想からは、「代謝建築論」を提唱する菊竹氏らと活動をともにしていた「メタボリズム」的発想を強く感じる。 ちなみに、日本の建築では、桂離宮と飛雲閣をバロック的として賞賛するとともに、世界の建築家ではアルド・ヴァン・アイク、ジェームズ・スターリング、ルイス・カーンらがもつ両義性を高く評価している。 本書はすでに20年前の著作であり、当時とは社会的状況もかなり変わってきているが、「共生の思想」は今なお有効であるように思う。個人的に最近、様々な関係性に興味を抱きつつ、大乗仏教における「縁起」やアアルトの言う「遊び」という概念に注目しているということもあり、「共生」というキーワードと比較しつつ読み進めることができた。
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