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坪内 祐三(編集)
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カスタマーレビュー数:2
【くちコミ情報】
内容の問題以前
これは文芸文庫編集部の問題。 福田恆存氏が旧かな・旧漢字の擁護者であることは周知の事実のはず。即刻出版当時のかな・漢字に戻して再出版すべきだ。こういう著者の意向を冒涜するような出版のかたちはどうかと思う。猛省して欲しい。 #これは「保田與重郎文芸論集」の場合でも全く同じ。
戦後文壇闇市に現れた在野の彗星
福田恆存といえば、戦後保守主義者の大御所だというイメージが強 いが、デビュー当時は保守主義者というよりも同世代の気持ちを代弁 してくれる兄貴分的存在の文芸評論家だったという事実を知っている 人は福田恆存フアンといえどもあまりいない。 坪内祐三氏の編纂した福田恆存の文芸評論は福田恆存の業績の中で p は決して主要な論考とはいえないが却って戦後まもない頃同世代のヒ ーローとしての福田恆存のありのままの姿を浮き彫りにしてくれる。 今の視点から見れば文芸評論というよりはむしろ思索の告白小説に 近い。 この本を読んで福田恆存に興味を持たれた方は是非「人間この劇的 なるもの」までの文芸評論を福田恆存全集で通しで一読してもらいたい。 p そして読む際に色眼鏡を排してリラックスして軽い気持ちで読んでも らいたい。 保守思想、文芸批評理論のあり方以上に、思索劇のスリリングなお もしろさを実感できること、思索劇を通じての自分なりの邂逅を得る 事間違いなしである。
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カスタマーレビュー数:5
【くちコミ情報】
今でも十分通用する議論
かの有名な「平和論に対する疑問」をはじめとして、福田のエッセンスが詰まっている。 「平和論に対する疑問」は、当時は激しい批判が起きたそうだが、今読んでみると常識的なことしか言っていない。 それを考えると、当時はどれだけ左傾化していたのやら。 一言で言えば、何でもかんでも「平和平和」と叫んでいればいいわけではない、具体的・個別の問題にことさらに平和の問題をからませて複雑化させ、当の問題の解決を遅らせたりするな、平和運動をどやどややるよりも、今ある平和を享受する方がよほど平和を愛している、ということ。 筆者の論は多方面にわたっているのでまとまっていない気もするが、こんなところだろう。 ほかにも何本か平和に関する論文は納められているが、平和に対する筆者の洞察は鋭い。 また憲法についても、王道でありながら必要なところはきちんと主張・批判している。 平和の問題をはじめ、日本の近代化に関する問題、天皇の問題など、現代でも意義を失っていないものも多い。 最後に、この本が絶版になっているのは非常に惜しい。ぜひとも再版していただきたい。
素晴らしい
近代、憲法、防衛、歴史などについて書かれた評論。防衛問題は流石に古くなった観もあるが、歴史、憲法問題に対する著者の論は今でも十分通用する。今後、憲法改正議論が盛んになっていくだろうが、一体憲法の何処に問題があるのかを考察するのに十分な内容が本書では収まっていると思う。尚天皇論・国体論については科学的にも、曖昧な点が多いのも気になる所であるが、これについては、里見岸雄博士の『天皇とは何か』を薦めたい。本書は一読の価値が多分にあると思う。
若い時分にこそ・・。
何気なくふと目に付き読みましたが、普段現代について言葉にできずモヤモヤと疑問に思う事が、凝縮している気がしました。時代を感じさせない内容です。
若い時分にこそ。
ふと現代について疑問に思い悩んでいた時これを読んで、頭の中で文字にならずにモヤモヤしていたものがココに凝縮されていたと思います。時代を感じさせない内容です。
生きることのみちしるべ
軽薄な底の薄っぺらいまやかしが通る世にあって、まことを問いつづけた福田恒存氏のエッセンス。みづっぽかたり辛口すぎたり、人により味わいはそれぞれ違うでしょう。利き酒をして旨いと思ったひとは、福田氏の全集等の読了をおすすめします。ただし、政治家や政治を志す者には、政治的立場の如何にかかわらず必読の書。国会議員には二日酔いしてゲップが出るくらい読ませたいものです。
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カスタマーレビュー数:4
【くちコミ情報】
「古い」が「新しい」
福田氏の「日本への遺言」を10年ぶりに読んでみた。 以前は、日本をされに理解するため、そして海外の人間に日本を説明するために。批判精神旺盛な当時の私は、この本の読みやすさもあって、多いの影響され、外人について日本を説いてまわったものだ。 今見ると、多少抽象的な点はあるものの、今だにポイントが「新しさ」感じさせる不思議な重みを持つ。自分の成長に合わせて、新たな発見させてくれる洞察力の富む貴重な「遺言」。
保守思想。決して古く、妄信的なものではない。
福田恆存。人は彼の名前から何を連想するだろうか。保守。右翼。歴史的仮名遣い。シェイクスピアの翻訳者。などなど。いずれにせよ、旧い人として認識されているのではないだろうか。 p 無思慮な右翼が幅を利かせ、コスチュームプレイとしての歴史的仮名遣いがにわかに流行っているようだ。しかしながら、福田恆存は右翼は右翼でも、妄信的な懐古主義・復古主義を奉ずる輩とは一線を画している。合理的な手続きをちゃんと踏んでいる。その上で、安易で、欺瞞的で、自虐的な革新派の意見を退けているだけのことである。仮名遣いの問題にしても、単なるノスタルジーに由来するものではない。やはり合理主義に立脚するものである。 p 右翼は合理的ではない。そういった偏見があるようだが、福田恆存の意見に触れるたびに、それが嘘だとわかる。右翼であれ、左翼であれ、本物は必ず理にのっとっているのである。ただ福田恆存は、既成のものを理知的に評価しなおしているだけである。徒に伝統的なものを崇め奉っているわけではない。 p 福田恆存アンソロジーたる本書を読むと、あっと驚くような警句に触れることもあろう。しかし、極めて真っ当な手続きによるものである。少し古くなり、今では受け入れられないような意見もあるかもしれないが、一度は読んでいただきたい一冊である。筋を通した人の姿がそこにある。
福田恆存の思想に触れる
この本は福田恆存全集全八巻から重要な断章を選んでテーマ別に並べたものです。いきなり全集が不安な人はこの本を買うか図書館で全集にあたってみればよいでしょう。 全集に漏れた作品からも選ばれています。他の人なら酒を飲んで酔わなくては言いにくいことを僕ならしらふで発言してみせましょうという件のことです。 p この本を読んで福田恆存に興味が湧いたら全集をそろえておかれることをお勧めします。全集を読めば福田恆存の思想がおのれの血肉となることでしょう。
珠玉の言葉の宝庫ですが。
8巻にわたる全集だってある福田恒存さんの名言を、編者が選り抜き、小見出しをつけてまとめた本です。すべての言葉は、1ページ内におさまるものとなっています。福田さんの名言集ですから、深い言葉ばかりが掲載されているのは当然といえば当然です。が、いかんせん「1ページ以内に収まる量」という制約のもとでまとめられたものであるため、やや深みに欠け、原典が読みたくなってしまいます。また、小見出しも、「?」と少し首を傾げたくなるようなものもあります。それでも興味深い本であることには変わりはなく、福田氏の思想にわずかなお金でアクセスする事のできる、貴重な書ではあるでしょう。(他に『日本への遺言』『わたしの幸福論』『人間・この劇的なるもの』があります) p 私としては、はじめて!!福田恒存さんの本を読まれるという方には、この本は薦められないと思います。理由は、福田さんの思想が断片的に納められているにとどまるからです。はじめてのかたには、前述の3冊の方がよろしいかとおもいます。
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【くちコミ情報】
人殺し、それがリチャード三世。
恐ろしい・・・・。主人公リチャード三世は自分が王になるために、つぎつぎと邪魔者を殺し、ついには王座につく。ところが最後には自分も殺される。 とにかく、あらゆる手で人をおとしめ、その命を奪っていく様はまさに最強の悪役。本当に悪いやつです。舞台では、ほとんど彼の一人舞台になり、ハムレットに並ぶ大役なのだそうです。 結局は、王座に誰が座るかという大人のイス取りゲーム。
悪党の魅力
リチャードはセムシでビッコである。もちろん、このように生まれついたことに彼の責任はない。だが、世間はそれを、まるで彼のせいであるかのようにみるし、彼自身後ろめたい思いを抱いたことがあったかもしれない。彼はいわばその誕生の時に不正を加えられた。だから、健康な奴らには許されない不正を犯しても、きっと自分には許されるはずだ。ーー悪党になってやる。それも、悪の限りを尽くして、きっと王冠を手に入れてみせる! シェイクスピアにあっては、悪党たちのスケールもデカイ。しかも魅力的だ。ーーでも、どうして悪はこんなに魅力的なのだろうか? そういえば、大人たちはしばしば、オレも昔はワルだった、と言いたがるーー。 p 「尺には尺を」の中に「美しい音楽は悪を善に変え 善を悪にかりたてる」という台詞がある。前半の「悪を善に変え」はいいとしても、「善を悪にかりたてる」というのはなんだろう? たとえばヒトラーのナチスとワーグナーの音楽の関係のようなことをさしているのだろうか? p 美はしばしば私たちをあざむく、と私たちは言う。でもそうではなくて、美そのものが危険なもので、その危うさにこそ魅力がある、としたらどうだろう? 美が私たちをあざむいているのではなく、私たちのほうがそのような危険を愛する、危険でないものに美を見出さない(見出せない)としたら? p 悪を善に変え、善を悪にかりたてる美の魔法。ーー両刃の剣、の魅力。
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¥ 420(税込)
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カスタマーレビュー数:7
【くちコミ情報】
最も信頼できる者がこの上もない裏切り者だったら
ムーア人であるオセロー戦地で尽力し、ひたむきに国のために戦う義を重んじる将軍である。本書の中でオセロー自身が「戦の庭にあって石を枕に鋼の床と明け暮れしてまいった身にとりましては、今や戦場こそこよなき羽毛の寝床」(PP34 L5-7) と、語っているように人々にとって彼はまさに非の打ち所のない軍人であった。 一方このように誠実である男の人生を破滅へと導く人物として描かれているのが、オセローの旗手であるイアーゴーである。彼は、外見はオセローと同じく誠実そうで最も信頼するに足る人物に思われる。だが、実際は地位を得るという私利私欲のために手段を選ばず、妻でさえも利用するしたたかな人物である。 この物語でオセローを悲劇のどん底に陥れる鍵となる人物はやはりイアーゴーである。彼の悪知恵により、周囲の者は口車にまんまの乗せられ、悲劇が悲劇を加速度的かつ連鎖的に生み出している。とりわけ、誠実なオセローはイアーゴーの進言を傾聴し、次から次へと事実からは程遠い虚言を鵜呑みにしてしまう。それが最悪の結末を招くこととなってしまった。 この作品で私は改めてシェイクスピアの緻密な作品構成に感服した。オセローの妻への疑心、イアーゴーの策略などすべてが伏線となり、ひとつとして無駄がない。なるほど、これは起こるべくして起こった悲劇であり、他の結末などあり得ないと考えざるを得ない。
愛することを知らずして愛しすぎた男の身の上
嫉妬の悲劇。高潔で義に厚いムーア人の将軍オセローは、 旗手イアーゴーの謀略・奸智にひっかかって、優しくて 無垢な心の持ち主の妻デズデモーナが不義を副官キャシオウと 犯していると妄想してしまう。 デズデモーナの優しさと広大な愛の心に涙が止まらない。 大詰めのオセローの罪悪感と痛みも、又、悲しい。 悪のヒーローイアーゴーのキャラクターも印象的。 舞台化を意識しつつ、美しい日本語を以て訳された福田恒存氏の 名訳は読むたびに感銘を受ける。読みながら、自分が舞台に 立っているような錯覚を覚えることさえある。 声を出しながら読むことをお薦めしたい一冊である。
美しい
昔の自分なら、イアーゴーただ一人に煽動されたオセローはなんて馬鹿で単純な人だろうと思っていただろう。しかし、遍歴、そのほとんどが盲目な恋愛ではあるが、それを経た今となっては、デズデモーナという女性を心の底から愛していたオセローの気持ちが少し理解できたような気がした。恋愛している最中にもう一読してみたら、また違った味わい方ができるのではないかと思っている。
古典的火曜サスペンス劇場
誠実な男(オセロー)が悪人(イアーゴー)に騙されて、自分の最愛の妻(デズデモーナ)を殺してしまい、最後に真実を知り自殺するという物語。「クラシック的火サス」とでも言おうか。 台詞がとにかく長いが、恋愛絡みなので古典としては読みやすいほうかも…。 一般的なイメージの「演劇」像がここにある。いかめしい台詞が並び、そんなことしゃべらねーよと思わせる。ただ、これはあくまで古典なので昨今はまた違ったものも出てきている。西洋との文化的違いも関連するし。 つかこうへい氏が好きなら意外といけるかも。勝手に、想像上で登場人物を殴りつけ・蹴り付けながら読むとハマリます。
家庭悲劇
シェイクスピアの悲劇の中では一番家庭的で身近な悲劇。他の悲劇と違い、王族やその関係者ではなく軍人が主人公で、彼が部下の計略により妻に対し疑心暗鬼になってしまう。オセローの劣等感を刺激するイアーゴーの作戦は彼の心理を計算していて鋭いものがある。他の悲劇の雲の上の存在のような登場人物たちに比べ、人間らしいオセローに親近感を持つ人は多いのではないでしょうか。
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【くちコミ情報】
今の季節にぴったり
妖精の女王タイターニアと、人間の世界の恋人たちに 妖精パックが魔法をかけるが、手違いで奇妙なことになる「夏の夜の夢」と、 追い落とされたかっての王が、元の地位につこうと魔法をふるい、 その娘と、互いにひとめぼれした王子の恋が すべてを大団円に導く「あらし」 二話とも、人間の世界と魔法や妖精の世界がまじりあう幻想的な雰囲気と 登場人物たちの心情のリアルが 美しい文でしあげられています。 ちょっと強引な大団円ですが、あらしのラスト、エピローグは ちょっとした仕掛けになっていて、すごく好きです。 今の季節に読みたい一冊です。
「身の自由」とは
『夏の夜の夢』は素敵な戯曲です。四人の若き 恋人達のドラマ、妖精たちの幻想的な物語、そ して職人達の芝居修業という、三つの筋が夏の 夜の森の中で展開します。 タイターニアに仕える妖精、豆の花・蜘蛛の巣・ 蛾・辛しの種が可愛い。 読み終えると「ハーモニー」の感覚が、読者の 心を満たし、「幸せ」を実感させてくれます。 子供の頃、『あらし』の和訳を読んだ時、ラスト でプロスペローが魔法の杖を折ったことに、「何 故?」と思ってしまいました。 「昔の悪事を許された人たちが、これから翻意し たらどうなるだろう!近く結婚するミランダと ファーディナントの為にも、魔法の杖を持って いるべきでは!」等と考えてしまったのです。 今思うと、当時の自分の感想が恥ずかしいです。 プロスペローは自分の意思で杖を折った。 魔法の使い手でもなければ、妖精を自在に動かす 存在でもなく、有限な存在である自分自身を受け 入れたかったのだとしみじみ実感しました。 そこに彼が最後に求めた、「身の自由」があった のだと思います。 作者シェイクスピアが単独で書く戯曲としては これが最後。プロスペローに自己の心境を託した ことが窺えます。
妖精の信じられないリアリティー
「夏の夜の夢」にも「あらし」にも、妖精が出てくるが、 それが現実にいるかのようなリアリティーがある。そ して、どちらの話もハッピーエンドで終わるのが、う れしい。シェークスピアの目には、妖精が、魔法が、 見えたのではないかと思ってしまうほどのできばえである。
一番好き!
シェイクスピアの作品で最も好きなのが「夏の夜の夢」。 先ず、タイトルが最高に良い。何か幻想的でハッピーで、 胸を締め付けるような爽やかな甘美さを感じさせてくれる。 登場人物たちが妖精なので、多くの台詞が自然に幻想的になっており、 聞いているだけで、心ときめく。詩情豊かな幻想喜劇。 そして、そこから紡がれるふくよかな台詞が全く陳腐にならず、 見る者の心にすーっと優しく染み入ってくる。 読む度に、幸せな気分になる珠玉の作品だと思う。 チェスタトンもこの作品が大好きだったようだ。 花々の甘い風のなかに踊るキャラクターや台詞たちは、 何か抱きしめたくなるような懐かしさも感じさせてくれる。 福田恆存氏の訳は素晴らしく、 「待つ身の楽しさもあと四日、そうすれば新月の宵が来る。 かけてゆく月の歩みの、いかに遅いことか!」と始まると、ドキドキする。 「露をさがしに行かなければ、そうして桜草という桜草の耳たぶに、真珠の玉をかけてやらなければ」 「キューピッドの矢に射抜かれた紫の花の滴」 「おい、音楽だ。〜この大地のゆりかごを、そっとゆすってやるのだ。〜それ、雲雀の声が朝の歌を」 最後はパックが「ちょいと夏の夜のうたたねに垣間見た夢幻に過ぎないと」 「いずれパックが舞台でお礼をいたします」と言って消えていく。 「あらし」も良い。さすがシェイクスピア。 ただ、「夏の夜の夢」が、私にとっては素晴らし過ぎる。 是非ともオススメの宝石。
解説もくわしい
少し前ハリウッド映画にもなっていた『真夏の夜の夢』(ただし福田恒存氏は 夏至の前日という舞台設定、そしてイギリスの夏は過ごしやすい陽気であるこ とを考え合わせ、「夏の」夜の夢にしている)&シェイクスピア晩年の傑作、 『テンペスト』をおさめた文庫。 一見、異様な取り合わせにも思えるが、両作品とも、妖精が出てくるなど多少 p 幻想的なところが共通しているともいえよう。 妖精パックの手違いで、恋人たちがごちゃごちゃになってしまうMidsumme Night's D eam、そして領地を追われたミラノ公プロスペローが、自分と娘 ミランダを追いやった者たちを乗せた船を難破させるところからはじまる『あ らし』、どちらも面白く読める作品。結局、夏の夜の夢の恋人たちはあれで良 p かったのだろうかとか、プロスペロー達の和解が微妙に不完全だったり、と いうところもあるが、短くて読みやすく、基本的にはハッピーな物語である。 巻末に解題つき。但し、字がとても小さい上、ところどころブレたようになっ ていたりして、体裁上は読みにくい。
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一振りの香水の香りが あたりを漂う
高校時代の一夏に演劇をやった事がある。文化祭の一環に演劇コンクールというものがあり それの練習で夏休みを費やしたわけだ。僕の行っていた高校はかような行事が大変盛んで 授業より行事で存在感のある人が尊敬されていた。 そんな夏に 演劇コンクールのために 新潮文庫でまとめてシェイクスピアを読んだ。何か役に立つと 15歳の僕が考えたのだろう。 今考えると 15歳にシェイクスピアはちょっと荷が重かったと思う。口ではシェイクスピアが描き出した「人間の苦悩」というような話をしていたが 所詮たいした苦悩などしてきていない高校生の生意気だけであった。それはそれで青春時代のエピソードとして 今でも僕のどこかに残っている。 シェイクスピアというと まずは本作ということになると思う。ハムレットは読んだことがなくてもハムレットという名前は皆が知っている。「ハムレットの心境」とは今でも良く使われるではないか。 「To e , o Not to e. That is the question」という言葉は 映画「荒野の決闘」でドクホリディが朗読した場面での有名だ。 そうして それがシェイクスピアの凄みである。シェイクスピアの一つのセリフが出てきた瞬間に その映画、その舞台、その場面が がらりと雰囲気が変る様は良く見られる。俗な言い方をすると一瞬にして香気がただようとでも表現すれば良いかと思う。その雰囲気は 一振りの香水にも似ている。 「To e , o Not to e. That is the question」。そう それは誰にとっても 何時になっても問題なのだ。
クレメンタイン=オフィーリア、チワワ=ガートルード
ジョン・フォードの『荒野の決闘(いとしのクレメンタイン)』という映画を見ると、フォード監督は清純派よりもチワワのような「魔性の女」タイプのほうが好きなのでは?と思ってしまう。ただ、西部劇を見に来るような客というのは逆の嗜好である可能性が高い。その辺のジレンマがあの映画に出てたような気がする。ラストに「クレメンタインという”名前”は好きです」という台詞があるのは一種の皮肉かと思った。 『ハムレット』を読んで同じようなことを感じた。
シェイクスピアの作品。
シェイクスピアの作品はテーマが3つに分けられるそうだ。 それは、命、女、金(かね)。それぞれの意味は、何のために生きるか?という事で、 「命」は自分自身のために生きること。 「女」は他人(家族・恋人を含む)のために生きること。 「金」は地位や名誉・・人間以外の物品などを手にするために生きることである。 例えばこのハムレットは「命」に属する作品で、「女」はロミオとジュリエット、「金」はジュリアスシーザー、リチャード3世、マクベスなどが代表的な作品。 ハムレットの中にも「女」「金」の要素は存在するが、主人公ハムレットはそんなものには目もくれず、自分自身の宿命を背負って死ぬ。シェイクスピアの哲学は現代にも生きている。
読むべきか読まざるべきか
もちろん、読むべき。 福田恒存氏の翻訳が素晴らしい。 読み比べたわけではないが、この水準に達するのは至難の業と思われる。 臣下たちの凛々しさ、ハムレットの台詞のカッコよさ、言葉遊びの面白さなど、いろいろな要素を生かし、実に充実している。 福田氏自身の解題、さらに中村保男氏の解説と、全てが揃っている。 浅野勝美氏の表紙絵もとても雰囲気がある(なんと『皆川博子作品精華』の装画もこの方とのこと)。
伝わる情熱
私は福田先生の訳のシェイクスピアしか読んだことがないので他の翻訳のものと比較することはできませんが、非常に読みやすく、しかし格調高さをもった訳だと感じました。読んでいる一つ一つの台詞につけられた身振り手振りが眼に浮かんでくるようです。ハムレットは悲劇ですが、これを書いたときのシェイクスピアの情熱が伝わってくるようでした。他のシェイクスピアの作品や他の翻訳を読んでみたくなる良い作品かと思います。 さてハムレットは狂気にとりつかれているか否かですが、私の考えでは半々かと思います。人間の心のうちに矛盾した二つの考えがあり、その間を揺れ動くというのは自然なものです。憎しみ、恨みというものは往々にして人を狂気へと誘うものであり、しかしハムレット自身は、諸所の台詞からも伺えるように、筋の通った理性的な王子であると考えられます。それ故に彼は確かに復讐を成し遂げ、しかし意図せぬ悲劇のうちに命を落としてしまったのだと思います。 余談ですが、つい笑ってしまった箇所があります。95ページの加減をたずねた王に対するハムレットの返答です。それまで彼のおかしな発言のなかにも筋が通っていましたが、これだけは本当に意味のわからない言葉が見事に並んでいたのでつい吹き出してしまいました。「カメレオンよろしく〜」って王でなくても意味がわかりません。その前の場面で「気ちがいにならねばならぬ」と言っていたことにそって、本当に狂った演技というのがでています。
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いろいろ考えさせられます。
もともとは若い女性向の雑誌に連載されていたものを集めて本にしたものなので、福田恒存は本の中で女性、特に若い女性にむけて語りかけています。この本が加筆も経て出版されたのはもうずいぶん前のことですから、内容的には現在の実情とはあっていないな、と感じられる部分も多々あるかもしれません。若者に関して論じた部分、働く女性に関して論じた部分などに現在との違いが感じられます。しかし、それをふまえてもこの一冊は読む価値はあると思います。人間が生きていく際の、最も根本的なことに関して、福田恒存という人が私たちに伝えたかったことがかなり具体的に書かれています。 個人的に特に印象的だったのは、「美醜について」「教養について」などの章です。「美醜について」の章では、福田は誰もがなかなか口に出せなかったであろうこと、すなわち人の間には顔が美しいか醜いかということによってはじめから不公平が生じているのだ、ということをあっさりと明言します。この章によって、福田は評論家としては少々「変わった」人だなということが読者のほうに印象付けられると同時に本の中に引き込まれていきます。また、福田が最初のいくつかの章を中心に展開している宿命論は、私たちが気づいているようでいなかった自分自身の心の動き方を明示してくれ、目からうろこが落ちたような気分になります。また、もうひとつ私にとって印象的だった「教養について」の章では、頭に知識を詰め込むことと教養を身につけるということはまったく違うのだと言うことを示し、今の私たちの社会でもはっきりと存在する表面だけの学力至上主義、詰め込み主義に一石を投じます。 そのほかの章でも、個性的で面白い、一本筋の通った論が展開されています。自分は福田に賛同できるかどうか、じっくり考えながら読むと、読み終わったときには少し世の中が変わって見えるかもしれません。
突き放した中にも優しさがある
初っ端から女性の美醜による差別はあって当然という、誰も触れてはいけない領域にずかずかと入ってきて、女性は中身が大切と慰められてきた人達を突き放す。 その後恋愛や結婚、仕事感、家庭など女性が生きていく上で避けては通れない事柄についても容赦なく断言していく。 この本は今までのどの本とも違い、読者に対して全く優しくない。逆にいえば、本を買って貰うためのお世辞はいっさい抜きなのである。 だからこそ、信用できるなという安心感が生まれ、昔かたぎの優しささえ感じられる。 著者は既に亡くなっており、今のこの時代を見ていたらどんな風におっしゃるのだろうかとさえ思う。
指摘されない真実を指摘する
まず、女性向けの幸福論の冒頭、それも2つの章を割いて、「美醜について」を論じるところに、ただものではない、と言う感じを抱かせます。 「醜く生まれたものが美人同様の扱いを世間に望んではいけないということです。貧乏人に生まれたものが金持ちのように大事にされることを望んではいけないということです。‥・・」 受け取り様によっては、救いのない文章ですが、これが福田の福田たる所以です。シリアスでシビア、そしてちょっぴり皮肉屋ですが、人間を見る目は、限りなく優しい。 そんな福田の、“若人向けの生き方の手引き書”がこれではないでしょうか。 文庫本は添えられている解説も楽しみの一つだったりしますが、この本にはコラムニストの中野翠が 解説を書いています。少々きついところのある福田の文章をうまくフォローし、とっつきやすくさせる名解説になっています。
この手の本は読む趣味が無くても面白い
私は福田恆存に、シェイクスピアやエリオットの訳者というイメージしか持ってなかったが、 この本を読んで随筆家としても福田恆存は一流だと思いました。 醒めた超越者の視点があるので、福田恆存は一流である。 幸福論と言いながらも、最後まで「幸福の定義」はしない。 世界に同じ人は居ないのだから、幸福と自称する人の 幸福になる方法が別の人にも巧く適用出来る筈がない! 幸福を語ることの無意味を福田恆存は承知しながら、 不幸に耐える方法を提示する。 各々の個性に応じて素直に自然体で生きろという福田恆存は性教育も否定します。 性欲には個人差(最低の性欲を持つ者の性欲値を1とすると最大の可能性欲値は1800だそうです) があるのに、性の知識をわざわざ学校で教える必要がないと主張します。 学校やマスゴミが情報を流さなければ、恋愛欲も性欲も発生率が下がるのでは? というナイスな意見を開示します。 若者の性の乱れは、情報に踊らされているだけと、若者を馬鹿にしてます。 若者に媚びるマスゴミや学者が多くなった現代は情けないよな。 幸福とか不幸とか考える暇もなく、 ただ、ガムシャラに働くしかない人々の存在も福田恆存は認識していてビバである。 幸福になりたいとのんびり考える暇がある人は、既に幸福だと思いますw
幸福
落ち着いた口調で含蓄のある言葉で語りかける名著です。男にとって、そして女にとって 幸福とは何か考えさせられる本です。 著者は作家であり演劇も手がけ、かつてシェイクスピアを訳したこともある人物です(1912−1994)。 著者が最後に述べるように「幸福とは何か」はわからないけれども「幸福とはなんでないか」を語ることで 幸福への近道を導いてくれます。 是非疲れた時などに読んで欲しいお勧めの1冊です。
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