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カスタマーレビュー数:2
【くちコミ情報】
建築家の頭のなかをのぞきこむような
今非常に注目されている若手建築家、藤本壮介さんの(たぶん)初めての単行本。普通の作品集ではなく、シリーズ名のとおり個々の作品よりもそれを生み出す作家のより根源的なコンセプトに肉薄することを目的としているようですが、こと藤本さんのような建築家の場合この狙いは見事にはまってます。彼の建築同様ユニークでとても面白い本です。 藤本さんのテクストを真ん中にはさんで、冒頭に伊東豊雄さんと五十嵐太郎さんの各々短いが有益な二つの藤本論、末尾に藤森照信さんとの対談、が置かれた構成。藤本さんのテクストは、「……未来の建築を考えるということは……原初的な建築を考えるということと表裏ではないだろうか」という一文で始まり、藤本さん自身の考える10の「建築の始まり」が順番に紹介されていきます。それぞれの「始まり」には「巣ではなく洞窟のような」とか「5線のない楽譜/新しい幾何学」というようなやや詩的な標題と文章、そして作品の(模型も含む)写真やコンセプチュアルなドローイングなどが添えられています。 10の「始まり」は自由に浮遊するように、藤本さんの建築の世界を各々指し示しています。しかし、読者の勝手な愉しみとしては、10個のパズルピースを並べるように読み込んで、藤本建築の秘密について自分なりの答えを探すこともできそうです。 私には、藤本さんは、外から対象として把握される、いわば凸の物体としての建築ではなく、あくまでも内部からのみ経験される、凹としての空間「だけ」を作ることを夢見ているのではないかと思えました。宇宙空間のような「有限だけれども「果て(境界)」はない」空間。個々の作品の、波打つ壁に沿って延々と続く空間も、入れ子の空間も、細胞のように部屋が連続する空間も、すべてここから先は外ですよ、という明確な境界を持たない。あるいは頻出する生態系的な比喩も、森に棲む動物にとって森の「外」が存在しないも同然であるように、内側からしか経験されずしかもその外に出ることが意味をなさないような空間を指すものとして捉えられる。などなど。 追記:本書では模型やドローイングのみが紹介されている「house N」と「次世代木造バンガロープロジェクト」は新建築9月号で実作の写真を見ることができます。前者が持つ、青空が「一番上にある天井」として見えてくるような、不思議な感覚! あるいは後者のキューブがそのシンプルな形態ゆえに持つ「単位性」とでもいうのか、延々と反復することを含みこんでいるようなかたちが引き起こす無際限の感覚!
生きている建築
個人的に最も注目している若手建築家による著書。 形や技術にとらわれることなく、建築の本質を捉えようとするその姿勢には、共感できます。 建築を静的なものではなく、動的なものとして捉えているように思います。 その発想は非常に興味深いです。
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小規模な個人住宅はとりわけ戦後日本の建築家にとって重要な活動領域だった。ヨーロッパの建築家にとって住宅を設計する機会は稀であり、アメリカの建築家が取り組む個人住宅はおおむね裕福な家庭のための豪邸である。しかし日本の建築家は非常に熱心に小住宅に取り組み、驚くべき多様性を成果として積み上げてきている。 日本の戦後の住宅はさして広くもない敷地にたいていは核家族的な家族が生活する場として作られた。かなり似通った条件が与えられるなかで、建築家はそこに豊かな可能性を見出してきた。500ページを超える分厚い本書はそこにあらわれた多様性をアーカイブとして定着する試みである。日本の戦後住宅が造られていった文脈の内側から、しかし特定の建築家の個人的な意図にとどまらぬ広がりを持つ水準をそこに見出すことを通して、住宅をフィールドとして日本の建築家が展開した試みが叙述されている。 建築批評にはそれなりの基本的フォーマットと解釈のフレームがあるわけだが、本書はそうしたものに頼ることを丁寧に回避している。そうしたものは日本の現代住宅における内在的な指標とは必ずしも言えないし、そうした定石が取りこぼすところに日本の住宅建築の特質があると著者らは考えたに違いない。うずたかく堆積した実例の数々から、その特質をとらえうる言葉を発見し、そうすることで不活性な堆積を現在の建築家が活用できる資料とすること、それが本書の野心的なもくろみである。したがってアーカイブを切り分ける切り口はいくらか見慣れないものとなる。「斜面」「アウトドア」「へこみ」「隙間」、はては「住宅ならざるもの」まで、各章のタイトルとなった切断面は独特である。これで日本の現代住宅を網羅したと言えるのか疑問に思う向きもあるかもしれない。しかしたしかに定型的な分析によってそれらを整理分類することは可能だろうが、そうして腑分けされたアーカイブは解剖学的な網羅性を得るに過ぎない。それに対してここでなされていることは、この豊かな蓄積を延長し展開するための生産的解釈の試みである。そのアーカイブを活性化し、次なる試みへと差し向ける問題発見の場として、本書は現代住宅を再発見しようとしている。(日埜直彦)
【くちコミ情報】
バイブリー
塚本さんの建築や言葉がすごく興味深くて好きなので 買ってみました。 まず、サイズ、厚さ。 「バイブル」っぽいです。 塚本さん西沢さんお二人がどんな風に建築を捉えているのか 垣間見ることが出来て愉しいし、 社会的背景の中でこの住宅がどんな意味を持っていたのか、 と考えることが愉しくなりました。 また、ものすごい数の住宅作品が挙げられているので、 興味深かったものをさらに自分で掘り下げていけてよいです。 そういった意味でもバイブルです。 それでも、語り口はあくまで淡々と、 ドライ且つ鋭くて、小難しいものではないです。 単純化された図面と共に、各テーマ設定が おもしろくて、一部分だけ読み返したり、ランダムに 読むこともできます。
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