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「個性化」――『人格の全体性』という一つの目的に向かって変容し続けるプロセス
ユング心理学は「個性化」というプロセスを重視する。 「個性化」とは、簡単に言えば「自分だけに与えられたかけがえのない意味を人生に見出し、それを全うして自分らしく生きること」である。 ユングは、ライフサイクルを大きく人生の前半と後半とに分け、それぞれに異なった意味を見ている。前半生になすべきことは、必要な事柄を学んで社会的な役割を担いその責任を果たすこと、そして、生活の基盤となる親密な人間関係を築き上げることにあるという。 これは、言い換えれば、我々が普段文字通りに使っている「発達」のプロセスである。 さて、問題は壮年期以降の後半生にある。そこに狭い意味での「個性化」のプロセスが現れるのである。 それまでの人生の過程で達成されなかった部分、意識の表面に現れず無意識の中に仕舞い込まれたままになっている未分化な側面、すなわち「まだ生きられていない自分の半面」に光を当てて行くことが後半生のテーマなのだとユングは主張する。 この、本来は「全体としてある自分」の「生きられなかった」未分化な側面を明らかにし(意識化し)、それらを統合してゆく過程が「個性化」である。 そのためには、今まで「外」に向か っていた意識の流れを逆転させ、自らの「内」に向け直し、内面への気づきを促してゆくことが必要となる。 こうした考え方の根底には、ユングの深い人間理解がある。それは、「人間とは、本来『人格の全体性』という一つの目的に向かって変容し続ける存在であり、その中心である『自己(Self)』を実現するために生をまっとうしようとするのだ」というものである。 ここで重要なのは、ユング が、「無意識」のプロセスを根本的に信頼していることである。 それは「自然治癒力」のようなもので、たとえ表面上は危険に見える場合においても、その奥底にははかり知れない「知恵」が秘められていて、自然な流れを押し止めない限り、必要に応じて人生を助けてくれる――という考え方である。 おそらく ユング は、「意識」よりもむしろ「無意識」こそが人生を方向づける主導的な立場を担っている――と考えていたのではないかと思う。 日本では、「個性化」に関する解説書があまりにも少ない。そうした意味で、このマイヤーの著書は大きな価値がある。ユングを学ぼうと思うなら、ぜひ一読を勧めたい。
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意外と病態水準は低い
心身症は一見しっかりとしており、疎通性や防衛も健康そうに見 えるが、実際にはかなり重たい不安や強い破壊性を備えており、 病態水準は低いようである。その強いものを防衛するためには身 体化というものを使用するほかはないのである。 だから、心身症の治療の場合にはアセスメントをしっかりし、そ の根源的なものを抱えられるようにしなければいけない。
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