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【くちコミ情報】
ダイベックの詩集。
私は「シカゴ育ち」「僕はマゼランと旅した」とも傑作だと思うし、 ダイベックと、彼を紹介してくださった柴田氏を信用している。 しかし、この作品が「詩集」だと気づかずに注文してしまう、 私のような不注意をこの先少しでも減らせればと、 このページに「詩集」と何度も繰り返し書くこととした。 残念なことに、ダイベックにせよオースターにせよ 柴田氏に何度となくかけがいのない作品と出会わせていただいたというのに 柴田氏の翻訳した詩については、そういう出会いが全くない。 そういう私と似たようなタイプの方には、購入にあたりご留意いただければと思う。 特に表紙カバーは素敵なので、持って歩くだけで秋冬は御洒落かもしれない。
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【くちコミ情報】
生真面目な顔で、無茶苦茶なことを
てれんてれんと続く、長いセンテンスが心地よい。彼の訳した文章が好きな人は、まず文体だけで快感を得られるだろう。本は内容なんか二の次、読んでいてキモチイイかどうかが最優先、という人にはとくにおすすめ。 とはいえ、この本の内容は二の次にする必要がない。さまざまな作家の名文が引用されて、次にこれを読もうという気になる。ごく短い小説みたいな章もある。いずれも、およそ無茶苦茶な理屈や事象や空想を妙にさらりと読ませる。語り口が生真面目だからこそ醸し出されるおかしみがある。
あるようでないようで
この本の著者柴田元幸は村上春樹とも交流のある、東大で教鞭をとっている翻訳家です。では内容は文学論など堅苦しいものかーといいますと、全くそんなことはありません。 p 日常生活で誰もが感じることを、今まで接してきたたくさんの本の内容と沿わせながらユーモラスに語ったエッセイです。 p 何か教訓がありそうでないようで、やっぱりないかというような不思議で穏やかな雰囲気をもった一冊です。
豆知識本
これを読んだ当初は著者がそんなに有名な翻訳家だとは つゆしらず。たまたま見かけて買ったら大当たり。 p まずそのタイトルにひきつけられる。 一体何の本なんだろう…。表紙もなんだかかわいらしいし。 p 果たして読んでみるに、いかにも英語の先生らしい、 授業の合間に語られる、ちょっと集中力の途切れた生徒を p もう一度振り向かせるのに最適な英語系(もちろんそれ以外も あるけれども)豆知識満載のエッセイ。 p 本好き、笑えるエッセイ好き、の人には読んで欲しい一冊です。
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【くちコミ情報】
さすが
確かに本の帯には「美味しいものばかりとは限りません。いや、むしろ・・・」と書いてある。 それなのに、なぜか私はキラキラした香ばしい料理を期待して読み始めてしまった。 それに有名な翻訳者、柴田さんの紹介なので、私がよく知らないアメリカ文学の世界に超魅力的に誘ってもらえるものと。 そしてそれは一部、間違いでした。 なんだか不味そうな料理がいっぱいです。 そして料理以上に、紹介されている小説の内容や登場人物もなんだか。 美味しそうな食べ物も出てくるけれど、変なモノの方が強烈で全体的にキラキラはしていないな。 「あとがき対談」で正にそのような効果をねらって書かれた本なのだ、と納得しました。 だからと言ってこの本がつまらない訳では決してなく、きちんとアメリカ文学へ誘われ、読みたい小説が見つかります。 最初に私がイメージしたキラキラした料理は「大草原のナントカとか赤毛のカントカ」とひとくくりに除外され、もっとずっとディープなラインアップ。 巻末に詳細なインデックスが付いていて、「あれ、あの話なんだっけ?」とか「あの作家のなんだっけ?」という事態にも対応可。 長くおつきあいしたい宝物系の本です。 エッセイ的な部分も楽しめます。 柴田さんが、よくするらしいご自身を小説の中に登場させる妄想が面白い。
品のよい文体の愛らしい文学エッセイです
(主として)アメリカ文学に出てくる食べものを枕に、作品を紹介するエッセイです。おいしそうなものから、これはどうか…というものまで、24のエッセイがメニュー仕立てで読者にサーブされます。 柴田氏の訳書は、どんなガサツな世界を描いていても日本語の品のよさが絶妙で心地いいなぁと思いながら手に取るのですが、このエッセイの中で紹介される作品の食をめぐるシーンの部分訳(ほとんどが氏の手になるものですが、他のかたの訳文も紹介されています)はもちろん、地の文も軽やかで品よく(さらに磨きがかかっているように思います)、すいすいと読み進められます。ゼーバルトやダイベックはひととおり押さえてらっしゃるというかたも、まったく手に取ったことがないかたも、さっぱりと楽しめるように思います。 加えて、装丁と構成がシンプルなようで凝っていてとても愛らしいのです。角川書店さん、ナイスデザインです。目次のメニュー仕立てにふふっと笑い、地の文が明朝体、作品の訳文が教科書体と、各ページに見た目でアクセントがついていることに嬉しくなります。吉野朔実氏の手になる表紙と口絵のラブリーさも2重マルです(巻末のあとがき対談も楽しい)。柴田氏?と思われるメガネ男性がほぼ毎回描かれています。 手にとってから読む途中、読後まで楽しめる1冊でした。大事に作っている(本当はどの本もそうだと思うんですが)作り手の思いもびしびし伝わってくるので、☆5つです。
お腹一杯というよりは、むしろお腹が空く
メニューに始まってデザートまで、フルコースが登場しますが、面白かったのは、「不在の食べ物」とか「不味い食事」「飢え、空腹、断食」とか、”食べ物がない””あっても不味い”話。アメリカの作家は”旨いもの”に興味がないのか?? でも『白鯨』の揚げパンは、美味しそうでした。
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【くちコミ情報】
リマスター新盤の魅力
「コネチカットのアンクル・ウィギリー」(野崎孝旧訳では、「コネチ カットのひょこひょこおじさん」)の会話のドラマの鮮やかさに、ハッと させられました。 ユダヤ系の共同体、その知的な共同体から少し離れたところにいる主人公、 過去の思い出、友情、そうした主人公のすぐそばにいる子供たち。説明は 少なく会話がメリハリよくポンポン続く構成なので、読み取るのに少しの 苦労がありますが、こういう作風の映画(ニキータ・ミハルコフ?もっと ダイレクトにはウッディ・アレン)に馴染みがあれば、とても面白く読む ことができます。 柴田元幸訳は、野崎訳のデジタル・リマスター版といった趣で、細部まで くっきり焦点が合っている訳文であるような気がします。ただし、二つの 訳を読み比べたり、原文と照らし合わせたりしたわけではなく、ただの 印象論ですが。 きっと注釈のしがいのある小説なのだと思いますが、あとがきも何もなしに 本文だけで構成されているところが、とてもクールだと思います。装丁も ベリー・グッドです。 ただしこういう具合の精神の繊細さ(というかトンガリ具合)は、思春期 後期特有のもので、それを文章で極めて見事に掬い取っているのですが、 何というかうまく言えないのですが、とても危険な作業なのだと思います。 結局、サリンジャーは小説の筆を折り、世捨て人として一人隠れ住んで、 性狷介な伝説の作家となっていくのですが、立ち入り危険な精神の領域を 描いたからだったようにも思われてきます。後知恵かな?? 追記:そういえば、村上春樹が昔『フラニーとゾーイー』を関西弁で訳し てみたいと言っていました。そのときはキワモノと思って、顔をしかめた のだけれど、柴田訳ナインストーリーズと並べて是非読んでみたい。実現 してくれないだろうか。
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一人の生涯に映る美しさと残酷さ
散文的、詩的な文章で、ある一人の生涯から、美しさと残酷さを描いているとても印象的な小説だった。それゆえに読み終わった後の静寂な余韻は寂しさを覚え、自分の人生を振り返ってしまいそうになったほど。読了後に訳者が柴田元幸であったことに気付いたくらい訳者の癖が感じられない訳だった。読み始めたい作家ならぬ、読み続けたい作家。次は是非原著で読みたい。 ノアの人生を追体験しているようかのように、読み勧めていく中では、それぞれのシーンに大きな感動もなく味気ないと言ったもを感すらあった。それは私達が生きる日常も同じ。毎日が感動の渦というわけではないから。それゆえに読み終えた後に感じる余韻はとても大切なものに思えた。この小説は人生そのものか。ただただ感じるだけでいい。きっと読み終えた後の余韻が「思い出」としていろいろな形になって表れると思うから。 これは自分の人生でも同じことが言える。どんな辛いことも後で笑える日がくるように。読んでいるときには分からないことが後になって見えてくる。悟る。何気ないことが読み終えた後の余韻にどっと溢れてきた。 けれども、感じることが正直な読み方と言いながら、穏やかな展開の物語ゆえにか、読むために使ったエネルギーは結構なものであったと思う。気楽に読める部類の小説ではなかった。私に読むための時間的、精神的余裕があったものだから、他の小説と比べて時間を掛けてゆっくり読むことができた。これから仕事に行く朝の電車で読むような小説ではなく、正面に向き合って読める小説だと思う。
わからない。眠くなった
う〜〜ん、眠かった。 詩のような小説。散文。 とにかく何がなんだかわからなかった。 物語なのか、心象風景なのか。 がんばって読んだけど、まぶたが落ちていることが 何度かあった。 ボクには分からない小説だった。
誰かの日記。
なんだか、誰か知らない人の書いた日記帳を 読んでいるような感じ。最初は、なんのコトか分からないけれど、 でも、読んで行くとノアという老人が少しずつ分かってくる。 でも、すべてが分かる訳でなく、彼らのような 知らない誰かに思い馳せる本かもしれません。
心に響くその静けさ
なんとも美しく、静かで、やさしいようであり残酷である気もする、そんな小説。はじめは、話の方向性がよく飲み込めない。最後まで読んでも、よくわかんないところもある。でも不思議なもので、とてつもなく心を揺さぶられている。ノアが、その指の欠けた手で、顔を覆うしぐさをしている。その情景が、信じられないほどはっきりと頭の中に浮かんでくる。彼は僕。 なにはともあれ、どうこう説明できるような小説じゃない。いつかまた、ふとした時に手に取りたいな。
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柴田元幸(編・訳)
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【Amazon.co.jp】
「Cliche」といえば、ポジティブなものばかりではない。たとえば、"He knows all the answer." と言えば、「あいつ、何でも知ってるつもりだぜ」とどこか軽蔑的なニュアンスが込められるし、求人に応募してきた人に対して "We shall keep your name on file in the event of future vacancies." と言えば、体のいい断り文句となる。 しかし、欧米人は、時にそれがカッコ悪い、ダサいと知りつつも、ほかになかなかいい言い方がなかったりするので、ついつい口に出してしまうようだ。「カッコ悪い、ダサい」というイメージがあるからか、こうした表現はなかなか一般の辞書に定義されていない。しかし、英語のノンネイティブスピーカーであるわれわれは、それがわからなくて困ってしまうことが多いわけで、こうした表現を「懇切丁寧に」教えてくれる辞典がやはり必要なのだ。 名翻訳家柴田元幸監訳による本書は、まさにそんな1冊だ(引用文についてはすべて原典にまで徹底的にあたっているようで、作者や作品およびその出版年の確認はもちろんのこと、発言している人物の年齢や性別あたりまできっちり割り出した上で訳しているあたりがさすがだ)。きたむらさとしのイラストも愉快この上ない。(上杉隼人)
【くちコミ情報】
読んで楽しい貴重な本
邦語では類を見ない貴重な辞典です。小説を読むならクリーシェの知識はあったほうがいいでしょう。知らないと、クリーシェだと気づかないことが多いからです。訳は素晴らしく、イラストも楽しい!
大量のクリーシェ
大量のクリーシェが、Aから始まるものからZで始まるものまで、ずらずらと辞書調に並べられていて、それぞれに対して直訳と本意、そして背景が説明されている。本の最初から順々に読んでいくと疲れますが、ちょっとした時間があるときにパラパラ眺めると、「あ、あれはクリーシェだったんだ!」とか「あのフレーズはクリーシェを変形させたものなのか」といった小さな驚きの連続で楽しいです。クリーシェを知っていても英語力はさほど上がらないと思いますが、知っていると知らないでは、英語に対する理解の深さに違いが出てくるように思います。
映画好きにはこんな楽しみ方もある
もんきりがた表現というのは使えなくてもよいし、むしろ使うと軽薄に思われるでしょう。しかしそれでも知っていると得をする場合があるということに思い至りました。それは英米の映画を見るときに意外な発見があるということです。例えば: ■live and let live:自分は自分なりに生き、人の生き方は生き方として許容せよと忠告するフレーズ。 →「007死ぬのは奴らだ」の原題「Live And Let Die」はこれのもじりだということがわかります。 p ■lock, stock and a el:何もかも。 →イギリス映画「Lock, Stock And Two Smoking Ba els」はこれのもじりだとわかります。 p ■one fo the oad:帰る前にこれを最後にと飲む酒のこと。 →ヘップバーンの映画「いつも二人で」の原題「Two Fo The Road」はこれのもじりだということがわかります。 p ■d ess to kill:最高に人目を引く服を着ていること。 →デ・パルマ監督の「殺しのドレス」の原題がこれから来ていることが分かります。 p 今まで見えていなかったことがこんな風にへぇという感動とともに見えてくるという体験をしました。 p なお、一部誤字脱字がありますが、その正誤表には愉快なイラストと「Now We Eat Hum le Pie!」(自分に完全に非があることを屈辱的な形で認めること)というクリーシェが添えられています。こういう粋な正誤表があるなら誤字脱字も許せてしまいます。
これはベンリでユカイ!
イラストが楽しくて買ってみたのですけど、中身も大変面白い。ただいま失業中の身としては、We shall keep you name on file in the event of futu e vacancies.(新たな欠員が生じた場合に備えお名前はこちらで控えさせていただきます)などというクリーシェが心にぐさっと突き刺さるけど、やっぱり英語でも同じようにいうのですね。alive
すべての英語学習者に推薦!
英文を読んだり訳したりしていると、 e that as it mayとか、odds and endsといったフレーズにぶつかって、はたと頭を抱えてしまうことがある。なるほど、これがいわゆるclicheであったか。本書には、こういった表現(格言やことわざとは違って、必ずしもポジティヴな意味では使われないもの)が網羅されている。信頼厚き研究社の『リーダーズ+プラス』にも載っていないものが多いから、ほんとうに助かる。イラストも面白い。翻訳者はもちろん、すべての英語学習者にお勧めしたい。
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ポール・オースター
柴田 元幸
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なんとなくずるずるとオースターを買い続けている私に近い感覚の方へ。
ここ最近のオースターの作品同様、可でも不可でもない出来栄え。 ただムーンパレスやらルルオンザよりはまだ読めるし、 リヴァイアサンみたく途中で書く気が失せたの?みたいながっかり感もない。 だから、全然最高傑作だなんて言えなくても、薦めたい水準に達していると思います。 正直オースターに対して、どこかでハードルが上がりすぎたと思うよね。 ネタばれな感想なら参考になるでしょうが、読む前に知りたくもないでしょ。 一言でいえばいつもと同じ。 いつも結局は同じ話。それでも読み続けるのでしょう、僕たちは。
オースターの記念碑的傑作の待望の柴田訳
オースターファン、そして柴田ファンが待ちに待った一冊。柴田元幸氏の無理の無い折り目正しい日本語訳を1ページ1ページ読み進めていくうちに、6年前衝動的に「The Book Of Illusions」を買ってしまったもののこんな長い英文読みとおせるだろうかと不安一杯だったにもかかわらず、それこそ寝食を忘れるほど没頭してしまったのを昨日の事の様に思いだしていた。 ポストモダンの旗手から、超一流のストーリー・テラーへ成長したポール・オースターが、この本において新たなる高みに達した事は間違いなく、彼にとって記念碑的な作品だと思う。語り口の饒舌さ、映画製作の経験の取り込み、小説としての重層的構造、ポストモダン的登場人物、古典文学に関する該博な知識、そして濃厚なエロチシズム等々、彼の持ち味の全てを出しつくした上で、彼の作品では極めて珍しい主人公の魂の救済の物語となっていることもこの小説の特徴だろう。 主人公デイヴィッド・ジマーの魂の救済の物語を大枠にして、喜劇俳優ヘクター・マンの数奇な人生とその俳優に翻弄された複数の女性の生涯を中軸に置き、さらにその中で喜劇俳優時代の無声映画の数々や隠遁生活の中で作り上げた決して公開される事の無い映画を詳細かつリアルに活写し、更にはフランスの作家・政治家シャトーブリアンの著作「Mmoi es d'out e-tom e」の文章を散りばめた構成は、数多い彼の同様の著作の中でも最高の完成度を示している。特に外部の人間として主人公だけが見た「Inne Life Of Ma tin F ost」という映画は、ヘクターの贖罪意識の産物であるとともに、デイヴィッドの数奇な経験を予見した内容になっており一際精彩を放っている。 更に今回「やられた!」と思ったのは、先日読んだ「T avels in the Sc ipto ium」がこの作品の中で既にヘクターの作品の題名として、そして更には「Inne Life Of Ma tin F ost」の主人公の著作の題名としてご丁寧にも二度も登場していた事。この書については出版社からのプッシュもあったのだろうが、オースター、本当に油断のならぬ相手である。
僕たちは「意味」がなければ生きていけない
悲愴にして潔い傑作『ティンブクトゥ』以来、久しぶりの長編の訳出。柴田の翻訳に間違いはないと分かってはいても、さりげなくも見事な言葉の運びに1ページ1ページが読むのが惜しくなる オースター作品の主人公は必ず旅をしている。常に何かを探している。探さなくてもよさそうなもんだし、手を出すと碌なことはないと薄々分かっていても探してしまう 彼らの旅によって、「か弱い僕たち、人間は意味がないと生きていけないのだ」といつも痛切に感じることになる。それは「自分探し」ではない。主人公たちにはすでに「自分」がある。ところが、「何か」をきっかけに自分が崩壊し、それでも生きるのはなぜか?と問うことに耐えられず、意味を求めて旅を始めてしまう 本作では忘れられたハリウッド俳優と忘れられた作家の遺作という2つの「意味」が入れ子になってマトリョーショカの如く次々に「意味」が現れてくる。架空の物語に現れた架空の俳優と作家の遺作であるにも関わらず、読み進むほどに二人が実在であるかのような錯覚を避けては通れない。描写の緻密さ、あるいは緻密にするために敢えて曖昧にする技術に驚く。村上春樹の『風』でのデレク・ハットフィールドの実在性がかつて揶揄されたが、それと同様の「実在の重み」さえあるのだ。かくして物語りは奔放でありながらも「絶対にないとは言い切れない」と幻惑される喜びに満ちている(その重みはオースターがとり組んだプロジェクト”トゥルーストーリーズ”によって獲得したのではないかと思われる) と、ここまで書いておきながら僕はまだ本作を読み終わっていない すみません 静かなるページターナー、オースターと柴田の本だ。一気に読んでしまえるのだけど、秋の夜長を持て余さないように、1ページ1ページを無理してでもゆっくり読んでいたいからだ 半分まで読んだところですでに強烈な展開 息を飲むしかった『ティンブクトゥ』の最後の数ページのような結末が待受けている気がする あ、邦題を見たときラウタヴァーラの名曲『幻影の書』をモチーフにしたか、と思ったが原題が違った。もしかして柴田にはラウタヴァーラに感じるところがあったのかもしれないが
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【くちコミ情報】
にわか米文学通になれる?
紹介されている本が本当にセンスがよくて最高です!!しかも一つ一つの作品に対する深い愛情が溢れています。米文学エッセイ集なのですが、かなり広域に米文学を網羅しているので、ガイド本としても役立ちます。
にわか米文学通になれる本
まるでその本を読んだかのような気持ちになれる米文学ガイドブック。ガイド内容に著者の柴田元幸氏の愛と独断が溢れています。単なるガイド本とは全然違うのです。とにかく、ここに薦めてある本は全てセンスがよくて最高です。
他人のおもしろさを語る芸
世の中には小説家になる才能がありながら、色々な理由で小説を書か(け)ない人が何パーセントかいると思います。優秀な評論家や個性の強いエッセイストは、そういうタイプの人物だと考えていいでしょう。この柴田さんもその一人。彼の場合は、翻訳者という天職を得たわけであり、それに加えてオリジナルなエッセイも書けるという多才ぶり。こういうタイプの人間は、才能ある人物やその作品について楽しく語るセンスや、それらを上手に紹介したりする実力が、ものすごい。その力が十分に発揮された結果できたのが、この本です。それぞれの文章が別々のスタイルで書かれていて、けれどそのどれもが柴田さん流の小説(家)おもしろ解説術による巧みな工夫がなされていて、どこを読んでも大抵、満足できる仕上がりになっています。柴田さんの翻訳のファンはもちろん必読ですが。彼にもアメリカ文学にもまったく興味のない人も、きっと楽しめる一冊です。
手元に置いておきたい本
普段から手近なところにおき、読むものに困ったときに「何か面白そうな本はないかな」とパラパラとめくってみる、そんな本だと思います。柴田さんは誉め上手というか、本の紹介が大変にお上手です。読んでみたいと思う本が数多くありました。私も手近なところに置き、今後に本を選択する際の参考にしたいと思います。
この本片手に、いざアメリカ文学の海へ。
この価格でこれだけおいしい思いができる本も珍しい。オースター、エリクソンといった柴田さんゆかりの作家とのインタヴューから、まだ未翻訳の作品にいたるまで、中に入った具は多くてどれもがスパイシー。本書のどのページからでも、読者は新たな世界への入り口を見つけることができるはずだ。
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