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   松原 隆一郎 の売れ筋最新ランキング   [2010年09月03日 12時46分]
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¥ 903(税込)
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カスタマーレビュー数:8

くちコミ情報
新古典派に対する戦いとしての経済学史
この本は他のシリーズとはかなり異なる特色がある。それは,他のシリーズが学際を意識してしょっちゅう他の分野の古典を30に収録していたり(シリーズほぼ全てにマルクスとウェーバーがいる驚き),前近代の学者を取り上げ「近代の先駆」と紹介したりするわけだが,本書はジョン・ロック,ヒュームの二人を除けば,3人目にアダム・スミスで以降は全て近代以降の学者である。また,最後の3人ボードリヤール,ロールズ,センの3人を除けば,全員純粋な経済学者である。また,他の本では日本の学者を何人か収録しているが,本書は完全にゼロである。結果的に,徹頭徹尾経済学史の解説に終始した感がある。 解説はわかりやすく,他の著者のやってしまった,解説なのか本人の感想なのかが不明瞭ということもなかった。その点では宗教学30と並び優れている。ただし,気になった点として,著者は専門が「社会経済学」であり,また比較的ケインジアンでもある。そのため,本書の前書きで「特定の学派の優位性を主張するような構成にはしない」と述べているにもかかわらず,新古典派をとことん批判している。より正確に言えば,スミスやリカードのような古典派は批判していないし,ハイエクもどちらかと言えば擁護している。まるで袋叩きなのはサムエルソンとフリードマン,つまりガチガチの最右翼な新古典派である。そして,新古典派による古典の読み方は誤解だとして,その都度批判している。これは「特定の学派」に対する格差をつけた紹介ではないだろうか。 ただし,著者の言うことを真に受けるならば,確かにフリードマンの業績には疑問符がつくし,確かにそれが私が経済学,ひいては社会科学に対して抱いてきた疑問・嫌悪感の源泉とも一致した。すなわち,人間は心を持った生物であり,「科学的な」分析は限界がある,もしくはそのような謙虚な研究態度が必要ではないだろうか,ということだ。ゆえに,社会学や歴史学を「社会科学」もしくは「科学」と見なす態度に対し,私は疑問を投げかけている。この辺の考え方は著者が相関社会学・社会経済学を専門としているだけあって主張に近いところがあり,それを踏まえると著者のハイエク擁護は意外ではない。 本書は上記のような新古典派たたきが激しいということを念頭に置いてさえ読めば,優れた入門書だろう。なにせ,経済学はさっぱりだった私が読んでも大丈夫だったのだから。本書で紹介されているのは上記に挙げたもの以外では,リスト,JSミル,マルクス,ワルラス,ヴェブレン,シュンペーター,ナイト,マーシャル,ケインズ,ポラニー,ガルブレイスといった面々である。
人類の共有財産としての古典―経済思想の知的ドラマの世界へ
  複数の目的と動機が絡みあう人間社会の解剖学たる経済学は、古典なしに語りえない。スミス、ケインズ、ハイエクら著名な人物の古典30冊を選抜し、現在的意義も含めて彼らの思想と理論を解説する卓抜の好著が誕生した。精彩に富む知的作品だ。グローバル化の時代下、経済学の古典がいかなる役割を担っているかという興味関心をもつ読者に対し、本書は格好の手引きとなろう。紹介される30冊は著者の経済学観を反映し、挑戦すべき問題群は多岐に及ぶが、とりわけ次の着眼が傾聴に値する。   1つは、金融・資産市場の不安定性。不確実な将来における人間心理(確信・不安)と貨幣保有との有機的連関を深く省察したケインズの理論がそれを鮮明に描いている。資本主義を「市場」経済というより「貨幣」経済と把握すれば、貨幣をめぐる社会心理の「揺れ」にその不安定性の主因を見出せる。景気循環の根源を生産側の実物的なイノベーションに帰結させたシュンペーターの見解とは鋭く対峙する。もう1つは消費社会の変容。商品の特質は、企業と「差異(化)」そのものに価値をもとめる消費者間で創出されるイメージや個性に内在するとみなす、ドラッカーやボードリヤールらの洞察である。現代経済社会の駆動力として、人間の内省とそれが重なりあう社会心理との相互作用を重視する側面で2つは交わる。   成長から停滞、物質面から精神面へのシフトが現実味を増しつつある昨今、リストの「精神的国民資本」やJ・S・ミルの「精神的成熟」をめざす学説はかえって新鮮で、これからの座標軸を確立すべく一契機とならないか。市場・貨幣、自由・平等、所有・統治、正義・福祉など、歴史的重みをもつ相関諸概念の再吟味も欠かせない。それらは未来に向けて常に鍛え直されるべきものだ。総じて古典は人格形成の貴重なファンデーションである。経済学の古典をめぐる壮大な「歴史的時間」の旅は、「覚醒」の旅となろう。本書の多様なドラマが読者をいざなう。   応用編である著者の最新作『金融危機はなぜ起きたか?』(新書館)との併読も推奨したい。
「経済」と「政治」
経済学といえば数学的な学問と思いがちですが、実際は政治学的、倫理学的、心理学的な学問ということがよく分かり面白いです。実際に時代を超えて現在に活用できるのは倫理学的、心理学的な部分だと思います。 ただ、この本を読む限り、社会は豊かで悲劇的(不安定、不確実、不道徳)な社会か、貧しくて悲惨な社会かの、どちらかしかないような気がするのですが、実際はどうなのでしょう。(悲劇的でも豊かな社会の方がよいとは思いますが)
数理経済学のサムエルソンについて
史上もっとも多く売れたサムエルソン『経済学』で、現代、多くの大学で講じられているミクロ・マクロ経済学という分析に数学利用が不可欠という脅迫観念を浸透させた。彼が大学院生の頃、アメリカでは実証分析や制度論が絶頂期で、彼の登場以降、経済学は数式で表現されるモデル分析へと急速に傾倒して行く。また多くの数学者や工学者が参入し計量経済学からシュミレーション分析へと巨大コンピュータというハードの進歩とともに研究が大いに進んだ。 それは同じく数量表現の背後にある人々の生活や心情への配慮を経済学から放擲する過程であり、経済思想史に名を残す人々の思考の大半を否定してしまった。というよりそれまでの文学的、社会学的、政治学的なものから、実証科学的、なものへと腑分けされ、より細分化・細密化したものへとなった。その結果、現実世界からの乖離がより大きくなった。自由資本主義経済を世界がめざす以上、勝ち組、負け組、格差社会、南北格差は無くなるはずは無い、それは遅れて参加したロシアや中国をみれば顕著である。そのような矛盾を孕んでいても自由資本主義経済がやはり人間の欲望をより充足してくれるならまだましだと思うしか無いので・・・・
今こそ古典の力を活かす時
社会経済学を専門にする著者が、現代(特に経済危機にあるこの瞬間)においてもその力を発揮しつづけている経済学の古典を幅広く紹介した好著。 著者自らが述べているように、特定の学派の優位性を主張するような構成にはなっておらず、多様な思想から現代に生かせるものを読者に考えさせるための案内書になっているといえる。1冊あたりの紹介は10ページ程度とコンパクトだが、それぞれの古典がどのような歴史的状況の中でどんな思想を体現しているのか、大胆に個性をつかまえて紹介がなされており、印象に残りやすい。 本書は単に各著作のエッセンスを入門的に紹介するだけのものではなく、現代にこれらの古典が読まれる意義について、著者からの明確なメッセージがあるという点は強調しておきたい。自由とは何か、正義とは何か、消費の意味とは何かなどについて経済学の名著は思想を豊富に提供する。しかし、現在進行中の金融危機の背景にある市場原理主義は、このような思想を捨て去った浅薄な経済理論に則っているために、破局的な状況に対して根本的な対策を提示できないでいる。こうした世相や経済学界の思想状況への痛烈な批判が本書全体に散りばめられている。 もっとも、筆者が反新古典派の主張を押し付けようとしているわけではない。主流の経済理論がスタンダードとなり、それ以外を認めない不寛容さが支配的になり、多様性を失っていることが問題なのである。混迷の時代には多様な思想が闘わされることで処方箋が生まれるものである。今こそ古典の力を活かさなければならないというのが本書のメッセージである。


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グローバライゼーション
金融・経済界と異なる業界で働いている人が読んでも、ためになる一冊と思われます。時代時代で語られたさまざまな異なる経済思想を振り返りつつ、現代経済学の定説を再評価する試みは初心者でも面白いはず。もちろん知らない用語や歴史的背景も出てきますが、さらっと内容がつかめる本書は必読の価値ありです。スミスとグローバライゼーションの項は、現代のグローバル化について知る上で役に立つのではないでしょうか。



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全ての武道愛好家に。
「生涯武道」の実践者である松原氏による、自身が師範代をつとめる空道や、現在も町道場で稽古を続ける柔道を中心とした武道論。 著者は、「信頼」が崩壊しつつある現代社会において、魅力的な社交空間を提供し得る「社会資本」としての武道を高く評価する。 講道館が、如何にして大日本武徳会や高専柔道などの対抗勢力との対立を経て近代柔道の確立に至ったのか(第1章)、現代化・国際化に伴う課題(第2章)など、柔道経験者としては興味深い。 一対多の路上の現実を想定し、試合においても常に「真剣勝負」を意識する必要があるとして、嘉納治五郎が重視していた柔道の武術性や実戦性が、大日本武徳会や高専柔道などの対抗勢力が消滅する中で忘れ去られていった、という指摘はとても興味深い。 柔道(講道館?)関係者には耳が痛い部分もあるだろうが、「講道館の家元意識」の問題、「勝利至上主義」の弊害や老若男女が楽しめるための環境整備の必要性などは重要な指摘だろう。 第3章では、地域に根ざしたスポーツクラブとは何か、企業とスポーツとの関わりなど、スポーツビジネス論を踏まえて、町道場の経営の難しさなど生涯武道の普及における課題が論じられており、興味深い。 第5章は著者の武道体験談、第6章は稽古仲間等の武道との関わり方が紹介され、気軽に楽しめる。 全体として、著者の「生涯武道」への情熱が感じられる好著。自分も武道の稽古を再開したくなった。


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「新しい市場社会」の構想―信頼と公正の経済社会像?
 保守派の経済学者と、同じく保守派の社会学者が書いた本である。市場社会という使い古された言葉を今更ながら使うとは恐れ入りました。確かに戦後の経済学はマルクス経済学が幅を効かせいたので、近代経済学の学者の多くは、時の体制に迎合するような言論を展開してのは事実である。マル経が衰退の途をたどるのと同時に彼らみたいな無責任な経済学者や、社会学者が、しゃしゃり出てきて時の権力者と同じ事を巧みなレトリックを用いて一般読者をうなづかせるやり方は、これまで多くの経済関係の書物に見られてきたことであるが、この本もまさにそれと同程度の書物である。読んでみてこれだけくだらないことを延々書いていると疲れはしないかと思うほどである。佐伯の本を読むのであれば、師匠にあたる宇!沢!弘文か、同門の間宮陽介の本を読んだほうが、為になる。このままでは日本にまともな経済学者はいなくなるのもそう遠くない日が近いだろう。もちろんノーベル経済学賞なんてまず無理な話だ。



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くちコミ情報
原題はギボンの著作でも使用されている言葉なのだそうです。
シュンペーターの講義を聴講していた学生の一人が、このハイルブローナーです。(是非は別として)不況は「お湿り」と喝破した講義のエピソードが第十章に出てきます。本書の中身に関してもシュンペーターの影響を看取できますが、入門書としての性格を破壊する程のものではないようですので安心して読めました。分量も結構なものですが、内容もまた結構なもので、原書や二次資料がふんだんに活用されており読み応えがあります。さて、個別の思想家としては第3章:アダム=スミスから取上げられています。それまではスミスに至るまでの前史となっており、歴史的背景、「交換」や「利得」といった観念、そして「市」と「市場システム」の違いなどの解説が行われています。その後は、マルサス、リカード、社会主義者、ウェブレンなどが続き、J.M.ケインズ、シュンペーターへと至ります。最終章のタイトルは、「世俗の思想の終わり(end)?」となっていますが、英語の「end」が持つ二つの意味に注意を向けるものに過ぎず、本当に終わりを意味している訳ではないようです。それは、ハイルブローナーの最後の一文を読むだけでも分かるはずです。
血の通った経済学のために
マルクスやそれ以前の「空想的社会主義者」に関心を持って社会思想系の書物を幾つか読んでいく過程で、これは経済学の歩みも一度おさらいしたほうが良かろうという考えに至り、手に取った一冊。 学生の頃ならまだしも、30代後半サラリーマンの身でこの500ページを読み通すのは正直、骨が折れる。邦訳のクオリティーに関しても、どこをどう読んでも日本語として理解不能な箇所が見受けられる。おそらく学者として原典に忠実に訳そうとするあまり、滑稽な日本語を発明してしまっているのだろう。訳者方々の、学者としての善意には敬意を表明しつつ、本書は入門書なのだから、経済ジャーナリストみたいな人が一気に意訳したほうが良かったかもしれないと感じた。 ただ、そういったマイナス面を補って余りある面白さを本書がたたえていることも確か。スミスからシュンペーターに至る、歴史に名を刻んだ経済学者の生涯とその思想のエッセンスが、鋭さとユーモアを交えた筆致で鮮やかに描かれていく。 興味深いのは「客観的な経済法則の発見」として提示されるそれぞれの経済学者の思想が、実は彼らの出自や境遇を色濃く反映していること、すなわち当人が意図せずとも非常に「主観的」な一面を持つように思われたことだ。個人的には、学者としても世俗人としてもスマートに立ち振る舞い、富と名声を勝ち得たリカードやケインズよりも、陰気で風采が上がらないまま執筆を続けたヴェブレンやシュンペーターに共感を覚えた。 そして著者がこの書にこめた想いも、まさにその「主観的」という部分にある気がする。著者は現代の経済学が、あたかも物理学のように数式で経済運動を分析することに熱中し、それを経済学の「科学的な洗練」と履き違えていることを批判しているが、まったく同感である。経済学の役割が我々の持続的な繁栄のためのビジョンを示すことにあるのだとすれば、それは単なる数式の提示ではなく、経済学者の人生を賭けた「誤解を恐れぬ心の叫び」であるべきだと思う。事実、本書に取り上げられた経済学者は、まさに彼らの思想に「血が通っている」ことによって世の中を動かしたのだから。
欲望と利潤にまつわる歴史的ドキュメンタリー
アダム・スミスからシュンペーターに至るまでの経済学を通観できる教科書。ただし、ただの教科書ではない。経済学者の伝記と学説と、その背景の歴史を一度に眺めることができる、文庫本で500ページにも及ぶ壮大な物語だ。それは、長い因習から解き放たれた欲望の歴史であり、その欲望を満たす利潤の源を探り出そうとした人々の系譜でもある。 16世紀から17世紀にかけてのヨーロッパにおいて、なぜ人類史が始まって以来初めて経済学が必要となったのかという、経済学「前史」の解説から始まり、それに連なる20世紀初頭に至るまでのヨーロッパとアメリカの社会がドキュメンタリーのように描かれている。そうした時代背景の中で、スミスは、マルクスは、ケインズは、どのように育ちどのように生き、何を見て何を社会に問うたのか。一人一人の描写が活き活きとしていて、伝記の部分ではこれが経済学の本であることを忘れさせてしまうほど。何十年も版を重ねて読み継がれているのもうなずける。 また、複数の訳者が協同で改訂を重ねているからだろうが、翻訳も素晴らしい。英文の論理構成を極力生かしながら、適切かつ典雅な訳語を見事にあてがっている。日本語としては必ずしも読みやすくはないが、著者の筆致がどっしりと伝わってくる。経済学の勉強というよりも、登場する思想家たちの思いと、それを語る論理と文章を味わう物語として繰り返し読みたくなる。そのような読まれ方は、巻末で経済学の行き過ぎた「科学化」に警鐘を鳴らす著者としても本望だろう。
経済学史の旅
ロバート・キヨサキ氏が著書の中で、過去の経済を勉強するために良い本だと紹介していたので読みました。 経済学史の旅が楽しめます。
充実した読書を楽しめる
面白いです。マルクス、ケインズ、シュンペーターの人物と思想について語る著者自身が、非常に優れた評論家であり、腕の立つ作家でもあるということでしょう。さまざまな思想の歴史的背景が解り易く説明されている上、筆者自身の評論も公平で説得力があるので、読み進むのが楽しくなります。そして「もっと知りたい」という意欲をかきたてられます。


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消費の今と未来
 この本は2部からなっていて、第1部は、おおむね著者の前著「消費資本主義のゆくえ」と同様の議論が展開される。現在の日本経済を「消費」の観点からとらえると、それは「消費不況」という「未知の領域」にあるという。その原因は、消費者である国民が、将来不安(その原因は雇用制度の急激な変更や年金制度の行き詰まりなど)のために消費を手控えることから来る総需要の不足であるという。であれば、将来不安を高める急進的な「構造改革」は不況を深刻化させるだけであり、「漸進的・漢方薬的な」構造改革こそが必要であるということになる。雇用制度に関して言えば、長期雇用を維持するための賃金カットである。これは企業の労務担当者の実務実感にまことによく一致しており、非常に説得力に富んでいる。 p  また、著者はこれまでのわが国における「消費」の変遷を述べ、「コンビニと携帯電話が現在の到達点」であるとした上で、そこにはない「文化」が、これからの消費の希望であると言っている。 p  これが、第2部の「文化の経済学」につながる。「生活起点」誌に掲載されたエッセイをまとめているが、それぞれ読みやすく面白く、著者の食や景観などへのこだわりも感じさせて楽しい。そして、読み進めると、著者の考える消費の「文化」がどういうものかが皮膚感覚で伝わってくる。そして、本のいちばん最後の方に、「自分の生活が社会のあるべき方向だと考え、社会をその方向で変形させようというのは、傲慢な社会設計家たちがやってきたことだ」という一文が出てくる。「構造改革」の美名のもとに利益誘導もくろむ証券アナリストや、そのちょうちんを持つマスコミ、評論家などに何度でも聞かせたいセリフである。 p  この本は、研究書や論文を書くような意気込みで書かれた本ではないかも知れない。しかし、その分リラックスした雰囲気がある。力みや誇張がなく、常識豊か(常識的というわけではない)で明快なので、読んでいて非常に気分がいい。これもまた筆者の力量ゆえだろう。価格も手ごろで、広くおすすめしたい本である。


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  経済思想史プロパーで研究を進めている人は「思想史」なるものの今日的意義を十分に知っていながらも、それをたとえば今次の世界金融恐慌の考究にどのように活かすべきなのか、なかなか苦慮するかもしれない(そういう学術論文が受容されないという独特・暗黙の雰囲気があるともいえる)。そういう方を含め、現実に何が起きており、またそれをどのように理解したらよいのかという問題に広く関心を示す人びとに推奨したい作品である。<経済思想史>のなかで問い直す点がとくに魅力的だ。   本書全体が「書き下ろし」ではないため論述の展開構成に若干のぎこちなさは残るものの、総じて興味深い考察が及ぼされている。分析の基点にあるのは、主流派とよばれるアメリカの新古典派経済学の問題性だが、それは新自由主義を支える理論的基盤であり、また現実の構造改革(IMFの構造調整プログラム=ワシントン・コンセンサス)における支柱でもあり、その(負の)影響は多岐に及んでいる。それは日本経済の改革論にも深い影を落としている。ケインズの経済学を無色化する新古典派の罪は重い。著者の「社会心理」論との対比で読み進めると面白いだろう。とくに全体のおおよそ半分を占めるイギリス経済思想を扱った章は、「思想史」のいわば醍醐味を知るうえでも大変貴重な内容が詰め込まれている。圧巻パートだ。   著者が本書を通じて強調する「社会心理」の意義は客観面のみを重要視する新古典派では概して看過されるものであり、そこから一連の危機の諸相と含意を明快に解きほぐしてゆく著者の手腕にも敬意を表したい(なお「社会心理」の理論・政策面における重要性は主流派のなかでも最近見直されつつある。アカロフとシラーの共著『アニマルスピリット』参照)。本書に続編というべきものがあればどんな内容になるのか、想像しただけでも食欲をそそる。本書を通じて著者の以前の諸作品に関心をもつ読者も多いのではないか。
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本書は経済思想史を専門とする著者がその応用編として昨今の金融危機について論じたものである。サブプライム危機を論じた文献は大量にでているものの、経済思想史の角度から斬り込んだ本書は独特の視点をもつものとしておもしろく読める。 まえがきにもあるように、経済危機からの立て直しはいかに人々の将来見通しに「確信」を付与することができるかにかかっているという指摘はシンプルだが最も重要なメッセージであろう。近年主流の経済学は、構造改革にせよ金融緩和にせよ、供給条件や貨幣量といった「客観的な」経済環境を調整すれば景気は回復すると主張してきた。しかし、人々の「主観的な」確信がなければそれは望むべくもない。古典派以来の経済学には、確信の過剰と過小によってバブルと不況を論じる伝統が存在するが、それが近年主流となった経済学では軽視されてきたのだ。こうして今回の住宅バブルと金融危機を招いた経済学の現状に対して、著者は経済思想の「偽装」であると手厳しいが、もっともな批判と言わざるをえないだろう。 現在ではかつてのように構造改革路線がもてはやされることはなくなっているが、それにかわって本当に「確信」を与えることができる経済政策が提唱されているとはいいがたい。危機からの脱出のために経済学、経済思想はそのような政策に資する提案をだす使命があるだろう。欲をいえば著者の具体的な考えも書いてほしかったが、それは別稿を期待することとしよう。


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豊かさの文化経済学 (丸善ライブラリー)
松原 隆一郎  
¥ 612(税込)
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エッセイ集ですね
トンデモ本として名高いウィルソン・ブライアン・キィの『メディア・ セックス』を自説の論拠として参照してる箇所があり、これだけで学問 的著作として評価する気になれません。松原氏は今もキィの本を評価し てるんでしょうか。消費文化という得体の知れないものを学問っぽく論 じたエッセイ集としては読ませる文章だと思います。
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