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   望田 幸男 の売れ筋最新ランキング   [2008年12月04日 14時19分]
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カスタマーレビュー数:1

くちコミ情報
入門者から専門家まで楽しめるであろう、教育社会史の名著!
 この本の内容は、ギムナジウムに於ける中等教育に対して主に焦点を当て、近代ドイツのエリート教育の変遷過程を描いたものです。  しかしそうは申しましても、教育史を学校内世界の事のみと関連付けて論じている類のもの、つまるところ日本でよく見かける(と言うよりも、昔よく見かけた)様なその手の本とは根本的に異なり、社会構造などと深く関連付けて論じられておりますから、近代ドイツのエリート教育について非常に深く考察されております。  もっと言えば、この本はその手の研究を代表する名著だと思います。  実際、望田氏の著作は全般的に、社会学者などからも非常にウケがよく、日本人で教育社会学等の研究をされている方は、よくこの方の著作から引用されております。  たしかにこの方はドイツを中心に研究されておられますが、実際のところ他国の研究をされている方を含めても、教育社会史の研究では、日本を代表する研究者だと評価するべきなのでしょう。  しかも、内容が面白い!!加えて、「書き方が上手いなぁ」と思わされましたが、それは何より、晦渋な文章が全く無いことですね。平易で非常に分かり易いです。ですから、ドイツの教育史には関心があるけれど、全く予備知識が無いという方であっても、おそらくスラスラ読めると思います。  しかし、ではこの本は初心者向けなのかと言うと、決してそういうわけではなく、歴史学や歴史社会学などを研究している方が読んでも、必ず何かしら得られる本だと思います。  そのテーマに関心があれば、「誰が読んでも面白い」的な書き方の上手さは、望田氏の著作に於いては全般的に当てはまる傾向だと思います。  歴史学に限らず色々なジャンルに於いて、内容が浅く、学者が書いたとは到底思えない素人的なドクサ(臆見)丸出しの、大衆ウケだけを狙った様な著作が多いと感じる今日(笑)、楽しみがてらであっても是非、多くの方に読んで頂きたい本だと思います!  但し、ドイツの教育史をある程度ご存知の方には、既に「常識」となってしまった様な部分も、この本にはかなり出てきます(しかしながらそれ自体、間接的にであれ、望田氏などの業績による影響からでしょうし・・・)。  しかし一方、我々の「常識」を裏切る様な部分などもかなりありますよ。  分かり易い一例ですが、例えばとりわけドイツ軍の将校というと貴族というイメージばかりが先行しますが、ドイツ軍の将校にも19世紀の終り頃からかなり上層市民(いわゆるエリート平民)階級出身者が増えていたらしいのです。この背景はもちろん、ドイツが20世紀まで革命が起こらず、またそもそも、何かと近代化が遅れていたとは言え、先進国フランスに於いて「赤と黒」的な軍隊の貴族門閥が大革命で一応は終焉した様に、やはり近代に於ける軍事面の拡大や変革があったのも当然ですから、当たり前のことではあります。しかし何より、これは軍隊の将校と言えども家柄だけでなく、文官等の様に高度な学力が求められることになったからなのです(但し、依然として軍隊だけは貴族が中心であったことも確かでしょうが)。  ですから、この辺りの意外な事実も踏まえて、この本では教育と社会・歴史の関係が上手く統合的に整理せれているんですよね。    尚、とりあえず一つだけ欲を言えば、他国との比較があまり見られない点が少し残念ですね(紙面の関係上もあるでしょうが・・・)。  しかしとりわけ、ドイツと英国やフランスとの比較と言う点である程度の考察でも挙げられていればもっと良かったかなと・・・。  例えば上述の軍隊に於ける権力ですが、イギリスの様に今日でも名門私立学校の教育を介して貴族階級との関係が深い国もあり、やはりドイツとは異なりますし、こういう部分をもっと掘下げたら、学術的により興味深いかなと思います(もちろん、この軍隊権力云々は一例であって、むしろその背景は基礎的な教育史等の知識からでも単純に察しは付きますが・・・)。  また、もっと興味深いところでは、よく言われる様にドイツの近代に於けるエリート教育は、ヨーロッパの中では比較的「立身出世型」ですが、そうは言っても所詮は上層市民階級的なエリートなので、農村的で貧しい感の強い日本の近代エリートとは異なりますね。この背景等もある程度は察しが付きますが、しかしこの対比なんかを上手く掘り下げてくれたら、非常に有難いですね。   しかし考えてみれば、専門家ではない私にも他国との比較に於ける検討が付くのは、望田氏等のこれらの本を読んだからだとも思いますし、とにかく上質で面白い本ですよ! 
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