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| 中・高校生のための中国の歴史 (平凡社ライブラリーoffシリーズ)
鈴木 亮
鬼頭 明成
二谷 貞夫
¥ 1,050(税込)
通常24時間以内に発送
ジャンル内ランキング:349,409位
カスタマーレビュー数:3
【くちコミ情報】
中国の歴史?
中・高校生のための・・・という題に興味を惹かれ中学生の僕が買ってみたが、読んで3分の2がいわゆる近現代史で太平天国以前はエピソードも少なく押し込められているので、がっかりした。 国の恥、抗日、解放と日本を絶対的悪として捉えており、一方向からの視点だけではなく色々な角度から見た視点も書いて欲しかった。 裏表紙に「南京虐殺」あった?なかった?と書いてあるにもかかわらずあったと一意見しか載せないのはどうだろうか。二十万人、三十万人ということまで書いている。この本は「中・高校生のための中国の歴史」をやめて「自虐のための中国の歴史」としたらいいと思う。
可もなく不可もなく
本書は中国史の概説書である。古代から現代まで順をおって記述をしている。文体が平易かつ、どのページにもエピソードが盛り込まれているので、きっと読みやすいだろう。値段も安価なことから、中・高校生を対象としていることがよくわかる。内容も、めだったあやまりがなく、政治的な主張がないために、安心して読めると思う。 ただ、概説書ゆえに、ある事件がおきた背景や現代に与えた影響を書かなかったことが残念である。事実の列挙ではなく、そこから何が言えるか、現代にどう関わっていくかを考えてはじめて歴史学となる。一般の人間にも歴史学の一端にふれさせてもよかったのではないかと思う。 南京事件だが、政治的に右派の人たちが根拠を捏造して事件を否定していることについてはここではくわしく書かない。藤原彰氏や笠原十九司氏をはじめとする専門家の書を読んでほしい。 総評としては、概説書としては教科書や参考書より、くわしく、読みやすいといったところか。興味がある人は店頭で実際に試し読みをすることを勧める。
中国の教科書?
日本人の著者によって書かれているものの、表紙に翻る赤旗が象徴しているように、内容は中国共産党的な視点から描かれた中国史です。中国の長い歴史のうち、清国までの数千年が前半部に押し込められ、後半部はまるまる近現代史にあてられています。特に日中間の抗争と、中国共産党がいかに抗日に活躍したかという点が強調されており、何も知らずに中身だけを見せられたら、中国の学校で使うための歴史教科書を翻訳したのかと誤解するかもしれません。たとえば、その真相について異論の多い「南京事件」について、本書は「大虐殺」が既定の事実であるという立場を取り、他の反対意見は紹介していません。それにしても、このような重大事件であるにも関わらず、日本軍が南京に入城した日付を間違えるという、素人でもわかる初歩的なミスを犯しているのを見ると、他の部分は大丈夫なのだろうかといささか不安を覚えます(南京入城が2月13日となっている。本当は12月13日。まあ、そのうち修正されるかもしれませんが)。かなり思想的な偏りがある本なので、中・高校生が本書を読むのであれば、まず他にもっとバランスの取れた本を何冊か読んでからにする事をお勧めします。
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カスタマーレビュー数:1
【くちコミ情報】
極めて端正な一冊
相対的に封建的な階級社会を形成するヨーロッパへのアンチ・テーゼとして、機会の平等や デモクラシーを掲げ、果てなき膨張を以ってアイデンティティとする国家、そんなアメリカ 像に建国過程をはじめとする政治史の観点から分析を施していくのが本書の目的。 本書は九本の論文と一本の講演記録から構成される。 まず「デモクラシーと成功の夢」と題された論文において、通史的にアメリカの理念を確認 した後、続く三本の論文においては、独立、建国のプロセスを政治学的に分析する。 次に、「明白な運命」との表題の下に、膨張主義を宿命づけられたアメリカのmanifest destinyを短く論じると、時代は一気にケネディ、ニクソンへと飛び、当時の政治に生じた パラダイム・シフトに二本の論文を通じて切り込む。 政治、産業、学問の協力体制は二十世紀初頭より現代に至るまでの極めて強力な動力源で あった。ところでその一方で、有用な知識の尊重と無用な知識人の軽視もまた、アメリカに おいて非常に特徴的な要素。そんなアメリカにおける知識像に迫るのが二論文。 最後の講演記録は、いわゆる「メイフラワー誓約」から建国理念を見る。 いずれをとっても、いかにもクレバーな人が書かれたことがうかがえる、非常にスマートで 背骨の通ったアメリカ研究。 逆に、もし難点を挙げるとするならば、癖のなさゆえに、それがどこか淡白とも感じられる 点だろうか。
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カスタマーレビュー数:6
【くちコミ情報】
「職業に貴賎はない」を実感する一冊
亡くなった方の身体を、葬儀に際し洗い清め、死に化粧を施す…「湯灌」という仕事に対し抱くネガティブなイメージを、著者は常に読者よりも先に差し出してきます。「こう思うでしょう?確かにそうです、でも違った見方をするとこうなんですよ」という感じです。著者はあくまでビジネスとして湯灌に携わっていて、そこには悲壮感や使命感はなく、時には笑いさえ織り交ざります。亡くなった方の死出の旅への準備をしながら、ご遺族の心の準備のお手伝いをするお仕事。湯灌のイメージは、最後にはそんなふうに変わりました。
タメになるけど面白みはない「平凡社」らしい作品。そこがいいのだが…
著者の湯灌師としての経験、その経験から得られていく湯灌師としての矜持、死生観が“淡々”と綴られている。文章も内容も淡々としている。読み終わった私は、そのとおりだよなぁと“静かに”頷き、そして、もし自分や身内が死んだら、こういう人の世話になりたいなぁと思ったのだが、それ以外の感想が湧かなかった。 「湯灌師としての著者」が書いていることが正しくて、否定できるようなことがなかったからという理由のような気もするし、著者の思ったこと考えたことが、経験に基づくものであり重たいということは理解できるが、それが私の想像の範囲内だったからという理由のような気もする。 死者に対する敬意。「死」を扱う職業への偏見。考えさせられることはたくさんあってタメになる。一度は読んでみたほうがよい本だと思うが、面白みのある本ではない。 この題材であればもっと扇情的(裏話的)なエピソードの紹介を著者に要求する出版社は多いだろう。だが、そうしないのが平凡社の平凡社たる所以か…。「死」を真面目に考えたい人向きの本といえる。
死について正面から考えさせられる本
普段読むジャンルの本ではないのだが、日経ビジネスの書評欄で取り上げられていたので読んでみた。現役の湯灌師が自らの湯灌家業と、湯灌家業を続けながら考える死生観を書いている。「湯灌」とは、人が亡くなったときに最後に洗い清め、葬式に向けて身支度をする行事のことであるが、僕自身が湯灌という慣習とは縁なく来ているためか、葬儀屋のほかに湯灌師という職業があることすら知らなかった。この本を読んで、いわば人間の静脈産業たる職業について初めてきちんとした理解を得ることができた。現代資本主義においては何でもそうだが、誕生するときは尊いものとして扱われる一方で、死ぬときはなるべく人目に触れぬようにひっそりと処理される。一昔前までは生死とも同等の価値を持つものとして扱われきたはずで、それが変質したのはいつ頃からなのだろうか。昨今の子供による殺人事件の多発などを見るに、「死」という事象が軽薄化してしまっているのは、このような死の儀式すらマニュアルに沿って処理されるようになっていることと無縁ではあるまい。残念ながら、ではどうすればよいかというよい処方箋が思いつくわけではないが、せめて自分が死んだときには、筆者のような湯灌師によって心を込めて最後の身支度をしてもらいたいと思った。
一人でも多くの人に読んでもらいたい
大手でも湯灌サービスの仕事を募集してもなかなか就く人が居ないと、 著者が本の最期で書かれているが、 この仕事をこなすにはお金だけでは出来ないとこの本を読むと思わせる。 それは相手が死体だからではなく、一番難しいのは遺族が相手だからだ。 遺族の前で、遺族の心が納得して満足できる湯灌に導くことは 中途半端な気持ちでは、遺族の神経を逆なでして旨く出来ないと思う。 もちろん変死体にもプロとしての根性が必要だと思うし その技術習得も技を必要とするのもこの本で知れる。 ただ、このご夫婦が信用を築いていけたのは、大切な家族を失った遺族を この湯灌で慰める才能があったように感じてしまう。 このご夫婦はもちろん、これからの湯灌サービスを目指す人にも 社会からの偏見を拭うことも先決に思った。 この仕事がいかに大切な仕事かをより多くの人に知ってもらうためにも 沢山の人に読んでもらいたい。
死者への愛情
「湯灌」とは亡くなった方を洗い清める作業のことを指すが、私達はこの作業を行う「湯灌師」に対して少なからず偏見や気味悪さをもっているというのが事実ではないでしょうか。しかし、人間の死とは万人に共通するただ一つの真理であり、避けられないからこそ、そのときのことを考えずにはいられないのです。 この著書は「湯灌師」という職業を通じて死を現実のものとして現前化させ、現代人が失いつつある死者への敬意、人間、人生への愛情や意味を今一度考えさせてくれる非常に卓越した内容であったと思いました。 私達はどのような形で死を迎えるのかまったく分からない訳です。例え心身ともども美しい人でさえ、事故に遭い身体が引き裂かれ、無残に死ぬ可能性すらあるのです。しかし、その人の送ってきた人生、愛情、美的な面影は永遠です。そして、それらを遺族に残すという大切な職務もこの仕事に含まれるというのです。いかえれば、亡くなった方への、つまり、神仏の世界に行く人への敬意と尊厳を守るのがこの職業の意味なのです。私達は人の心を少々軽んじてはいないだろうか。ただ職業の特殊性にのみ目を奪われてしまい、その根底に存在する人の心を見失いがちなのです。 「湯灌」という職業は確かに、不気味かも知れません。しかし、この職業は人生を終えた人への最後の心遣いであり、私たち人間の本質にあまりにもかなった、失われてはならない職業なのです。
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【くちコミ情報】
非常に整理された内容
蝦夷に英雄時代はあったか、をテーマにする一冊。 とはいえいきなり蝦夷の指導者たちに迫るのではなく、 冒頭からじっくりとページ数を割いて、外堀を埋めるかのように 「蝦夷とは何か?」に迫ってゆく。 著者自らの主張を展開するというより、最新の研究の成果を総合的にうまくまとめてくれている。 章立て・構成が絶妙で、よく整理されており、非常に理解しやすい。 その上で、なぜ古代蝦夷と呼ばれた人々が独立国家を持つに至らなかったのか、 またその可能性はなかったのか?という考察へ入って行くので、 その論説にも説得力を感じさせられる。 東北地方から北海道にかけて、色濃く足跡の残るもう一つの日本の歴史。 はるかな歴史の浪漫に、思いを馳せる一助になってくれる一冊。
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日本の僧侶にとって戒律とは
日本仏教における「戒律」の位置について歴史的な展望を得られる優れた入門書。僧侶の「身体」の規制のされ方に焦点をあわせた新しいタイプの仏教史の姿が、著者の明解な語りによりすらすらと説かれていておもしろい。 古代における戒律システムの形成を述べた後、その「戒律」の意義がいかに変質してきたのかを、前半は主に「男色」というややセンセーショナルな「破戒」の実態を明らかにしつつ解説していく。中世のパブリックな仏教を担った官僧たちのあいだでは、地位の上下を問わず「男色」がかなり普及していたらしく、それはほとんど「文化」と化していたらしい。 後半では、こうした既成仏教の「破戒」ぶりに業を煮やした誠実な僧侶たちによる革新的な運動の重要性について論じられる。原理としての釈迦信仰などに導かれながら、貞慶や叡尊といった「戒律復興」の旗手たちが、女性も含めた自戒の実習を積極的に推進し、またよみがえった「戒律」の聖性を身にまといつつ死者儀礼や土木事業や被差別民救済へと取り組んでいった歴史が熱く論じられる。また、同じく官僧たちの「破戒」の現状にうんざりしながらも、しかしむしろその「破戒」をきわめて自覚的かつ公示的に選び取った親鸞仏教の意味についても、比較考察がなされる。 こうした歴史を振り返りつつ、最後に著者は、現代における戒律復興のすすめを行う。僧侶が世俗とは明確に異なる「身体」を示してこそ、仏教の再生はありえるのではないか、と。まっとうすぎるほどまっとうな意見であり、少なくとも浄土真宗意外の僧侶はすべて、学者さんに言われるまでもなく何とかしてください、と改めて強く思ってしまった次第である。
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東西の個人と社会そして「自由・平等・平和」の成り立ち
自分のなかに歴史をよむ (ちくま文庫 あ 4-3) は著者がヨーロッパ社会に興味を持ち、西洋中世史を志すようになった経緯をとおして、ヨーロッパ中世史を人間関係の変化から読み解いています。たとえば、なぜ自然科学や資本主義がヨーロッパに誕生し、発達したか。二つの宇宙(ミクロコスモス、マクロコスモス)の章では、なぜ中世人たちは、占星術を深く信じていたかや、神殿をめぐって「アジ−ル(避難所)」が語られます。唐突ですが、高校生が発した質問「鎌倉以降天皇の力が弱くなりながらもなぜ現代まで存続できたのか。」「なぜ、平安末、鎌倉という時代に優れた宗教家が多く現れたのか。」という問題に答えようとして、網野善彦は日本中世のアジ―ルについて「無縁・公界・楽(平凡社)」を書いたわけですが、この大きな質問は、この「無縁」原理がキリスト教会によって制度化され、ヨーロッパにのみ、なぜ自由・平等・平和の思想が生み出されたかということにつながっていきます。さて、人間関係といえば、人間と人間のあらゆる関係の総体を社会(society) と呼びますが、阿部氏は日本にはヨーロッパ社会と異質の、「世間」があることを指摘しました「「世間」とは何か(講談社) 」。日本の学者の大多数が日本社会を「社会」という言葉で論ずるとき、実際の日本社会「世間」とのずれを全く理解していないことを指摘しました。また、社会は、個人から成り立っていますが、日本おける個人のあり方とヨーロッパにおける個人のあり方は根本的に異なっています。ミッシェル・フーコーが指摘しているようにヨーロッパにおける「個人」の成立にカトリックの「告解」が深くかかわっていますが、阿部氏は、さらに中世人が告解をとおして「男と女の関係の問題」を「自覚」する中に個人の誕生を見たのです。(「西洋中世の男と女」筑摩書房)。
「日本の歴史をよみなおす」のほうが上かな?
この本は、1970年代半ばに書かれた、日本の中世史に関する基本文献です。1970年代の出版後、素人には大変喜ばれ、研究者には異端視されたというこの本は、現在でもその生命力を保ち、安富歩氏の最近の研究にも影響をおよぼしています。 戦国時代にあって、主従関係、親族関係等々の世俗から離れていて、一応の権力からの「自由」を確保し、通行の自由、主従関係・貸借関係から離れた一種の「理想郷」として網野氏により描かれている「無縁」「公界」「楽」は、漁民、「芸能」を持つ職業人、僧侶などによって構成されているものであり、それは古代ヨーロッパのアジールと同様な性格のものだと説明されています。アジールとは、罪人のアジール、外国人のアジール、奴隷のアジールなど避難所的なものでしたが、のちに実利的なものになってゆくものです。 日本の場合、縁切寺、宿、神社仏閣、自由都市、楽市楽座、被差別部落、墓所、倉庫などの場所で、延々として、脈々として、この「自由」と「平等」が受け継がれていきたと網野氏は捉えます。金融もそうした場所で行われてきたと説いています。 私は昭和30年代に、半農半漁の地で育ったのでよくわかるのですが、農業の地主対小作人の絶対的格差に比べて、漁業を営んでいる人々は相対的に豊かでした。また、近くの朝市なども栄えていたものです。もちろん農民も牧歌的ですから、苛斂誅求に苦しむばかりではなかったでしょうが、これまで、素朴だけれども多様で豊かな日本社会像が学校教育では苛斂誅求の封建的な社会と暗く描かれてきたのは事実ですし、網野氏のこの本がそうした公式的な見方を打ち破ったのも事実でしょう。
網野史学の出発点
本格的な歴史の学術書。「日本の歴史をよみなおす」や「蒙古襲来」といった啓蒙書とは一線を画すものがある。つまり、記述の根拠となる資料を示して、その著者による読解を通じて結論を示す、というスタイルなので、分かりやすさや通俗的面白さを期待してはいけない。 内容は、平泉澄が先鞭をつけたが、途中で研究を放棄してしまった、日本における「アジール」の研究である。著者は、日本においては寺や市場、自治組織などに法の及ばない「アジール」が存在したことを各種資料を駆使して示そうとする。 この指摘は、暗黒の時代のように考えられている中世において、むしろ江戸期よりも庶民には権力に対する抵抗の自由があったことを示唆していて興味深い。しかし、それは一方で俗界からの「無縁」を条件とする厳しいものでもあった。 よく知られているように、この「為政者に抗して自由を求める『道々の者』をテーマに小説を描いたのが隆慶一郎である。その点、痛快な歴史小説を生み出す原動力になったことは評価できる。また、この書物でははっきりとは打ち出されていないが、「無縁」を天皇とダイレクトに結びつける視点を後年の網野氏は打ち出し、それがかたちを変えた天皇崇拝ではないか、と一部からは批判された。 いずれにせよ、本書は大変独創的な網野史学の原点であることは間違いない。必読の歴史書である。
民俗の歴史学は本書で始まった
惜しくも、物故された歴史学者、網野善彦氏の網野歴史学とでもいうべき史学の代表作である。日本でも欧州でも中世は宗教の支配する暗黒の時代と認識されていたが、本書によって、網野氏は日本の中世の封建時代の中の農民や武士以外の人々の生活を克明に調べ上げ、駆け込み寺に代表されるような、当時の体制から、切り離された自由の空間があった事を指摘する。 p 本書によって日本の歴史学も、支配階級・制度の闘争と変遷から庶民の暮らしが研究の対象として切り拓かれていった。柳田国男が民俗学を作ったように、網野氏は民俗歴史学を作り上げたのだと思う。
日本中世の自由とは何か
網野善彦といえば、まず「無縁・公界・楽」が挙げられるという網野氏の代表作。 網野史学を理解するなら、まずこの本を読まねばならない。 網野氏の専門は中世史であるが、この本は中世のみに留まらず、未開社会から 近世までを倒叙的に叙述してある。また、その問題関心は網野氏自身「風呂敷」 と称したように幅広い。その起点は「自由」である。 西洋近代の言う「自由」とは異なる意味において、日本中世に「自由」が成立 したとする。しかしながら、そこには「平等」ではない「階級」が存在したと している。近年の矮小な「差別論」など、たちまち崩壊するであろう。 また、「二十二章 未開社会のアジール」では、アジール(避暑地、または避難所 と訳される)論を未開社会に広げて適用することを提起する。もともと、アジール 論は平泉澄が主張したものである。「皇国史観」でもって否定されこそすれ、 正当に論証されてこなかった平泉を正当に批判したことに、この章の意義がある。
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