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あなたも大英帝国の路地裏に入ってみよう
本書が刊行されたのが、1982年。それから、書店にはおびただしい量の社会史の文献があふれてしまった。専門家集団における関心の高まりはもっと早かったにちがいないが、一般の読者にまで社会史研究の魅力を伝えるにあたって、本書は大きな役割を演じた。政治史や経済史という古典的な観点を超えて、一般の人たちが実際にはどんな生活を送っていたかに興味を寄せるのが社会史の手法だ。病気や性の問題も当然そこには含まれる。このようにして、大政治家ではない普通の人たちの生活が鮮明に描きだされる。あなたも、大英帝国の路地裏に入って散策してみよう。アカデミックな興味を離れたしても、読み物として魅力的な書物だ。
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ユダヤ+アフリカ
ウォーラーステインは学生時代政治学の事業で名前は聞いていたものの,あまり関心を持つこともなく20年近くが過ぎた。ユダヤ系アメリカ人でアフリカをフィールドワークにしていたこと,ブローデルの影響を強く受けたこと等を知ることができた。 また,単なる解説ではなく,筆者たちの強い思いが感じられ,好感が持てた。
原著・翻訳の前に、是非。
本書の入門書としての完成度は他のレビュアー様のおっしゃるとおり。 大変とっつきやすいものです。 私はこの本の前に原著→翻訳という順序でウォーラーステインの著書に当たってみましたが、先にこの本を読むべきだったと思っています。 というのも、ウォーラーステインの分析は、超難解というわけではないものの、かなり多くの概念を扱うために、トピックとトピックの繫がりを包括的に抑えづらいということがあり、どうしてもざっと分析の全体像を上手い具合に把握することができなかったのです。 そういった経緯から、この本の入門書としてのできばえもさることながら、実際の有用性も含めて、本書に星五つの評価を捧げたいと思います。 ウォーラーステインに興味がおありでしたら、原著・翻訳の前に、是非。
よくできた入門書
「1.生い立ちと思想」では、ウォーラステインの研究者としての生涯をたどりながら、世界システム論が生まれる背景、理論の発展のプロセスに迫っていく。 「2.ウォーラステインのキーワード」では、「中核」・「周辺」や「反システム運動」といった概念が端的に説明される。 必読なのは「3.三次元で読むウォーラステイン」である。ここでは、各論者がそれぞれ世界システム論を軸に様々なテーマを論じる。ウォーラステインの思想がどのように社会科学諸分野に応用できるか、そしてその限界は何か、といったことがアクチュアルな事例として提示されている。 最後に作品解説も付され、原典に当たる上でのガイダンスにもなる。 とても読みやすく、またよく練られた構成で格好の入門書と言える。ウォーラステイン及び世界システム論に少しでも関心がある方はぜひ読んでみるといいと思う。
興味深い本です。
単なる世界システム論の説明ではなく,世界システム論を応用しながら,歴史の事実や現代社会を解明している書物。その際に,世界システム論を応用するだけでなく,世界システム論の欠点を補いながらそれぞれの学者が論じているところがこの本は一番面白い。特に,最後のウォーラーステインの書物の紹介は,彼の書を読もうと思っている人に参考になると思う。
良く練られた企画
内容が良く練られている本。 単にウォーラーステインの思想・理論を語るのではなく、 様々な研究者が自分の専門分野とウォーラーステインの理論との 関係、その限界を指摘している。 もちろん、基礎的なところはしっかり押さえてある。 ウォーラーステインに対する評価は様々であろうが、 一度は触れてみるべき理論であろう。 p 本書を入門として、直に作品に接することで よりウォーラーステインを理解できるのではないだろうか。
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複雑な現代のイギリス社会について知る
ロンドンの連続テロは,南アジアからのエスニック・マイノリティーによる犯行との捜査結果であったが,何故に彼らがイスラム原理主義に走り,凄惨なテロを起こしたのかを読み解くには,イギリス社会が抱えた問題について考える必要がある.彼ら移民の2世は,イギリス生まれであってもマイノリティーとしての差別,経済的な貧困によって,イギリスでの疎外感を味わっている.かといって,オリジンとなる国の言語を話せない場合も多く,それらの国を訪問しても,そこでも疎外感を感じる.民族的なアイデンティティーの欠如が,過激な思考に陥る一因となったと考えるに難くない. また,エスニック・マイノリティー間での格差も広がりつつあり,インド系や中国系に比べて,パキスタン,バングラデシュ系の住民の教育環境は遅れつつある. 本書は,この50年間のイギリス社会の変貌を,宗教,教育,王室,女性の地位,食事,労働組合,アメリカの影響,文化,建築など,様々な切り口から解析を行っている.イギリスの生活や文化が日本でも馴染み深いものになってはいるが,その社会の実態については日本ではあまり知られていない.イギリス人が書いた現代のイギリス史は,そのギャップを埋める一助になる.
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読みやすい。
1980年代の著作であり、この後にウォーラーステインが提唱する新パラダイムの序曲という印象を受けた。 訳者あとがきには、本書は「資本主義世界経済」と対比されるべき性格のものだという言及があるが、彼の理論的推移を追っていく上では、これ以降に書き上げられたものとも合わせて読み比べたい。 他のウォーラーステインの本(翻訳・原著を共に含む)の中でもとりわけ平易に書かれているので、大変読みやすい。 こんな平易なものは嫌だという方は、彼の主著である「近代世界システム」(既刊三冊)を読むなり、世界システム論を論じ始めてからの自分の論考を振り返る形になっている「脱=社会科学」を読まれるとよいだろう。
南北問題の起源がわかる本
本書には、著者が『近代世界システム』の執筆過程で抽出した、世界システム論の理論的枠組みが平易な文章で提示されていて、『近代世界システム』より容易に読み進めることができた。著者は、資本主義システムの特徴として、生産者から消費者にいたる長い商品連鎖のどこかに位置する二者間の取引に際し、両者が水平的ではなく垂直的に統合されていることが多い点。また、取引価格が対等な交渉ではなく、両者間の力関係に基づいて決められることに起因する不等価交換によって、システム内の余剰が周辺地域から中核地域へと移動していく点をあげているが、いわゆる南北問題の起源をとても解りやすく解説してくれている。 特に興味を引かれたのは、人種・民族差別を経済的に説明している箇所で、経済的分業体制に組み込まれた各人種・民族に「伝統」という外皮をかぶせた結果、制度としての人種・民族差別が生じたという主張だ。これは前近代から存在する「よそ者」への恐怖である排外主義と異なり、抑圧された集団をシステムから追い出すのではなく、システム内に留めることを目的にしているという。人種・民族差別が労働者の階層化と不公平な分配を正当化するイデオロギーになり、各集団の遺伝的・文化的特徴こそが、経済的分業体制の中で各集団がそれぞれ違った位置を占めていることの原因だとみなされ、政治的・経済的に抑圧されている人々は、文化的に劣っているからそうなったのだと説明されていく。エスニシティーの違いを大いに活用して、労働者を階層化し安価な賃金労働を確保してきたのだという主張は、現代の南北問題を考える上でとても参考になった。
「世界システム論」の概説書
イマニュエル・ウォーラーステイン (Immanuel Walle stein,1930〜)は『近代世界システム』等を著わしたアメリカの社会・歴史学者であるが、彼の提唱する歴史理論=世界システム論のエッセンスを平易に概説したのが本書(Histo ical Capitalism with Capitalist Civilization)である。 彼は、「資本主義」を先ず「歴史的な社会システム」として押さえ(史的システムとしての資本主義)、その第一の特徴を「資本の自己増殖=あくなき資本蓄積」とし、そこから彼独特の資本主義的世界システム論(「中核−辺境」「インターステイト・システム」等)が展開される。そして、そのアプローチの特色は演繹的推論を排している点にある。 ウォーラーステインは、方法論的にはフランス・アナール派歴史学を代表するフェルナン・ブローデル(Fe nand B audel,1902〜1985)の手法を踏襲して「資本主義」の帰納的論証を試みている。ただ、ブローデルは、二人の基本的な視点の一致は認めるものの、彼独自の「世界=経済」論に基づく別の歴史解釈も示している(『歴史入門』参照)。 また、我が国でも金子勝氏が世界システム論に対する批判(覇権国の不存在等)を行っているが(『市場と制度の政治経済学』参照)、本書ではインターステイト・システムにおける「ヘゲモニー」の在り方にも論及しており、この指摘は概ねクリアされていると言ってよいだろう。いずれにしても、ウォーラーステインに係る論争の種は尽きそうにない。
資本主義の目のウロコ
剰余価値論、再生産論など、マルクスの資本主義論につきものの、煩瑣な数式を除外して、人間の歴史にとって「資本主義」とは何だったかを大胆、かつ大局的に問う力作である。いわば、初期マルクスに見られる鮮烈なヒューマニズムを、グローバル化時代の現代に甦らせた書物で、いまはやりの国際関係論はもちろんのこと、政治学、経済学を志す学徒の必読書といって良い。彼の指摘する「インターステート・システム」と「資本の飽くなき自己増殖欲」は、世界が貧富の両極に分裂して行く必然性を、見事に摘出している。翻訳もこなれている。
資本制という「マトリックス」からの覚醒
資本制を一般的なモデルとして捉えるのではなく、特殊なしかし極めて協力な 歴史的事象として捉えようという立場をとっている。平易な表現でかかれてい て分りやすいが内容は壮大。資本制の特殊性について考える上で、いまやウォ ーラーステインは避けて通れない存在。主著『近代世界システム』の入門書と しても最適。市場の内/外を析出する再生産労働抑圧の仕組み、国家という枠 組みを利用しつつ。突出した「ヘゲモニー」さえも先細りにし、システムの平 衡をもたらす狡猾な「インターステイト・システム」の存在。人種差別や普遍 主義というイデオロギー装置の創出…。利己的遺伝子が自己保存の為に乗り物 (個体)を乗り換えるなら、資本制は「資本蓄積」の為にならどんな汚い手も 使う、といった風だ。映画『マトリックス』を思い出した。おぼろげな浮遊感 をきっかけに主人公がマトリックスの存在に目覚める映画だったが、本書はま さにそうした覚醒をもたらす衝撃があるかも知れない。リーマン必読!!
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近代世界システムとは何か?
著者のいう「近代世界システム」とは以下のような意味らしい。まず、人類社会を他から孤立した「自給自足システム」と、それを超える「世界システム」とに分類し、次に後者を「世界帝国」と「世界経済」に分類する。さらに、後者の中でも特に16世紀の西欧で成立した資本主義に基づく世界経済を指して「近代世界システム」と名づける。このシステムは経済的中心にあたる「中核」、収奪される「周辺」、両義的な「半周辺」の3つの地域から成り、西欧を中核としてシステムが地理的に拡張していく過程で、他の地域社会を周辺・半周辺地域へと変換しつつ包摂してきたとされる。その特徴としては、歴史上しばしば出現した「世界帝国」のように、ある経済的分業体制が政治的にも統合されているのではなく、経済的には一体のシステムであっても、政治的には統合されていないこと、大規模な地域的分業を伴ないつつ、資本の蓄積を目的とする世界市場向け生産が行われること、システム内の余剰が周辺地域から中核地域へと移送され、両者の間の経済的格差が、地域的分業が深まるにつれて拡大していくこと、等の点にあるとされる。 本書は本文にも匹敵するページにわたる膨大な注や引用史料によって、実証的に「近代世界システム」という大きな枠組みを過去の歴史の中から浮かび上がらせようとした大著で、経済史や社会史の知識がそれほどない私にとっては、かなり難解に感じられる箇所もあったが、世界システム論の理論的枠組みの解説に重点をおいた『史的システムとしての資本主義』と併読することによってかなり理解が助けられた。ウォーラーステインを初めて読む方にはこの2冊を併読することをおすすめします。
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通史の定番
このシリーズは各国の歴史を簡潔にまとめたもので、歴史に興味のある人間が手始めに読むのに最適である。とくに前近代のヨーロッパ史では、ドイツ・フランス・イタリアを中心に描かれることが多いので、本書のような地域密着型の叙述はイングランド古代・中世の理解に役立つ。また、アイルランド史も取り上げられており、「イギリス史」の全範囲をカヴァーしているといえよう。 ただ、百年戦争の記述はイングランドの視点のみからではわかりづらく、初心者は同シリーズの『フランス史』と併せて読んだほうが効率的かもしれない。
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