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カスタマーレビュー数:12
【くちコミ情報】
高名な学者も専門外は素人
大変評判の良い本で、またこのたびNHK教育「知るを楽しむ」の元ネタになっている本と言うことで入手しました。確かに文章としてはおもしろいのですが、ご指摘の方もいらっしゃるように「嫉妬」というテーマを掲げている割には人物の掘り下げ方が善悪紋切り型というか、画一的というか、ともかく平板でした。気になって巻末を見ると、参考文献になんと小説まで掲げてられまして、これにはがっかりしました。日本を代表するような高名な学者でも、専門外では素人と言うことでしょう。人間万能ではないのでそれは仕方ないとして譲るとしても、歴史の本と言うより、歴史を通して人物を磨くという雑誌『プレジデント』に掲載されている歴史特集を読んでいるような印象を受け、どちらかというとビジネス書かと思いました。高い評価の多い中、敢えて厳しく評価させていただきます。
嫉妬について考えよう
タイトルに惹かれ、購入しました。 また、安部首相が、総理就任前に読んでいたということで高名な一冊。 中川昭一政調会長も読んでいるということで、好奇心から読んでみました。 著者の山内さん(60)は東大で教授をされており、安部政権で様々な委員会・審議会に名を連ね、 政策立案に参加されている方だということです。(恥ずかしながら、読むまで全く知りませんでした…) 時間があれば、2〜3日で読み終えることが出来ます。 だからといって内容が薄いということではなく、嫉妬をテーマにして、 古今東西の世界史のエピソードが盛りだくさんに詰め込まれている、充実した中身だと思います。 嫉妬について考える、端緒を与えてくれるという意味では満足できる内容でした。 (「嫉妬」について考えようとするとき、自分自身の嫉妬の経験から入ろうとすると、とても冷静ではいられないので) やはり、新書ということで掘り下げが甘いという感じは否めませんが、ここは賛否両論分かれるところだと思います。 私は、(嫉妬という側面から見た)史実と、それに対する若干の印象を書くことに留めるスタイルは、 ともすれば陰惨になりがちなテーマには逆に功を奏しているように思いました。 この本のエピソードの中で、私が1番感銘を受けたのは杉山陸軍元帥の話です。 軍部でも愚鈍と侮られていた杉山が、実は感情の機微に明敏で緻密な計算の上に鈍重を装っていたという話から、 「嫉妬から免れるには、嫉妬をよく知ることが唯一の道である」の感慨を抱かせられました。 最終的には、本書にもあるとおり「嫉妬を飼いならす」ところから、「嫉妬を利用する」という洗練の域に達したいものですが…まだまだ修行不足です(^^;)
人間という生き物の最も厄介な醜い感情
嫉妬という感情。それは人間という動物に於ける最も醜い感情であり、国をも滅ぼす。 本書は、新書らしくパラパラと読みやすい一冊で、歴史上の人物が心底苦労した嫉妬という感情の魔の力を、具体例を挙げて提示していきます。 「女の嫉妬は醜いとは、よく言うが、男の嫉妬のほうがもっと醜い」というようなことが書いてありましたが、同性からの嫉妬に死ぬほど苦しんだ経験のある男性ならば、本書を読むことで、歴史上の人物の苦悩と自分のそれを重ね合わせて、芯から納得することが出来るでしょう。 それにしても、嫉妬はよくないですね、するほうも、されるほうも。 その嫉妬を倦み出す源である「感情」というものを失くせたら、楽なのかもしれませんが、そうすると人間は動物ではなくて、まさに植物人間になってしまいますから、そうはいかないんでしょうけれど。逆に考えると、嫉妬とは、最も人間らしい感情の表出なのではあるのでしょう。なにせ、嫉妬とは、愛情の裏返しとしての感情な訳ですから。
良いテーマです。
ウス汚れている。魑魅魍魎。跳梁跋扈。 一言で言えば「足の引っ張り合い」の話集。 英雄たちの輝やかしい業積、知略や謀略の源を 「嫉妬」で片付けすぎだ。 読後、こんなんに巻き込まれるのはまっぴらだ! と強く思う。 だがその人間臭さが非常に楽しめた。 ああ、そういう事って大いにあるよね、と。 嫉妬という前提つまり切口でみる事により、 偉人の所業がよりカラフルに浮かんできた。 サルや犬といった動物すらも嫉妬の感情をもっている。 人はそれを理性で覆い隠しているから、 それが露顕した時は眉を顰める。 すこしエロと似てんな。 で冒頭の、嫉妬の男女差についての話は 重要な視点が抜けてるかもよ? 男は、嫉妬してそれを源に行動しても、 後付けの論や理由を作りあげてそれを自分でも信じる。 だから本人は嫉妬に気付いていない場合が多い。 これは間違いない。
実践処世術
世界史上の面白場面が、巧妙に描かれており、興味深い。 生命の本能は、生存闘争であり、嫉妬心は、その一つの、 人間的、社会的側面。 松本幸四郎から始まり、野獣すでに尽きて猟犬煮らる。 シェイクスピアから忠臣蔵。 大田道灌からアレクサンドロス大王。 安部一族にロンメル、カエサルにゴードン。 興味深い逸話の、速射砲。 最後は、保科正之に学ぶ。 歴史と人間本能の不思議を、楽しみましょう。
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【くちコミ情報】
歴史的想像力の多様性、著者の名人芸
シルクロードをめぐって、いろんな時代や地域、テーマから多彩なエピソードや引用がちりばめられている目まぐるしいほどに自由で豊かな本です。著者の教養と知的関心の広さが存分に発揮されていて、歴史好きの読者ならば好奇心をたっぷりと満たされるのではないでしょうか。歴史に対するアプローチの多様多彩さを示した見本市の観もあり、ファンならば山内先生の名人芸を堪能できる一冊です。 「歴史の書物との出会いや先人との邂逅は楽しい」ことにふれて引用される橘曙覧の歌、「たのしみはそぞろ読みゆく書の中に我とひとしき人をみし時」は共感できて印象に残る言葉でした。 「おわりに」に、「平城京奠都一三〇〇年」とあるのは「遷都」の間違いでしょうね。「奠都」にルビも振られていないし、編集者が手抜きしてチェックを怠ったのかな?教養が売りの著者だけにこういうエラーは痛い(笑)。しかも2回も繰り返されているからなお痛い(笑)残念ながら☆1つ減点です。でもいい本ですよ。
該博な知識と教養に裏付けられた極上の歴史エッセイ
本書は新聞雑誌等のために書かれたエッセイの集成というものだが、専門のイスラムはもちろん、該博な人文諸科学に裏打ちされた驚くべき知識量に圧倒される1冊だ。羨望? う〜んここまでさり気なく、しかもあらゆる領野に亘る知識の詰まった雑文集…。ただただ拝読するのみ。しかも面白く読めるのだからたまらない。イスラム学では井筒俊彦など、トンデモナイ博学がいるようだが、それを受け継ぐのがこの人ということだろう。 『ラディカル・ヒストリー』(中公新書)など、知見が古くなったことをもって読む必要がないといっている学者もいるようだが、評者のような素人にとっては学ぶところは汲み尽せないくらいだ。だいたい新書などというのは、啓蒙書であろうから。 その点本書は、さらに一層の入門編である。しかも、読者次第でドンドン深く広く進んでいける。これこそ啓蒙書である。そういう本はこのところあんまりないのだなあ。 冒頭の司馬遼太郎の短編とカフカの断章を並べるところからして、唸らされる。未だにキャッチアップ応援歌としてのみ言及される司馬遼の読者は、カフカなど読みやしないという気がするが、これこそ司馬の新たな読みを促し、カフカという元祖マージナル作家への眼を開かせる。そのさり気ない配慮がこの著者の真骨頂でもある。
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多筆な歴史家の最新エッセー集
山内教授の多筆振りは今に始まったことではないが, 最新のエッセーを新たに編集した文庫オリジナルという点が嬉しい一冊。 最近日経文庫から『モンゴルが世界史を覆す』を出した杉山正明との対談では,中央アジアこそが後の明清・ムガル・オスマン・ロシアといった帝国を生み出したことを巡って雄大な議論を展開している。 また,山内教授の『嫉妬の世界史』に関連するエッセーも複数収録されており,中でも,金田一京介と知里真志保の師弟関係を「嫉妬」の観点からまとめた「弟子をねたむ師,師をそねむ弟子?」は唯一「書き下ろし」であって,征服・被征服の民族関係を軸に展開される解説は読み応えがある。 さらに,「『プロレス』あるいは『プロレスと一家団欒』」「無欲な女性」に浮き彫りにされる山内教授のご母堂への想いは,エッセイストとしての魅力を再認識させられる好小品である。
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日常的にごく当たり前に使う「歴史」という言葉。誰もが興味を持ち、知りたがっているが、あらためて考えてみればその実体は霞のようにとらえ難いのが歴史の本性だろう。研究の手法は科学のようでいて、叙述という形式は文学的でもある。そもそも、歴史とは何なのか。そして、本当に歴史に真実はあるのか。特に専門家にとって、これらは影のようにつきまとう難題に違いない。 こうした歴史の根本的なあり方について、「人間・社会・国家」を枠組みに据えて考察したのが本書である。『イスラームと国際政治』などで知られる博学の歴史学者、山内昌之の問題意識は主に3点だ。第一は「人間の営みは歴史のプロセスの前で無力なままに消え去るだけにすぎないの」かということ。つまり、歴史学の存在意義について。第二は「歴史は科学なのか、それとも文学なのか」。第三は「歴史と現実政治との関わりについて自分の理解を整理すること」。 著者自らが「永遠に答えの出ない大きな問い」と語っているように、本書で断定的な答えは得られない。しかし、ヘロドトスや司馬遷をはじめ、「歴史学の父」イブン・ハルドゥーン、ギボン、内藤湖南、吉田松陰など、古今東西約200人の歴史家の例を引用し、一連の営みをひも解く過程は含蓄と示唆に富んでいる。専門家の姿勢を問う内容だけあって難解かもしれないが、多くの史料を厳密に引用して語られる本書はその文体も含めて、歴史の作法と本質を学べる真摯な1冊である。(齋藤聡海)
【くちコミ情報】
タイトルに偽りは無いのだが
歴史学にとって非常に重要で基礎的なことを延々と述べている本。にもかかわらず具体例として扱っている事象は高校世界史を逸脱するようなマニアックなものであり、本書のターゲット層を今ひとつ測りかねる。文章も、端的に言って読みづらい。 ただし、ご本人の講義をテレビ等で見たことがある人なら知っているだろうが、山内氏の生の授業は大変おもしろい。なぜこれが文章にも生かされないのか、疑問である。
歴史とは何か
「歴史とは何か」 この大きな問について、日本のイスラム史の碩学がこれまでの自信の研究歴や思想遍歴を基に考察した成果がこの書である。 決して読みやすい書ではない。 文章は生硬であるし、各地・各時代の典籍を縦横に駆使し、名言を多数引用するので、一定の知識がない人は展開について行けないであろう。 「天道是か非か」 「歴史は過去の政治にして、政治は現在の歴史なり」 といったあたりが著者の主張を凝縮した言葉であろうか。 歴史とは単なる過去の事実の集積ではない。 歴史は著述であり、人を動かすものでなければ意味がない。 事実の中に価値を、意味を見いだす営為こそが歴史である。 そこには時間の流れと共に人間の意志がある。
歴史の現代性
『歴史の作法』というタイトルは、一見、歴史叙述のマニュアル書を連想させる。 p しかし、細かな叙述方法に言及することはない。 歴史論文を執筆する上で心がけることについては参考になるが、 方法論ではないので、そのようなつもりで読むべきではない。 p 本書は、主に日本史・中国史・イスラーム史を扱う。 p 著名な歴史家の著作をふんだんに引用しつつ、その意義を考察している。 いわゆるヨーロッパ史は登場しないので、興味のない方は避けたほうがよい。 p 歴史学とは、哲学とは違い、具体性を重んじる。 そのような見解の下、内容も歴史哲学のような小難しいことではなく、 具体例で色塗られている。 p 少し穿った見方をするならば、歴史書の紹介本と言えなくもない。 最後の「歴史は過去の政治にして、政治は現在の歴史なり」という 山路愛山の引用がなければ、二つ星であっただろう。 p 歴史家は、過去にばかり目を向けるのではなく、 現代政治からもインスピレーションを受けることができるのである。
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ロシア革命を学ぶものは必読
イスラムの篤学にして、手練の書評家、エッセイストとしても『嫉妬の世界史』など、それこそ羨望するのも畏れ多い。それが著者・山内昌之だ。近年ショウケツ跋扈するええ加減な読み、あるいは読んでいないような書評、読書エッセイとは比較を絶する。彼に匹敵するのは、米原万里亡き現在、鹿島茂くらいではなかろうか。読むべき本、当たるべき資料にしっかりあたっており、その読みの深さも半端ではないのだ。何よりも元手がかかっている。読まずば、評するな! 山内の最高傑作は、本書『スルタンガリエフの夢』である。土肥恒之の『ロシア・ロマノフ王朝の大地』を読んでいて、不図思い出したのが本書だが、これがいまや一般書店では簡単に手に入らなくなっている。本書こそ文庫化すべき古典であると思うがなあ。 (いま手元にないので中身を評することができない。)
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