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【くちコミ情報】
戦後民主主義
本書は、筆者が何と主張しようが、「戦争、天皇制、人権抑圧、貧困」の戦前に対する、「反戦、平和、民主主義」の戦後という対立軸を前提としたものであり、小学校5年戦で終戦を迎えた世代が一時期あこがれた思想が色濃く染みついたものである。内容に逐一コメントすることはレビューの範疇を超えるが、東京裁判について「この裁判を通じて日本人は、権力やマスメディアのウソに誤魔化されず、真実を知ることの大切さを学んだ」と書いている一文を見れば、筆者の立脚点は明らかだ。 人格形成の大切な時期を「戦後民主主義」に翻弄され、既に人生の最終局面に入りつつある世代の著作としての意味はあろう、という意味で★一つ。
分かりにくい方法、興味深い分析、月並みな展望
本書は1935年生まれの日本近現代史家が2005年に刊行した300頁程の新書本であり、「貫戦史」と「1960年体制」をキーワードとし、著者の生活体験や聞き書きをも挿入しつつ、戦後60年史を論じた一般向け通史である。その際、貫戦史とは「断絶か連続か」という従来の二分法を廃し、その両面をグローバルな視点から捉え、戦後日本史をプレモダン、モダン、ポストモダンの3層構造として把握しようとする立場であり、また記憶の問題とも結び付いているというが、言わんとすることは分かるものの、いまいち分かりにくい概念である。また1960年体制とは、従来の政党に注目した時期区分である「55年体制」という視点をとらずに、社会史の観点から戦後社会の確立を1960年頃と見る立場を指す。その上で、著者は戦後日本史を1960年までの戦後社会(国内では平和、民主主義、貧困からの脱出を、国際的には国際機関の発達、植民地の独立、冷戦体制を指す)形成期、1973年までの戦後の基本的枠組みの定着期、1990年までの戦後の揺らぎの時期、それ以降の戦後の終焉期、というほぼ15年ごとの時期に区分する。なお、この戦後史は1930年代における19世紀システムの終焉、1990年代における21世紀システムへの移行という大潮流の一部を成すとされる。こうした時期区分に基づいて、本書は新しい研究成果に依拠しつつ、小泉政権に至るまでの戦後日本史を、主として政治と経済に重点を置きつつ論じている(文化史はやや浮いている感)。読みやすく、また興味深い事実も根拠付きで多々述べられており、非常に参考になった反面、いささか今後の展望が月並みであるようにも感じた。それは、「新自由主義」路線対「第三の道」路線という欧米の新たな対立軸に関する記述が乏しい点、多国籍企業やNGOの分析が弱い点、基本的に著者の関心のありかが平和問題にある点と関連しているだろう。
冷戦時代の残滓
冷戦が終わって10年以上たっているにも関らず、著者は冷戦思考から抜け出ることができない。全てを二項対立で描く傾向は、今日の政界情勢や歴史の視点としてふさわしくないだろう。すでに二項対立思考が通じないことを著者も感じ、「貫戦史」という言葉を使っているものの、冒頭から「戦後とは戦前の反対概念である」と断じて、キーワードを「戦後:反戦平和、民主主義、貧困からの脱出」、「戦前:戦争、侵略、専制、貧困」であるとしている。そして、結局、この思考から抜け出れていない。この本の内容は全てこの思考に基づいており、現在の思考の流れを意識しつつも、歴史上の事件を、最終的には著者自身が馴染んでいる二項対立のフレームワークに当てははめようとしてしまっている。その辺の無理があからさまであって、無残でもある。そもそも「9・11」のテロであれ、すでにこのような思考からは説明がつかないではないか。事実を押さえるだけの書物であれば、コンパクトであり、手軽であるが、それだけである。何らかの視点・考えを得るに役立つものではない。
歴史からつながる現代日本政治
私は歴史をふりかえることが嫌いな子でした。 しかし、この本を読み終わって、本当に歴史の重要性を感じる。 p 戦後からの日本政治について、わかりやすくかかれてあります☆ 後ろに軽い年表も載っているので、時代を追いやすいですよ。
入門書
正直な話であるが 戦後史を扱った本としては この本が小生にとっては初めての本である。何で戦後史を読もうかと思ったかと言うと 話は長くなるが 要は 今の時代を理解したいと思ったら 現代史は不可欠なのではなかろうかという 極めて陳腐な理由である。理由は陳腐でも それなりに勉強になるのではないかと個人的には思っている。 p ところで本書であるが p 随所に著者の意見が出てきて それなりに楽しめるものはあったが やはり60年間を新書で纏めるということの困難さは良く分かった。やはりどうしても「薄く」ならざるを得ない点は確かではあると思う。但し「薄い」と読みやすいというのは コーヒーや ワインと同じでもある。すっと読み終えた。 p 冒頭の通り 小生は いわば「ど素人」であり その意味では本書は良い水先案内人にはなりえると思っている。この本に出てくる参考文献などを これから時間のあるときに読んでいけば いつかは 自分なりの現代史が築けるのではないかと 「楽観」している。「楽観的」で「何かを学ぶことが継続出来る」なら 年を取る事も楽しい というのは 論語の時代からの真理であると思っている。
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象徴天皇制は共和制封じの罠だったかもしれない
本書は大戦の最中から大日本帝国崩壊後の新たな日本の統治体制について米国側で周到に準備されていたことが史実に即して説明されている。 当然のことだが、勝利した側はその後の自分たちの利益にもっとも合致するような選択を敗者に強制するであろう。象徴天皇を利用しての日本統治がどのように米国の短期的・長期的利益に合致するのか。 短期的には玉音放送を利用した皇軍(天皇の軍隊)の武装解除に始まる占領行政の円滑な推進にあったことは言うまでもない。 こうした政策決定は開戦直前まで駐日大使をつとめていたグルーの十年にもわたる緻密な調査活動、さらには文化人類学者をはじめとする研究者たちを動員した日本の社会文化の徹底的分析に基づいて行われていた。 肝心なことは1945年の大日本帝国の崩壊によって薩長主導の王政復古体制は完全な失敗に終わったことだ。近代天皇制は終焉したのである。傲然と腰に手をあてがっているマッカーサー連合軍最高司令官とその隣に直立不動で立つ昭和天皇との有名なツーショットがすべてを語る。 象徴天皇制は右と左を欺くとんでもない詐術なのではないか。無いものをあるといいくるめるトリックというわけだ。近代天皇制は終焉し存在しないのに、あたかもなにがしかの実体があるように見せかける。それはもっぱら占領軍=アメリカがこれを利用するためにのみ存在するのだ。 大東亜戦争はまさしく皇国(天皇の統治する国)の皇軍(天皇の軍隊)が主導した戦争だった。現人神(あらひとがみ)を最高指導者に仰ぐ戦争だったのだ。だが、昭和天皇は占領軍=米国によって免責された。天皇の戦争責任を不問に付したのである。天皇をもっぱら政治的に利用するために(のみ)。 勝者が最もおそれることは何か。それは敗者の精神的自立であろう。悲しいことに戦争の最高指導者が免責されることによって敗者の精神的自立の契機が失われた。 以上は本書が集めたデータに基づいた評者の読後感想である。
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