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【くちコミ情報】
東洋のアルカディアに生まれて
彼女にとっての「未踏の地」は、すでに何世代もの人々が歴史を築いている。 彼女はその歴史に触れる。僕らはそれを読み、喜びと、不快とを同時に受けることになるだろう。 彼女の感想は、西欧的だった。それは、今の僕らの感覚に近いだろうと思う。 文明開化、戦争、敗戦、高度経済成長、バブル崩壊。 時代を超えて、今の日本は確かに彼女が理想的だと思うような、技術や、生活が生産されただろう。 だが同時に、彼女が感嘆の声を上げた諸々の美しさは、もはや失われつつあるだろう。 彼女がアイヌを訪れる章は、日本人が失ったあらゆる素朴さを考えさせられる。 「祈りが空を穿つことができない世界、天の扉がすべて閉じられ、ただひとつ開いているのは傷つけられたものの涙が通る扉だけであるような世界、そのような世界について彼らが語るとき、彼らが教えているのはおそらくそのことである。」-レヴィナス-
ただ者ではない観察力と詩的表現力
・ 本書は、著者が妹へ送った手紙をもとにまとめたもの(明治時代の国際郵便事情に感心する)。日本語がわからない人間によるものとはにわかには信じがたい驚異的な情報収集力。後で加筆はしたのだろうが、一日当たりの執筆量が多い。外国人ならではの間違いはあるのかもしれないが、私が気付くものは皆無。 ・ そもそも中年スコットランド人女性が、元々の知り合いの同行無し(日本人青年を雇った)に、約130年前の日本の奥地を旅した行動力に、感動と若干の呆れ。病気、詐欺、強盗など様々な危険があったろうに。本人は予想していたであろうが、豪雨などの苦難に見舞われている。 ・ 一旦見学を断られた病院に、文書で許可をもらって再度訪問するなど、かなりの厚かましさも見せている(私も見習おう)。しかし、彼女のたくましさのおかげで、私はこうして過去の日本の状況を、客観的に詳しく知ることができるのである。また、師範学校、絹織工場も訪問している。 ・ 当時の地方の日本の不潔さなどが、たびたび描写されている。私は何度か発展途上国を旅したことがあるが、それから類推すると真実だと思われ、貴重な情報である。 ・ 日本人、アイヌ人文化の詳細な調査のみならず、自然の観察とその詩的な表現も高水準で、本書が未だに読まれていることに納得する。 ・ 挿絵がいくつかあるのは長所だが、一方、不満な点は地図が無いことと、漢字の振り仮名の少ないこと。旧名が多いので不便であり、出版社の配慮は不足している。
東北日本の原風景
当時の東北地方の山村の生活がいかに文明とはかけはなれたものであったか、それが生々しいほどに描写されている。また、本の後半の大部分を裂いている北海道での探検では、北海道の雄大な自然とまだあちこちに自然の暮らしを営んでいたアイヌが詳しく書かれている。世界中を旅したバードだが、北海道の自然とアイヌのすばらしさには心底惚れ込んだようだ。明治の日本人の風俗や、北海道や東北の自然に興味のある人はきっと楽しめる本だと思う。
ミクロで読むと立派な郷土史資料
この書の価値は、マクロで見ると当時の日本の世情を知ることができるという評価が多いと思います。 そのような読み方に併せてミクロで地名別に細かく読んでいくと、 例えば、自分の住んでいるところの明治時代の状況がかなりのリアルな描写でうかがい知ることができます。 さらには、明治初期にあってのアイヌ民俗についても非常に詳細な報告をしています。 イザベラ・バードは、極めてイギリス的様式を標準として、それとの乖離から評価してしまうのですが その宿の状況や宿屋主人の人となり、民俗などが伺えるもので、 そういう意味では、郷土史資料として、文化人類学の参考書として、また、隠れた1級品の資料だとも評価できます。
記憶にとどめやすい一冊
外国人による開国後日本の紀行文は数あるが、バードのこの作品は代表的な物として著名。 明治11年日本を訪れた彼女は従者一人を連れ、 江戸から日光、鬼怒川から会津、新潟、山形、秋田、青森、北海道へ至る。 現在の国道に比定するならば、 R4⇒R119⇒R121⇒R49⇒R113⇒R13⇒R7⇒R5⇒R36⇒R235⇒R237 というルートが最も近いと思われる。 鉄道導入期にあった当時の日本では道路整備は後回しにされていたと言われており、 特に山間僻地での道路状態の酷さについて、バードはつぶさに触れている。 その一方で、三島県政下にある山形県内で囚人使役による道路改修が行われていた事、 北海道での札幌本道整備過程の様子が記述されている事など、細かい記述も見落とせない。 また当時の山間部の衣食住・衛生状態・文化について、 日本人では気づかない面についての記述があり、史料価値は高い。 特に印象的なのは日本人の物見高さで、初めて白人女性を見た人々は群をなして ”見物”し、将棋倒しで怪我人まで出る始末。 彼女の泊まる宿の障子の穴から、無数の目が覗いていたという記述も面白い。 北海道の平取まで足を伸ばした彼女は、アイヌコタンにしばらく留まり、その生活を記録している。 義経神社に関する記述と、当時のコタンコロクルと思われるベンリの微妙な応対に、 何事かを示唆する物があり興味深い。 明治激動期にある日本の奥地までつぶさに描いた紀行は多くはなく貴重。 素直な彼女の好奇心が読者にも伝わり、紀行文としては記憶に留まり易い著作と言える。 この作品の一節が引用されることが多い事からも分かるように、 国内紀行作品の中では必ず押さえておくべき一冊である。
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非常にアメリカ的なストーリーだ。挫折と喪失感に満ちたどん底から這い上がり、勝利の栄光をつかむ。それも23日間、4000キロにわたってアルプスやピレネーを走破するもっとも過酷なツール・ド・フランスで。その数か月後には、精子バンクに預けておいた最後の精子で子供も授かった。成功物語、いわゆる「アメリカン・ドリーム」は数々あるが、ここまで劇的なのは初めてだ。 アームストロングは「癌(ガン)は僕の人生に起こった最良のことだ」と公言してはばからない。死と向かい合ってはじめて、彼は気づくことができた。周囲の人たちの優しさに、人を愛することに、そして、生命の素晴らしさに。仕事でしかなかった自転車は、限りある生命を燃やす「生きがい」へと変わっていった。 原題『It's Not About the Bike(自転車についての話ではない)』の通り、本書は自転車レースの話ではない。単なるガン闘病記でもない。アームストロングの自己発見の物語である。病気を乗り越えた彼は、以前より何倍もやさしく、強く、そして輝いている。困難に立ち向かう勇気を与えてくれる珠玉の1冊。(磐田鉄五郎)
【くちコミ情報】
感動の一冊
生存の確率はわずかだと言われた睾丸癌を克服し、名匠ヨハン・ブリュニール監督と組んで、ツール・ド・フランス七連覇を果たしたランス・アームストロング。勝利の秘密は、その超人的な心肺機能や、ブリュニール監督が編み出した斬新な練習方法によるといわれているが、もう一つ大きな要因はその強靱な精神力だということが本書を読めばわかる。翻訳が秀逸!
生還者でも7連覇の鉄人でもなく。
自転車レースの世界・・・科学的に徹底されたプログラムでトレーニングし,レースでは炭水化物を鬼のように摂取し,最大限の効率で機械のごとく推進力に変えていくさまは,普段イメージできるスポーツの範疇をはるかに超えている。 それに適応できる選手ってのは,徹底的なストイックさ(揚げ物は食べない!と公言するマラソンランナーや自転車選手はごまんと居るようです)を持っているものだと当然のように思うのだけど・・・ この本のすごいところは,モチベーションが異常に低い時期のランスも赤裸々に綴っているところ。 闘病ものやスポーツものとしてだけの視点で読むと「ふーんそんなものか」で終わってしまうけれど,奇跡の生還者とか,前人未到7連覇の鉄人とも違う面を覗かせているのが,自分を含めた一般人の共感を呼んだように思う。
こんなすごい人がいたのか
自転車競技に関心がなく、著者のランス・アームストロングのことはまったく知りませんでした。しかし最近、動画サイトで、急勾配のアルプスの山を素人目にもぶっちぎりの速さで登っていく同氏の姿を見て興味を引かれて調べ始めました。するとその偉業と共に、末期がん患者だったという驚愕の事実を知ることに。 競技者としてようやく頭角を現した時期の末期がん発見−−本書にはそこからの病との闘いと、競技者として復活するまでの苦しみが生々しく描かれています。本書を読んだあとに彼の走りを見ると、人間の可能性について思いを新たにさせられるはずです。人生に行き詰まりや限界を感じている方にぜひ読んでほしい一冊です。
成長の記録
「言葉にするにはあまりにつらいこともあるし、また気楽には読めないような話もある。」と本の中に書いてあるように、アームストロングの人生のある時期について、書きにくいことも詳しく書いてあり、自転車に詳しくない僕でも一気に興味深く読むことができました。 若い頃のアームストロングは非常に我が強く(癌から直ってもまだ強いですが)、有名選手を罵倒したり、看護士さんに暴言を吐いたりしますが、癌が直り自転車で結果がでるにつれて、他人についても考えるようになり、人間として少しずつ大きくなっていきます。この本は彼の成長の記録だと感じました。
乗り越えられる者のもとにのみ訪れる
「困難は、乗り越えられる人のもとにしか訪れない」というのは真実なんだな、と思わされる。自意識過剰で自分勝手だった男の子が、自転車競技と、辛く困難な癌との闘病を通じて、支えてくれる人の力と愛に気づき、人生の意味に目覚めていく物語。 自転車選手として再起した後の描写は意外にあっさりしているが、トレーニングとか大変だったんだろうな、と想像する。彼のことはこの本で知ったので、はじめから「癌を乗り越えた自転車選手」という認識だけど、自転車選手としての彼から知っている人にとっては、ツール・ド・フランスの再度の優勝は、それはそれはドラマだったんだろうな。リアルタイムで見てみたかった。
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祖先を18世紀のマサチューセッツ州の法律家に遡る 東部の名門エスタブリッシュメントの一族のもと、 1940年代、カリフォルニアに生まれた、 Edie Sedgewick (イーディー・セジュウィック)という女性の 生涯を、家族や友人を含め、彼女とその家族を知る人々 への膨大なインタビューから構成しています。 彼女の名前が世に知られるようになったのは 1960年代、ウォホールのファクトリーで制作された一連の 実験映画への出演と、ウォホールとの繋がりによってであった けれど、当時の最先端の行ったウォホールのシーンの 「シーック (chic)」(ファッション)とセレブ・コンプレックス、 過去を完膚なきまでに否定したアートとドラッグシーンの現実が、 実際にその場にいた人々の口を通して語られている、 そのリアリティと破壊的なエネルギーの現実に、 アメリカという国にとって、1960年代のポップアート・シーンとは 一体なんだったのか、改めて考えさせられます。 ナレーションを一切はさまない手法には、 読者を掴んで離さない圧倒的な魅力があり、 人があこがれるような名門の家庭に生まれ育った一女性が、 60年代のカルチャー(&ドラッグ)シーンの中で辿った足跡に、 多くのアメリカ人が、他人事とは思えない、 自らの60年代との関わりを重ねて読まずにはいられない、のが 納得できます。 インタビューされている人々の中には、カポーティ、 ラウシェンバーグ、ノーマン・メイラー、ゴアヴィダル、 ジョン・ケイジ、パッティ・スミス、などなど、 当時のカルチャーシーンを彩る著名人が数多く含まれ、 当時を語っていますが、その意味でも興味が尽きません。 巻末の系図および、インタビューされた人全員に関する 短いプロフも資料的価値あり。 このレビューは、1982年Knopf 版について書いていますが、 改訂版が、何冊が出ており、 版によって収録されている写真が違います。 タイトルも"Edie: An Ame ican Biog aphy" から このタイトルに変更されたようです。内容からすると、 オリジナル・タイトルの方がベターだったような・・・
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