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【くちコミ情報】
ここでもスターリンは大活躍
1936年から38年にかけてスペインで熾烈な内戦が勃発した。発端は急進的な左翼的政策を強行する政府に対し、当時モロッコにいた保守的なフランコ将軍が叛旗を翻す、という図式。政府軍(共和国軍)にはソ連をはじめ、世界中から左翼組織や民主主義的な組織、さらにはヘミングウェイやロバート・キャパなどの文化人が加勢する。かたやフランコ軍にはヒトラーやムッソリーニが肩入れし、あたかも民主主義対ファシズムの代理戦争の様相を呈するのだが・・・。 当時無名のオーウェル青年は、当初は兵士になるつもりなど全然なくて、原稿のネタを仕入れるくらいのつもりでスペイン入りする。ところが現地に着くと、「義勇軍に入隊してファシストを打倒しよう」という空気が漲っていて、彼も即座にPOUMというアナーキスト系の義勇軍に入隊し、最前線に赴く。そして戦闘の傍らこのルポを書き続けるが、彼の視線はあくまでも冷静かつ辛辣で、同じ英国の作家で「ガリヴァー旅行記」の作者、ジョナサン・スウィフトを想わせる。 本書の最もユニークな視点は、共和国側の敗北の原因が、支援国ソ連のデタラメさにあったことを怒りをこめて告発していること。しかも本書には記載されていないが、戦乱のドサクサに紛れてスターリンの命令により、スペインから数トンの金塊がソ連に盗み出されたという(第二次大戦後フランコが取り返した)。恐るべしスターリン、あっぱれスターリン、スペインを助けるフリをして実はこれだもんな。火事場ドロをしてもスケールが違うぜ(笑)。ただし本書は、当時純粋に世の中を良くしようという意志の下に結成された、さまざまな左翼組織(主にアナーキストの組織、もちろんソ連共産党は含まれない)が存在したことを教えてもくれる。しかし、このような組織は今となっては世界中のどこにも存在しない。現代の荒んだ自然環境に適応できない野生動物のやうに、完全に絶滅してしまった。何はともあれ共和国=善で、フランコ=悪、というアカ系の人々の欺瞞的歴史観は、すでに70年前に本書によって粉砕されている。本書や他のオーウェルの著作を読んで、反共にならなきゃウソだ。必読です!
反ファシズムの感性
ジョージオーウェルがスペイン内乱に反ファシスト(=反フランコ将軍)として共和国国際義勇軍に参加した話です。 ジョージオーウェルは実際に現場で生活して取材するスタンスをとっています。この作品もその例にたがわず自ら志願兵となって最前線で戦闘に参加しています。内容は日常的な塹壕生活や休日の様子を描いています。過去の話になってしまった私達にとっては具体的で、当時の感覚を知る上ではとても分かりやすいです。ルポルタージュとしても貴重な資料でしょう。 第二次世界大戦前夜になるスペイン内戦が、イタリアとドイツのファシズムの介入に対してオーウェルやヘミングウェイがイギリスやアメリカからファシズム阻止に立ち上がって銃を取ったリアルな体験を再現してくれています。 どうしても我々日本人にとってスペイン内戦は見逃しがちです。単に、ドイツと協力してアメリカと戦争をしたことから見かねないのですが、アメリカ人やイギリス人がファシズムに対して当時どのような感じを持っていたか、この本で分かります。そして、そのファシズムの末端には、日本も繋がっていたというところまで認識しますと、世界の中で日本もどのように見られていたかも類推できますよね。
大義と現実と
体験や立場によって、スペイン内戦の評価は大きく変わる。オーウェルが参加したPOUM(マルクス主義統一党)か、国際旅団化、CNT=FAIか。「革命」が目的なのか反ファッショ人民人民戦線=民主主義擁護が目的なのか。本書のオーウェルの観察も、本人が強調しているように事態の一端を描いているに過ぎない。しかしその率直で謙虚な観察記録が、スペイン内戦の(いまや評判の悪い)集団化のなかの共同性の豊かさを見事に描き出している。オーウェルが描くように、前線はどちらがわにとっても、本当に惨めな状況だっただろう。しかし、そのなかには、ほんの一時とはいえ、上下関係がなく、互いに分かち合う、「ラテン的気質の」文化が存在していた。 「大義」を語るのは簡単である。大義の後ろにどんな状態があるか、あったかを、多くの「革命的」ルポルタージュは率直に語らない。多くの人々の希望と絶望をいまにいたっても背負い続けるスペイン内戦、それはさまざまな立場から評価することができよう。だが、謙虚な筆致で、何度も修正をほどこしながら革命下の社会的現実を浮き彫りにしようとする本書の観察記録は、どのような立場であれ、謙虚に受け入れるべきだとおもう。
内戦、革命、人間
スペイン内戦勃発約半年後にスペインに渡り、共和国政府側に民兵として参加したジョージ・オーウェルのルポ。 戦争、内戦、共産党による粛清といった大きな背景から、周りの自然、人々の身なり、食事、配給といった日常のディーテイルまでが赤裸々に語られます。 p こんな激動の時期(筆者自身が被弾します)でも、彼独特の人間を見る目、人間のdecencyへの espectにははっとします。 オーウェルの著作数あれど、まずはお勧めです。 この時代・テーマが好きな方には、ケン・ローチの「大地と自由」もお勧めします。
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ベストセラー『リスク―神々への反逆』の著者、バーンスタインによる最新の話題作。人類の経済活動の歴史を、金(ゴールド)という視点から考察し、現代に生きる我々に示唆を与えてくれる。 王侯が名誉のために金を求めた古代エジプトやギリシャ、ローマの時代に始まり、略奪により金銀や金鉱を手に入れたアラブの時代、黒死病により金と人口のバランスが崩れた14世紀、金鉱を求めて始まった大航海時代、ボダンによりマネタリズム思想が萌芽した16世紀と続き、そこから金本位制、IMF体制に至るまでの経済の歴史へと引き継がれる。貨幣の進化の過程における時代背景や人々の価値観などが生き生きと描かれている。さすがバーンスタインだ。 本書は貨幣史や経済政策の本としても受け取れるが、個人が投資する際、あるいは賢い資産運用をする際のヒントとしても受け取れる。金を掘り当てた人がお金持ちになる、所変われば金の価値も変わる、使える範囲と信頼性によって通貨の価値が変わることなどは、一見すると当たり前のようだが、資産運用あるいはビジネスの根本となる考え方である。アジアに金が蓄積された理由の説明として高度経済成長期の日本の状況を引用し、「日本人は外出したり海外からの輸入品に使ったりするよりも、お金を貯蓄し、財産を蓄積するほうを好む」という見方には疑問点が残るが、全体的には綿密な研究・調査と鋭い洞察に基づいている。金と人間のかかわりを描いた歴史ドラマとして、また経済書としても楽しめる。(土井英司)
【くちコミ情報】
GOLDの金融史
『リスク』で一躍時の人となったピーター・バーンスタインが贈る 「もうひとつの金融史」第二弾とも言える著書である。 通史と言うよりはエピソードを積み重ねて、その時代時代の雰囲気を 連ねていくという形式を採っている。 p ニクソンショックでブレトンウッズ体制が崩壊して久しく GOLDを単なる商品の一つとしか見ていない21世紀において GOLDが神聖・絶対なものであったという史実・概念は やや古めかしく聞こえるし、また金本位制のシステムなど 今日ではわかりにくい金融概念が頻発することから 『リスク』に比べてブレイクしなかったのも仕方がないことなのだろう。 p それでも金本位制の時代、約百年分の記述には 本書の後半半分が割かれており、秀逸である。
経済史概観としてはベストの一冊
確かにローカルな話題、極東の日本についてなどは誤った記述が散見される。しかし、この本の価値は、欧米を中心とした金(きん)などの貴金属と通貨、そこに見出される富、権力といった経済活動の数千年の歴史を追いかけた大著である、ことにある。インフレ、デフレなどの原因について明らかにはしていなくても、金にまつわるそれぞれの時代の状況は可能な限り描かれている。 世界経済から欧米の動きを無視するわけにいかない(というより、日本はメジャープレーヤかどうか怪しいと思う)以上、金と通貨について、彼らがかつてどのようなことを考え、どういう行動に走ったかについて、お金の動き方に興味のある方は一度は読んでおいたほうがよいのではないだろうか?大学の経済史の授業二年分の価値はあります。
知らないんだったら書かなきゃ良いのに
欧米に関する記述は非常に面白いし、そこだけ読んでいる分には良いんですけどね。止せば良いのにわざわざ1章立てて、アジアのことなんか書くもんだから、こちら方面の歴史は植民地時代の子供用歴史書程度の知識しかないことがばれてしまう。曰く、アジアには言うほどの貨幣制度はなかった、17世紀にアジアに銀が大量に流入したが単に隠匿されただけで、何の役にも立たなかった云々。江戸時代の日本で、西の銀本位、東の金本位という2つの貨幣制度が共存していたなんて高校の教科書にも出るような常識だし、17世紀の中国の経済発展が大量の銀の流入によりファイナンスされたってのも、かなり常識になっているはずですけどねー。元々完全な歴史じゃないって断っているんだから、知らないことは書かな㡊??ゃ良いのに、惜しい。(実際イスラム圏に関する記述は一言もないんだから)
「きん」と「カネ」をめぐる歴史
希少であり保存にすぐれた「きん」は長い歴史のなかで「カネ」として機能してきました。今では「きん」は石油や砂糖や大豆と同様の商品として扱われているようですが、金属そのものの特性やそれをめぐる歴史によって、たくさんの人々を魅了し続けています。著者は人類と「きん」とのかかわりの歴史を通して、「きん」そのものにこだわる人々に注意をうながしているように思いました。なにが価値あるものなのか、本当に大事なのはなんなのか、そんなことを考えさせられる興味深い内容です。 日本人の貯蓄観について書かれている箇所があるのですが、「一般的な欧米の人たちは、我々をこのようにみているんだな」と思わせるような表現がありました。少し違和感がありますが、それも新しい発見でした。
「きん」と「カネ」をめぐる歴史
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「ソリューション・カンパニー」IBMは、「ファイナル・ソリューション」(第三帝国期ナチスのユダヤ人全滅計画)の責任の一端を担っていたのだろうか?それが本書『IBM and the Holocaust』で著者エドウィン・ブラックが提起した問題だ。ダニエル・ジョナ・ゴールドハーゲンの『Hitler's Willing Executioners』出版以来の衝撃的テーマである。 著者ブラックは、ホロコーストからの生存者を親に持つにもかかわらず、その視点はゴールドバーゲンほど偏見に満ちていない。しかし、ここで提起されている問題は物議をかもすだろう。彼によると、IBMの創業者トーマス・ワトソンは、ヒトラーから「メリット勲章」(ドイツで2番目に位の高い勲章)を授かるほどナチスに貢献し、彼にとってヒトラーの第三帝国は世界で2番目に大きな取引先だったというのだ。 「IBMは、もともとドイツの子会社を通じ、ヒトラーのユダヤ人撲滅計画遂行に不可欠な技術面での特別任務を請け負い、恐ろしいほどの利益を上げた」とブラックは告発する。 「IBMこそ現代の戦争に情報化という要素を持ち込み、こともあろうにあの戦争でナチスの“電撃戦”を可能にした張本人なのだ」 大量虐殺を決定的にした技術とは、コンピュータの前身である「IBMホレリス・パンチカードマシーン」だ。アメリカのホロコースト・ミュージアムでその機械を見かけたブラックは、この極秘本の構想を思いつき、完成までに5年を費やすこととなった。 「ホレリス」は、アメリカ国勢調査のデータを数字化しアルファベット順にする際に使われた機械だ。ブラックによると、この「ホレリス」と、データが記録されたパンチカードがあったからこそ、ナチスは囚人たちを駆り集めてスシ詰めにした列車を定刻どおりに運行し、移送後の死者の数を集計、第三帝国全体の努力の成果として数え上げることができたのだ(パンチカードでは、「3」に穴が開いていると同性愛者、「8」に穴が開いているとユダヤ人を意味していた)。 ヒトラーの政治体制は異様なほど自滅的であり、秩序とは程遠いものだった。IBMは、一般市民の大量虐殺に発揮された、その恐るべき力の源たり得たのか?ブラックの集めた膨大な証拠資料を吟味し評価するのは、学者諸氏におまかせするとしよう。だが、いかに正確な評価が下されようとも、その時期が遅すぎるのは明らかだ。 道徳的な論争が巻き起こるか否かはこの1つの疑問の答えにかかっている。 「ニューヨークのIBM本社は、ドイツIBMのナチス加担をいつ知ったのか、またどの程度知っていたのか?」 ブラックの証拠書類は、いらだつアメリカ政府高官たちと激怒するヒトラーの間の微妙な一線を綱渡りしていたIBMの最高責任者ワトソンの姿を浮き彫りにし、さらに彼が巧妙で恐るべき「瀬戸際対策」のお膳立てまでしていたことを明らかにする。彼は恥知らずにもナチスの勲章を返却するのを躊躇し、けっきょくしぶしぶ政府に従った。そしてようやく返却した途端、ナチスはIBMとの協力関係を停止、多くの人々の運命を決定づけたそのゆゆしき機械も国外撤去と相成ったのだ(『How Hitler Could Have Won World War II』で論証されているように、いざというときヒトラーは自滅的な決断を下す傾向があった)。 ブラックは必読ものの歴史書を書き上げた。だが本書は、個性、倫理性、そして冷酷な戦略に基づく打算が、1人の人間にもたらす相反する影響を鋭く考察した、実に奥深いビジネス書でもある。
【くちコミ情報】
状況的証拠から積み上げていく凄さ
ここまでの本が書けていながら、これまた凄い事にIBMのしてきた事に ついては全く証拠がありません。 国益も関係しているのでしょうが... 非常に異色なホロコースト資料だと思います。 そのような状況で、これだけのストーリーを断片的な状況証拠だけから 積み上げて構築する作業は空前絶後の苦しさだったと思います。 戦時におけるIBM経営のビジネス面についての記述がかなり多いので 経営に疎い私にはやや難しい箇所もありましたが、ゆっくり読めば 分かりました。
今まで伝えられなかった戦争のプレイヤー
科学やテクノロジーが軍事用に開発されて民間に転用されるとか、 民間で開発されたものが軍事に転用されるという例は多くある。戦争中に権力から脅されて、あるいは「純粋に」科学を追求したい思いから、殺戮など反人道的な行為に手を貸すことになる人々は、いつの時代にもいるのだろう。 p もしそれが、「パンチカード」によって人々を精密に分類していく技術を追求することがナチス・ドイツのユダヤ民族殲滅作戦に手を貸すことになったとしたら?しかも、それに加えて利潤を最大限に追求するための(節税対策も含めた)あらゆる手法を積極的に実践していたら? p 本書の中には、私が訪れたあるナチス時代の収容所でいかに収容された人々が虐殺されていったかを記述している部分がある。壁には高い位置に鉤が並び、真中には人を(生死に関わらず)投げて焼く炉。外から死人などを投げ入れるシューター・・・。ひんやりと暗かった「あの」部屋が、ブラックの記述で目の前によみがえった。すべてがアセンブリ・ラインのように効率的に考案されていた。しかし、そこで行なわれていたのはモノを作ることではなくて、人を殺すこと。 p IBM(や関連子会社)は何の罪も問われることなく、ユダヤ民族撲滅のために使われた技術とそれで得た利益をもとに戦後も発展していったという。彼らの開発した技術の恩恵を私たちは受けている。何もIBMが虐殺の犯人でもない。しかし、今まで問われなかった(らしい)IBMがヨーロッパでユダヤ民族虐殺に果たした役割に焦点をあてた本として、注目される意義はあるだろう。
現代人にとって必須の歴史的事実
多国籍企業と国家、管理社会と人権といった一見今日的な問題が、今から50年以上も前に、これほど強烈に存在していたことに驚かされる。しかもそれは潜在的な問題ではなく、600万人のユダヤ人を殺害したのだ。かつて日本IBMで働いていたことがあり、どちらかと言えばIBM寄りな私が読んでも、ユダヤ人である筆者に偏見は感じられず、秀逸なドキュメンタリーである。この本を読むのにホロコーストの知識はとくに必要なく、むしろホロコーストの恐ろしさを学ぶ為の優れた切り口を提供している。
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