2008年08月28日(木) Financeの第1位は
『The Subprime Solution: How Today's Global Financial Crisis Happened, and What to Do About It』!
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転んでもただではおきません
いや真面目なんだな...社会の進歩に対する信頼には驚くくらいです。本書には今回の危機を引き起こした様々な責任者に対してのfinge pointingはありません。むしろ短期的な対策としては、 ail outを提言しています。銀行に対してだけでなく、su p imeの借り入れ人に対してもそうです。理由はこれほどの問題が起きてしまった場合には、 ail outをせずに、ma ket disciplineを貫徹した場合には社会の構成員の社会に対する最低限の信頼を傷つけてしまい、社会組織(social fa ic)の崩壊につながってしまうからです。このような発言は、日本の不良債権の危機の際にはどこからも聞くことがなかったと記憶しています。そしてもっとすごいのは、今回の危機をきっかけとして、金融の e- egulationではなく、financial democ acyなるものを提言している点です。著者は社会の金融化を否定しません。むしろ金融テクノロジーの進展がもたらす効用を基本的には是認しています。そしてどのようにしてこのような進歩の便益がより広い社会の成員に享受させるかが後半の主眼となります。デリヴァティヴ商品をどのようにしてリテールの顧客に売りつけるのではなく、そのリスクヘッジ機能(不動産価格のindexの取引所への上場等)をどのようにして幅広い参加者に享受させるか、そしてその仕組みを作り出すかが、著者の目的です。たしかに最先端と原始的な欲望の発露が共存している社会にはこの議論は当てはまるのかもしれません。でもベンチマークへの相対的な優位を求めざるを得ない競争が本質である現代の金融が変わるとは思われません。
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一つの時代の終わりと、これから始まる富の破壊
今年読んだなかで最高の本だと思う。 先月5月出たばかりの本をこのタイミングで読了できたことは嬉しい。 内容は前半と後半に分かれ、 前半は彼持論のReflexivityの展開で、 人によっては退屈に感じられるかもしれない。 後半は戦後から今年3月に掛けての世界の金融界の軌跡で、 彼の実体験に裏付けられた話は躍動的だ。 ここにきて初めてReflexivityの重要性がわかる。 NewYo kTimesの書評で、一つの時代の終わりとこれから始まる富の破壊、 と紹介されていた。この二つの謎が本書を読み進む中で解明される。 また、言葉にはしていないが、彼はデカップリングを支持していることが明確に読み取れる。 身銭を切って投資するなら、インド(中国よりも長期的に有望)、 中国(但し2012年位まで、資産バブル崩壊のタイミングを掴む必要あり)、 中東、ブラジル、豪州(後の3つは資源ブーム)。 アメリカと欧州は富の破壊の格好のターゲットになるというのが、 私の解釈を交えて単純化した結論だ。
マルクス主義と市場原理主義の同根
なんとも不思議な作品です。ルポルタージュでもなければ、理論書でもないし、といって詳細な回顧録でもない。ましてや投資指南書でもない。一言で言うと、ソロスの全体像が不思議な融合を示した作品です。今回の危機を目にしたソロス自身、コメントせずにはいられなかったのでしょう。しかし本書は今回の危機の具体的な解明自体を直接の対象とはしていません。今回の危機の特徴と全体的な位置づけについては、mo isのmeltdownをソロス自身がこの作品の中で薦めているくらいですから。ここでは、ソロスらしく、 eflexivityという概念枠組みが提示され、それにより現在の経済学そして市場原理主義の根本にある啓蒙主義人間観と世界観が完膚なきまでに否定されます。題材とされるのは、彼が参加してきた金融市場の過去の歴史です。そこから彼が導き出したのは「誤謬」とその連鎖という命題です。 adical falli ilityというテーゼは魅力的です。「全員が無知で間違っており、本質的に人間はそうならざるを得ない存在だ」という世界認識です。この世界認識は説得力のあるものです。この認識にたどりついたものにとって、「金儲け」という行為そのものは、もはや本質的な意味はありません。むしろその行為に狂奔する人々、そしてその行為の正当性を「アカデミック」に弁護する人々の「思考装置」の理解こそが、主要な関心となってきます。そして出てくるのが、ソロス独特の「哲学」への傾斜です。demons of ou own design, lack swanなどの著者は、皆、金融市場という市場原理主義の世界の中での「成功者」たちですが、皆そのキャリアの終わりには、ソロスと同じように市場原理主義のイデオロギー性と虚妄さとその非現実性を指摘するようになったというのは、意味深な現象です。これこそが20世紀後半の危険な知的遊戯だったのでしょう。いまどき「金融立国」なんていう時代遅れの遊戯に国の知性を動員して取り組もうとしている日本は「愚者の楽園」です。
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PPP インフラの提供とプロジェクトファイナンスにおける世界的な革命
“インフラの提供とプロジェクトファイナンスにおける世界的な革命”という副題がついており、その名に恥じない内容となっている。 PPPとは、次の5つの要素を含んでいるものと定義している。 1 契約タイプ:資産を活用した長期的なサービスについてのパートナーシップが構築され 2 サービス:経済的インフラや社会的インフラの購入ではなく、サービスの購入であり 3 LCC:設計・施工・運営・維持管理・大規模修繕を含むライフサイクルコスト契約であり 4 イノベーション:アウトプット仕様書で結果が示され、入札者は手段や手法で競争し、 5 リスク配分:従来の官のリスクコストを民間が管理することでコスト削減が可能になる。 インフラにおける革命の考え方として、インフラとはその国の経済や国民が求めているものによってその内容が変化するものであるとして捉えて次のように分類し 1. ハード経済インフラ (道路、橋、港、鉄道、空港、通信、電力) 2. ソフト経済インフラ (教育訓練、金融機関、R&D促進、輸出支援) 3. ハード社会インフラ (病院、学校、浄水、住宅、刑務所、ケアハウス) 4. ソフト社会インフラ (社会保障、コミュニティーサービス、環境保護局) その形態によって 1.物的インフラ、2.人的インフラ、3.組織的インフラ と分類し インフラの影響、インフラの公的特性、インフラにおける営利主義、インフラへの民間の関与とインフラに関連する要素を明確に定義した上で、官民のパートナーシップがインフラに対してどのような影響を与えるか、従来の公共調達とパートナーシップによる公共調達の違い、PPPにおいて政府の役割は従来とどのように変わったのか等を述べている。 事例が若干古いことと、計算の仕方などファイナンス中心のイェスコムのほうが親切ではあるものの、事例も豊富であり、事業評価、サービス品質評価、KPIの観点などの考え方の説明についてはこちらのほうが親切に説明をしている。 PFI担当者必読の書だ。
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著者によると、次の危機はもっとシンプルです。それはアメリカへの信認です。
こういっては失礼ですが、見事な論点の整理による後知恵による素晴らしい後講釈です。なぜこの問題が発生し、ここまで拡散してしまったかが、見事に説明されます。あたかもこの運命こそがアメリカそして世界にとっての歴史的な必然であるかのように。住宅に託したアメリカンドリーム、住宅価格の上昇への信仰とそれに基づく消費パターン、銀行のビジネスモデルの変貌、金融工学の発達、そしてその先進性と同居しているのが、略奪貸出しに狂奔するローンブローカーが跋扈するという驚くべきほど消費者保護が徹底していない原始的なアメリカのビジネス風土、そして市場への過剰な信仰に洗脳されてしまった監督当局などが次々に断罪されます。最後に教訓として10個の政策提言がなされていますが、どれも皮肉な意味で興味深いものです。時価会計の再考、当局によるもっと細かで厳しいなモニタリングなど、ある意味では今の日本の流れと逆行しているものも含まれています。著者は、バブルのdetectionは困難である、との通説には懐疑的です。当局の持っているリソース使えば十分にその萌芽を発見しすばやい対応をすることが可能であるとの提言でもってこの作品は締めくくられます。長期的には、上がったものは下がるし、下がったものはまた上がるという市場の究極的な機能については著者は楽観的です。しかし「金融リテラシー(こんなものってあるの?)」に欠ける大多数の庶民に取っては、この自律修正機能なんかは、どうでもいい話なのです。だって、市場がその非合理性から抜け出し正常化するであろう「長い」時間の間に、大多数の個人がそのsolvencyを保ち続けるのは至難な業なのですから。
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