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   ノンフィクション の売れ筋最新ランキング   [2009年07月05日 08時22分]
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バブル時代の恐ろしさがよくわかりました
バブル崩壊後に就職した私は、会社に入ってからひどい目にばかり遭わされていると感じていますが、私たち以降の世代はみんな似たり寄ったりでしょう。では、その現況である(あろう)バブル時代とは何だったのかを知りたくて手に取った本。見事期待に応えてくれました。 1980年代、私が大学受験勉強にいそしんでいた頃、40代50代のオッサンオバサンたちが節操もなくカネと勢力拡大だけを追い求めていたのだと知って愕然としました。これでは仕方ありません。 しかし本書の主人公たちはみんな大正後期から昭和初期の生まれで、相当貧しいあるいは複雑な家庭環境で育っており、それが恐ろしい人間の業を醸成したのではないかと感じました。このような人間に私たちは勝てるすべもないと思いましたが、では今後どのように生きていったらよいのかを考えることができました。 それにしても個人単位でこれだけの悪事が行われているのであれば、大組織および国はいったいどれだけのことをやってるんでしょう。佐野眞一さんもそれは教えてくれないんでしょうね。
バブルを生き延びた細木数子恐るべし。でも、いつ弾けるのか…
久しぶりに読んでみた。バブル崩壊後もこの世の春を謳歌しているのは細木数子くらいなんだなぁと年月の流れを感じる。恐るべき細木数子といったところだが、改めて読んでみると人間としての凄み(良し悪しは別にして)は彼女が一番だったのかと思ったりもする。一体彼女はどこまで膨らみ続けるだろうか、弾けたときの音はかなり大きそうである。 代ゼミはこの文庫本発売当時よりも少子化が進み予備校の再編が一層進んでいる現在、当時以上に大変なのだろうと勝手に想像している…。 この作品に取り上げられた人物と現代社会の関係については他のレビュァーの方が上手いことを書いているので省略するが、このような一癖ある怪しげな人物を描いた初期?の著者の作品(「業界紙諸君」「三行広告は語る」「性の王国」など)は、ちょっと皮肉な視点と独特の粘りつくような文章に相応しい題材であり、著者の体臭みたいなものが感じられる個性的な作品である。もっともそれが嫌味に感じる読者もいるとは思うが…。 バブルという現象を、それに踊った象徴的な人物(出来事)を通じて知ることができる作品である。 近年、著者の作品は著名人を取り上げることが多く、このようないい意味での軽いフットワークの作品を発表していない。もうそろそろ、そういう作品が読んでみたい気がする。
今読んでも新しい!
サブタイトルにある「昭和虚人伝」という単行本(1989年初版)が文庫化されたもの。 p リクルートの江副氏、代ゼミの高宮氏、フジテレビの鹿内氏、地上げの帝王の早坂氏、そして細木和子氏らが、80年代に至るまでどう表舞台にのしあがってきたか、取り上げられているが、 初版から15年以上経った今でも、その流れは着実に続いていることが感じ取れる1冊。 p ライブドアv.s.フジテレビのバトルの記憶も新しい中で、 鹿内氏の成り上がりゆく様、そして江副氏ら東大出身の”実業家”の流れにある堀江氏の様が、実にリアルに浮かび上がってくる感がある。 また 細木氏についても、画面を通じてさえ感じるその”凄み”の源が、その半生からリアルに感じられる。。。 p そして、 教育の危機が叫ばれる中、そのきっかけは予備校の全国展開に合ったのではないかという思いは、高宮氏の章から感じられ、 目下の不動産ファンド全盛は、元祖・地上げの帝王早坂氏の動きから既に予測できたのではないか、という思いさえも感じさせる。 p 全編通じて読み通すことで、 バブル崩壊から10年以上を経て、時代の流れは脈々としていることが改めて感じられる・・・。 そして ”金本(きんぽん)主義”は変わらないどころか益々その勢いを増し、時代の中心にどっかり腰を据えている感を新たにする。 p 正に今、読み直すにピッタリの一冊といえるのではないだろうか。
あのとき、あのころ
本当に簡単に言うとバブルの頃金稼ぎに邁進していた人たちの内実を 書いた本なんですが、内容の量質ともに多く読むとあのバブルの時代 の裏側を佐野 眞一さんと一緒に垣間見た感じに浸らせます。 p 取り上げられたのは有名なある6人ですがいろんな関係者の名もよく 出てきます。6人は実力・能力があるからなのか考え方が変わってる 人だからなのか知らないけど、とにかく金優先で、やり方が商業主義 まみれなやり方で金儲けのためにはほとんど手段を選ばない。「まー」 と驚くぐらいです。 でもあの時代は彼らだけでなくみんながこういうような感じで考えて たんでしょう。そうでなかったらあんなに暴走しなかったはず。 「金だけが全てじゃないよ」みたいにもう少し冷静さがあれば一線を超 えてしまわずに済んだのでは?っていう思いが出てきます。 p 「あのバブルってなんだったの?」って思いがある人は読んでみること をお勧めします。自分なりに何か見えてくるものや何か感じるものが あるかもしれません。



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くちコミ情報
大原まゆさんのご冥福をお祈りします。
著者の大原まゆさんが、やはり乳がんでなくなられたそうです。 ご冥福を、お祈りします。
そんなに、乳がんは甘くない
同じ乳がん患者として、がっかりしましたね。 リアリティ薄いし、文章も読み易いとは、私は思えませんでした。 乳がんは、もっと辛いです。カジュアルにしないで欲しい。辛いから、自己チェックが重要。 読んだあと、不愉快な気分になりました。
まぁこの程度
若い人の赤裸々な闘病記だが特別に共感を呼ぶものでもないし、おばさま達にはムッとする部分もあるかもしれない。 20代だし秀逸な手記でもないし、読後の清清しさは別に感じなかった。 期待して読むと少々がっかりする。
読後感が、「すがすがしい」
表題にも挙げたが、この本を読んで、一番感じたのが、「すがすがしさ」であった。"闘病記"も含む本著に、一見、ミスマッチな表現のように感じられるが、まさしくこの言葉が、ピッタリである。それは、「彼女の生き方」に起因するものだと思う。片方で、これまでの人生で最大の敵「乳がん」と闘いながらも、もう一方では、普通の女性として、一人の人間として、"人との繋がり"を大切にしながら、決して、諦めずに、前向きに生きている。だが、そこは22歳の女性、「家族」「がん友」「ファッション」「彼」「かつら」などにまつわる事象を通して、心の微妙な振幅が、文字から伝わってくる。


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くちコミ情報
しらせは砕氷艦です。
しらせは砕氷艦であり、自衛艦旗を持つ自衛艦であり船長は存在せず 艦長がいます。 元保安庁の人とは思えない間違いです。
一話、一話がちょうどいい長さのエッセイで、楽しい読書ができる。
西村氏の一冊目の著書。僕は最新刊からここまでさかのぼって読んできた。 南極のしかも昭和基地でなく、その出張所のようなドーム基地で一年間。男9人での合宿生活。 その食事を支え続けた西村氏の料理と、男達の日々の生活を切り取ったエッセイ。一話、一話がそんなに長くないので、どんどん読み進められて、なかなか楽しい読書が可能。 人間の物質のないところでの創意工夫とか、ちいさなコミュニティを健全に運営していく方法とか、物事を前向きにとらえたり、適当に流して生きていく大人の知恵とか。 いろいろ考えさせられた本でもあった。最後の解説もとてもよい文章だったので、ぜひそこまで読んで欲しい。 星がみっつなのは、まあ自分は読み返しはしないかなと思ったから。 楽しい読書を求めている人には、勧められる本です。
呑んだ、食った、料理したの日々?!
 南極と聞いて、アムンゼン、スコットの北極探検とか、植村直己のヒマラヤ登山みたいな世界を想像したのは甘かった。(笑)いまや21世紀...まあ著者が南極に行ったのは20世紀末だったケド...文明の利器も進歩すれば、その恩恵にあずかるべく働かせる人間のサル知恵も日進月歩、な訳ですよね?  移動中でも、発電機があれば電気炊飯器使いたいだろうし、寒くて疲れているのに腹がモーレツに減っている(大食いの)男の集団に餌付けしなければならないなら、ぱぱっと手早く裏技併用でおいしいご飯の出来る電子レンジも欲しいですよね?葉物野菜だって恋しいはずですよね。ビタミンは大事ですもん。  だから、日本の探検隊が、電子レンジや炊飯器、ついでにフレッシュな野菜供給のための野菜製造機を南極に持ち込んでいようが怒りゃしません。  極寒の地では体内の温度をキープするために大量のアルコールを摂取する場合もあるという話なので、どう考えてもこの本の探検隊のメンバーがうわばみ以上に酒をかっくらっていても目をつぶることにします。考えてみれば、ウォッカみたいにアルコール度数の凄く高いお酒って、おそろしく寒い国原産のもの多いですもんね。  ついでに、1年間ほんの一握りの人数が、沸点85度前後、ヴィールスだって死滅する南極みたいなド僻地に雪隠詰めにされたら、人間関係の大変そうですよね。いつ見ても同じ顔ぶれだし、新入りは入ってこないし。だから人間関係の愚痴っぽいパートも見逃してあげましょう。(笑)きっとガッコの寮やこわぁいおばさんが目を光らしているアパートの人間関係並に(いやそれ以上に)ストレスの持って行き場が無いんです。  しーかーし、これだけは言わせて頂きたい。  なんで、このおじさん達は、税金で南極に調査に来て、フォアグラや伊勢エビ、松阪牛を始めとする高級食材で彩られた豪華な料理の数々にありつけるのっっっ!?そりゃ研究者も参加しているけど、役人に自衛隊の人だっているじゃないかぁっ!(既に嫉妬の域)つい、1年間の食料を前もって仕入れ値で買えるとして、1人当たりどのくらいの予算で、何人分買えば、こんなゴージャスな材料がとりそろえられるのか、試算してしまいそうになっちゃった。(苦笑)  ...多分、食べることが最大の楽しみのひとつだったんでしょうね。俗界からは隔絶された世界ですから。寒いから栄養取らなくちゃいけないし。この本を貸した母は、そう溜め息をついています。そーゆー訳で、私もそう思うことにしました。  この本は、そんな環境の中、大食いのおっさん集団の胃袋を満たすべく調査隊に参加した料理人の1人の、酒とメシと友の日々の実話です。文体が酒飲んで宴会してるおっさんのテンションなのは、無論、ご本人のご人徳でしょう?(笑)
面白おかしく寒冷生活
でも、暇つぶしとして読むには抜群に面白いと思います。極寒の戸外でわざわざジンギスカンを何でやるのかと思いますが、そういうばかばかしさを暑い夏に読ませてもらうのは楽しいひと時でした。
チームの要からの視点
南極大陸の内陸にある孤立した基地。この閉塞感のある中で男数名が1年も一緒に過ごす。これは正直ものすごいストレスだと思います。それを緩和するのが酒であり、料理。隊員の精神的部分を支え続けた料理を軸に、それを取り巻く出来事・ドタバタ話。堅苦しく無く、楽しく読めた。 ただ、ちょっと露骨過ぎる個人への文句。これはもうちょっとオブラートに包んで欲しかったかな。


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くちコミ情報
人生そのものが芸術
この作品を読み、自分の持っている価値観の小ささに気づいた。ハリスさんの人生は波瀾万丈であり山あり谷ありの人生と感じた。 弟の自殺によって、鬱状態になってしまい、暗闇から抜けるため世界を宛てなく放浪し、ピッピーたちに揉まれながら人生という博奕を打ってるハリスさんの生き方に共感し、この本を読んでから、僕の人生を180゚変えた本なので、日本の狭い社会で生き急いでいる方々におすすめしたい。
バリにて
バリのホテルのライブラリにこの本があり、 軽い気持ちで読み始めたのですが、 成田に着くまでひたすら読みました (結構読みがいのある厚めの本で、 ページにみっちり文字があります)。 この本のことはずい分前から知っていたのですが、 単なる旅行本くらいにしか思っていませんでした。 私としては、弟さんに対する記述が非常に印象深く、 人間、話を聞いてみないとわからないものだなあ、と つくづく考えさせられました。 また、100%自叙伝であるならば、 すごい記憶力だなあ、と思います。 克明にメモをされていたのか、とにかく、 人物が鮮明で、学生時代の旅行で出会った 小さな人物一人一人までが映像で見えるくらい 鮮明に描かれています。 自分を変えたい、とか自分って何?とか 日本から出たい、とか、 今の自分から一歩踏み出したい方にぜひお勧めします。
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 いやあ、ほんとロバート・ハリスの話っておもしろい。 世界中で出会ったいい女とのあれこれや、ギャンブラーとの熱い勝負のはなし、大好きな本のはなし、ぶりぶりになったドラッグ体験談。 本当、興味のあるものに何でもとびこんでいって、毎日脳からエンドルフィン放出しまくってて、そんでもって文学を心から愛していて、んで感傷的になって、人生に悩んで、苦しんで、楽しんで、笑って・・・ 本当この人の頭の中ってカオスですよねw 僕の中でロバート・ハリスってすごく人生経験豊かなカッコいい兄貴みたいな存在です、そしてこの本はそんな兄貴を代表する一作です。
正直に人生を語る
ただ単に米語を母国語にしていたので、「英会話を教えていた企業がハイヤーで送り迎えに来た」、「ジョン・ローン」を知っていた。などつまらない自慢話も少々あるが、実に正直に自分の人生を語っている。そこに共感できる。ただし、満員電車に揺られて自宅と会社を往復する小市民を小馬鹿にした部分に反感も覚える。著者がエグザイルス(放浪者)になり得たのは、著者がバカにする小市民の資本主義的経済活動によるのに・・・。市民を見下しているかのようなスタンスは、いただけない。
ただのアウトローではなく、夢を叶え続けて生きたい人に。必要な本
ロバートハリスが好きだ。 という人には文句なくオススメの入門書となると思う。 夢を見るのが好きだ。そして叶えたい。 という人にも文句なくオススメの本。夢が荒唐無稽であればなおさら。 本書には、 ロバートハリスの生まれてから今(1997年)に至るまでの半生が描かれている。 横浜で育ち、18歳で旅に出、オーストラリア、バリ島と旅を続け、 時にはヒッピー、時にはギャンブラーになり、そして日本ではJ-WAVEのDJになり 、と一筋縄ではいかない人生がこの本にはある。 そしてその一つの拠り所を持たない生き方を彼は「エグザイル(放浪者)」と呼んでいる。 彼の凄いところはただの放浪者ではなく、その先々で夢を叶えていっていることだ。 彼が旅の間で書いた「人生の100のリスト」を元に、 その夢は着々と叶えられていっている。 ※ちなみに上記のリストは「人生の100のリスト」という別の本で詳細が書かれている。 気になった方はぜひそちらも参考にして欲しい。 彼のように生きたいという人だけではなく、夢を叶えたいと思っている人に。 是非この本を読んで貰いたい。 なお、この本で記述されている出来事は「半生」であり、 まだまだ彼には続きがあると言うことをこの本を読めば実感していただけると思う。


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巻末に、勝利演説の名スピーチが英語・日本語対訳で。
子供向けの半生記ですが、 巻末に名スピーチの「勝利演説」が 対訳で全文掲載されています。 オバマ氏の数ある名演説からこれを選んだ、 という編集者のセンスを感じました。 【追記】 この書を読んだら、是非ともYOUTUBEで 「勝利演説」の日本語字幕付きの動画を堪能して欲しいと思います。 我が家の中高生も、珍しく熱心に観て感動していました。
もー今や試験にも出そう、、、
あっ。もーでているのかもしれない。 彼の歯切れの良い英語はもはや第二母国語となっている日本人の 耳でも聴き取れる。  発音の良さとともに内容も濃い。 彼は世界を掴んだのかもしれない。  「yes we can」 ここまでくるオバマさんの生い立ち佇まい小学生でもわかるが 大人がよんでも楽しい。苦労して少しずつ前進してゆく。 ただのサクセスストーリーとはちがって、暖かい。  このなんとも簡単な言葉とともに、ひよっとしたらこの暗黒に陥った 世界を変えてくれるのではないか。すると「change」とくる。 数ある中では読みやすいように子供の疑問にも答えて。なかなか良い。 これはみんなで読まなくてはいけないでしょう。  体裁がまた良い。笑顔はどんな顔のなかにあっても、最高ではないか。 この笑顔と家族愛でp esidentを勝ち取ったといっても過言ではないだろう。 ぜひお買い求めになって、読んでいただきたい。 「yes i can 」そー子供達でも何かできるかもしれない。楽しみだ。            推薦いたします。
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数少ない真の「社会の木鐸」
本書は、孤高な芥川賞作家である著者が、2008年4月に行った講演を編んだものです。 内容は、もちろん死刑制度に異を唱えることに力点を置きつつも、広い射程を持っています。 死刑の本質たる「国家による殺人」(戦争と同根)という側面への、我々の想像力の欠如。 また、かかる想像力を欠き、返り血を浴びる覚悟で大局について考察することもないまま、 瑣末な日常に埋没(例。震災時もレンタルビデオを返しに行く)している我々の怠惰。 加えて、そのような日本の現状を古来から育んできた、 我々を隠微に支配するところの「世間」の問題性を鋭く指弾している点が注目されます。 著者の意見は実に的確で、新刊を拝読するたびに感銘を受けるのですが、 同時に、読んでいて実に耳が痛いです。 なぜなら、著者は常に、表面はきれい事を並べながらも自らを安全地帯に置く輩、 例えば著者の君が代斉唱反対に賛同しながら、実際は沈黙する輩にこそ矢を放っているから。 そのような輩こそが「世間」を存命させているのであり、私自身その一員に過ぎない。 ただし、著者は独善に陥っているわけではなく、読者たる私や著者自身を含めた、 半身をどっぷり「世間」に浸らせた人間が、抗弁していく意義を訴えていると考えます。 さて、肝心の死刑制度についての著者の論旨については、 言わんとするところはよくわかりますが、要求水準が非常に高く、 例えば、被害者遺族に加害者を愛することを求めるように読める点は、酷であると思います。 しかし、そもそも秘密主義に起因する乱暴な死刑論議が横行するなか、 著者の意見は傾聴に値する質を備えていると思います。 真に我が国の行く末を案じる若い方に一読していただきたい珠玉の一冊です。
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 死刑を罪と罰という観点から見るのではない。ただひたすら愛、それも自分にとって不都合なものへの愛を通して他者の痛みを想像すること、そこから命のかけがえのなさを見ようとする。  死刑という殺人には主体性がない、責任の所在がない。誰が殺したのかが曖昧である。それを支えているのは世間という名の日本独自の主体性のない雰囲気。それをマスコミもあおる。森達也なら一人称の主語がないというところだろう。主体性のないところに愛など不可能である。死刑はそうした主体性のない世間、つまり私たちが支えているのだ。最後に国権の発動としての死刑と戦争を関連させ、憲法9条を持つ日本のあるべき姿として死刑と戦争を永久に放棄するというところへつながっていく。この部分は僕もおぼろげに考えていたことをきれいに言葉にしてもらったようで、とても感動した。  森達也の「死刑」に比べてより抽象的だと言えるが、それだけに死刑に反対する信念の強さが感じられる。その信念(愛)は一見キリスト教的にみえなくもない。リフレインのように繰り返されるスパルタクスの問いもそれを支える。僕は最後のほうに遠藤周作の弱く無力なイエスの姿を連想した。  ただし、最後のほうに出てくるギュンター・グラスの告白をめぐる部分は異論がある。あれは西欧と日本の違いと言うより、グラスという人が突出しているのだと思う。そういう突出した人は日本にだっていたし、逆にドイツ人だからといって、最後まで恥の意識を持たずに生きた人もたくさんいると思うのだが。。。  しかし、つらい、「自分の周囲や横に並ぶ空気を確かめながら態度を決定するのではなく、『私』個人が愛情や憎悪を単独者として実現」(p.101)することが僕にできるだろうか。。。
世間に左右されない個の実践が、真の愛、死刑と通底する戦争を廃止へ導く
「飢えた人、裸の人、家のない人、体の不自由な人、病気の人、必要とされることのない全ての人、愛されていない人、誰からもケアされない人のために働く」「あなたが愛していることはあなたにとって都合の良いことなのではないか」これらマザーテレサの言葉に心が張り詰め、震撼した著者は、2008年4月5日の講演草稿を大幅に修正・補充した本書の前書きを「愛と痛覚をなくした時間、それが私達の日常である」と総括しました 本書を読了し、私は難しくとも、著者が言う世間という愛のない鵺のような存在に惑わされることなく、自分の個を保ち、肉親を越えて他者の痛みを感じ良心の下に生きたい、凡人ながら少しでもそうありたいと思います 実時間にその時代を読み解ける稀有な芥川賞作家であり、気付きを与えてくれる貴重な日本人として、重い病気を抱える著者が健康になることを願って止みません。以下、印象に残る著者の言葉 「痛みを共有することができないという絶望的な孤独を抱えて私達の生はある。ならば、その孤独にうちのめされながらも、なお他の痛みを共有しようとする不可能性にこそ私は愛の射程を見出す」 「一日2ドル以下の生活を強いられる貧困層は世界人口の40% 日本では10年連続で自殺者が3万人を超え、旧ソ連圏を除いて世界最悪の数」 「都合のいいことには泣き、負いきれないことには涙も流さずにむしろ目を背けていく。それが私達の日常です」 「世間とはほぼ純粋な日本語であり、殆ど日本にしかない概念なのです。あくまで顔色を伺うべきは世間なのです。SocietyやPu licは故人の尊厳を前提しますが、世間では個人が陥没する。テレビほど露骨にいかがわしい世間の様相をあらわにしているものはない」 「告解という制度が様々な抑圧の真理を生んだ一方、いわゆる西欧的な個人の自意識、あるいは死刑廃止を宣言したEUのように堂々と人間の良心を語るような自我をつくったことも事実だと思う」 「他国民にも死刑を拡大していくのが戦争。死刑と戦争は通底すると考えざるを得ない」
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