2008年07月24日(木) 思想誌の第1位は
『ユリイカ 2008年6月号 特集=マンガ批評の新展開』!
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【くちコミ情報】
ユリイカにスピールバーグ登場、その心は?
ハリウッド映画の代表者スピルバーグがついにユリイカに登場した、それも娯楽大作「インディ・ジョーンズ4」の公開に合わせて映画評論家蓮実重彦と黒沢清監督という絶好の対談で特集は始まる。 スピルバーグの映画が、ただの娯楽大作からシンドラーズのリストに代表されるシリアスものも撮るようになった思想的な変節が今回のインディ・ジョーンズ4にも起こっている。それはソ連の共産主義とユダヤ問題が戦後のアメリカにも大きな影響力を戦中のスパイ合戦を含めて大きな影を落としていることをジョーンズ博士がただの冒険に巻き込まれているのではなく、冷戦構造と赤狩りの時期描き出すことで臭わせている。こうした映画史的意義を撮影監督の照明技法を含めて分析しながら、フランス映画の巨匠JLゴダールとの思想的親近性をも分析している。同様の批評と分析は堀潤之「JLGによるスピルバーグ」でも詳論されているが、蓮実と黒沢との対談でも指摘されることに大きな意味がある。スピルバーグ映画の意義を再検討する絶好の特集である。 (昨年6月下旬にイェール大学キャンパス内で「インディ・ジョーンズ4」の撮影に偶然遭遇した、登場しているのはスターリング記念図書館正面玄関や大学のコモンズに設定された閲覧室のシーンなどかなりシーンがある。軍隊の移動にも匹敵しかねない大型トレーラーの群れ(楽に40台以上)と撮影専用車(あたかも黒塗りの装甲車の形をしていた)など、ハリウッドの撮影規模大きさには度肝を抜かれた数日であった。)
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【くちコミ情報】
様々な角度からの批評が興味深い
NHKのアニメーション版に興味を持ったことがきっかけで、 原作も読み始め、見事にはまってしまった私が、「ほかに『守り人』関連の本はないものか」と 彷徨っていて見つけたのがこのユリイカ第39巻第6号。 既に他の方も書かれている通り、32pの上橋先生による書き下ろしの 守り人シリーズ 外伝 『ラフラ(賭事師)』は必見です。バルサの幼い頃、そして懐かしのジグロにも会うことが出来、 何よりも短編ながら読者をじわじわと物語世界に引き込む力は素晴らしいです。 批評、インタビューの類も充実しています。 個人的には、アニメーションの監督を務めている神山氏のインタビューが興味深かったです。 氏は、新潮文庫版『闇の守り人』の解説において、 守り人シリーズ への並々ならぬ熱意と体験を語っていたのが印象的ですが、 このインタビューにおいては、ファンタジーをいかにしてリアルに表現するのかという難しい課題を、 とても論理的なアプローチ(具体的には、作品に対するツッコミをする→解消)で解決しようとしている氏の考えが良く出ていました。 ただ、少し残念でしたのは、上橋先生と、 勾玉三部作 の作者・萩原規子先生の対談。 個人的に、お二人が物語を創る上で、どのように世界を創設し、魅力的なキャラクターを掘り下げていったのか等の裏話的なものが 聞きたかったのですが、7割がた、お二人の好きなファンタジーの話題で、「あれが良かった」「これはちょっと苦手」というような感想でした。 とはいえ、『守り人』をもっと深く、いろいろな観点から読みたいと思ってらっしゃる方には、そのヒントをくれる本であるとは思います。
特集:上橋菜穂子
作家:上橋菜穂子先生の特集号です。 「精霊の守り人」を中心に色んな方が書評を書かれています。 何と言っても「守り人シリーズ」の書き下ろし外伝があります! 上橋菜穂子先生と荻原規子先生の対談も見所です。 アニメ「精霊の守り人」の監督:神山健治さんのインタビューもあります。 一冊まるまるに近いくらい、「精霊の守り人」と上橋菜穂子先生の事が詰まっていて FANにはたまらない一冊です。
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【くちコミ情報】
「評論」ではない中で
対談で暴走している金田女史の論文だけが、評論としての体を成していたと思います。あとはもう「自分語り」。 胃が弱い、交通事故で借金をした、そういう中で支えになった、それはわかるのですが、難しそうなコトバだけを連ねた「読書感想文」よりは金田女史の、真っ向からジョジョに取り組んだ評論は痛快であり、落涙を誘いました。 どれだけ痛切にジョジョの世界を我がことに引き寄せて味わっていても、それを「表現」として人様に見せられるレベルにしていなければ、それは作品へのリスペクトにはならないのではないか、特にお金をもらって発売される「商品」である以上は。 対談では荒木御大自ら「それはない」と言いながらも「それが新しい見方なら参考にしないと」とものすごく寛大で度量の広いコメントを残されていて、さすが一流のクリエイターは違う、と思いました。 どのような読み方をされようと、作品それ自体の偉大さが磨耗するわけではなく、金田女史の見方がどうあれ、彼女は「評論」できていることに納得しました。 ジョジョは語るものではなく、読み、味わい、感動するもの。 だけれどもやっぱり「これすごいんだぜ!」とどうしても誰かと分かち合いたくなる。 「開かれた心」をどのくらい自分の中で学ぶことができるのか、が自分は一番大きなジョジョからもらった宿題だと思っています。 そういう意味で、自分は金田女史と鬼教官を高く評価したいと思いました。
対談以外は・・・
この本のメイン企画であろう原作者との対談はジョジョを愛していれば愛しているほど読まないが吉。 荒木先生自信に腐女子がヤオイ的な妄想をぶつけている。 自重できていない腐女子にはうけるかもしれないが私は耐えられなかった。 それ以外は各界のジョジョラー達の熱い思いや考察など愛が見える。 ジョジョ立ちの写真や企画者の人の話も面白い。 各所にん?となるような誤字や3〜7部のスタンド紹介で間違っている記載があったりしたがコーエーの攻略本に馴染んだ身には其処まで不快には感じない。 まぁ、そもそも妄想(ゆめ)みる女性のための本、な感のあるユリイカなので“そういう”記載をスルーできれば中々に楽しめると思う。
ジョジョが素晴らしい?そんなの知ってるよ
まず、連載が20年も続いてたくさんのファンがいる作品を いまさら「凄い」って評価する意味がわかんない。 アカデミックな人たちが理屈をつけてマンガを褒める その構造自体がすげー古くさいっていうか、 まだこんなことやってんの?ってのが正直な感想。 鼎談での金田女史に批判が集まってるのは、 腐女子だからどうこうってことじゃなくて 要するに「勝手に妄想するのはいいけど、 荒木先生にお墨付きをもらおうとすんな!」って話なんだよね。 作者を目の前にして「私の妄想は正しいでしょ」 とやるのは、そりゃ反則だって。 他の執筆者も似たようなもので、ジョジョのような骨太の作品は 分析すればするほど作品の持つ魅力が薄れてしまうのに そんなことには一切おまかいなしで滔々と自説を披露。 だから読んでいて「本当にジョジョが好きなの?」と思ったよ。 個人的には作品と自分の距離にこだわった草森さんの文章と 素直にジョジョと接した西島さんの「映画っち」と ジョジョ愛をぶちまけたカジポンさんがオススメかな。 ジョジョ本だから星をつけるけど いろんな人に小難しくジョジョを分析させましたっていう ただそれだけの本。エライ人(?)のお墨付きが欲しい人はどうぞ。
よりいい荒木論を期待
レビューに多い「やおい話が気持ち悪い」というのは、少し荒木ファンにはあるまじき間違った解釈であると思う。「気持ち悪い」という言葉の中に、同性愛に対する差別的な意味が入っている気がしてならない。どのキャラクターに対しても、それぞれの生を懸命かつ前向きに生きようとする姿を描く荒木さんは、決して望まない解釈であろう。JOJOをずっと読んできた読者であれば、そういう差別は荒木さんの姿勢から学んでおくべきだし、もっと本質的な部分で金田さんを批判するべきだ。もしくは、この対談そのものが(もしくは他の論評でも)、荒木さんのそうした姿勢まで切り込めなかった理由を提示し批判するべきだと思う。 いずれにせよ、この雑誌の完成度は低い。だが、中には大変いい論評もあって、イズミノウユキさんの論文は白眉だ。逆に、Cellの表紙になるまでの話の内容に失望した人や、JOJO立ちやスタンド事典にあれほどページを割くのは首をかしげてしまう人も多かったのではないか。 もう一度きちんとした荒木論が出て、荒木さんと本気で勝負する面々(今回は執筆者の裾野が狭すぎる)をそろえる機会が生まれることを望む。
優2、良1 「全体的にダメだが、読む価値のある優れた批評も」
・画集やノベライズを買うような感覚で購入すると期待外れ。 ・「一歩引いて眺めてみよう」という余裕があるのならば買うべき。 (以下、細かい批評) この特集号には荒木ファン、JOJOファンを満足させるほどのクオリティは残念ながらない。インタビューに関しては、むしろ「荒木氏相手のNG事例としては貴重」とすら思える。さらに、いろんな批評が掲載されているので、中には酷いものもある。 本書の問題点として私が特に意識したのは、『総特集・荒木飛呂彦』と銘うちながら、内容がJOJOに偏りすぎていたことと、荒木氏の漫画のオリジナリティや、なぜ愛されるのかという魅力について真正面から(荒木漫画を知らない人にもわかるように)評していないことである。要するに、総特集と言いながら「誠実さ」「丁寧さ」がない。 ただ、ひとつふたつ、優れた批評に出会うことができた。イズミノウユキ氏「ヘブン・ノウズ・ハウ・ザット・ビジョン・イズ」(荒木氏のコマ割りやアングルに関する批評・図説)と、杉田俊介氏「奇跡について」(JOJOのテーマに対する独自の掘り下げ)はかなりよかった。特に前者は純粋に楽しめたし、コミックスの楽しみ方の幅を広げてくれた。 川島氏・市川氏編の「極私的スタンド事典」も、スタンド名をド忘れした時など、コンパクトで便利である。説明文の中にも笑えるものも多々あった。 私は買って損した気はしない。
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医療は自己責任なのか
尊厳死をめぐる小松・荒川対談は、特集の目玉であるが、議論がほとんど噛み合わないまま終わる。それでも意見の対立する2人の、日本の医療が向かうべき方向性への認識については、一読の価値がある。 医師が足りず、医療の質が低下している。医療格差も再生産されつつある。医療が経済合理性に回収される今のトレンドには、批判の声を上げなければならない。では尊厳死やQOLはその中でどのような意味を持つのか。自己決定は幻想なのか。日本と西洋諸国の身体観にどのように橋渡しをするのか。多くの問題を提起している。
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