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歴史・時代小説
の売れ筋最新ランキング [2008年07月24日 18時58分]
2008年07月24日(木)
歴史・時代小説
の第1位
は 『
坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)
』!
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¥ 670(税込)
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同じ松山で生まれ育った正岡子規と、日露戦争で活躍した秋山兄弟。子規は病と闘いながら俳諧の革新に挑み、秋山兄弟はそれぞれ日本の騎兵、海軍の技術向上に尽力した。当時最強とうたわれたロシアのコサック騎兵を打ち破るべく、ひたすら仕事に打ち込む兄好古と、文学の世界に未練を残しながらも海軍に入隊し、海軍戦術を研究し続けた弟真之。2人のまじめな努力の成果は、歴史が証明している。誰もが立身出世を目指した時代に、彼らがどうやって自分の人生の意義を見出したのか。そんな視点から読んでみるのもおもしろい。
司馬遼太郎の大河小説の中でも、本書は特に評価が高く、ビジネスパーソンをはじめ、多くの人々に読まれている。改革の時代にこそひも解きたい、そんな1冊である。(土井英司)
【
くちコミ情報
】
乾坤一擲の勝負
ギリギリの生死を賭けた男たちの生き様を描いた小説です。 大筋は史実に基づいていますので(刊行後に明らかになった新事実 もありますが)、旅順攻略の部分など読むのが辛い記述もあります。 海戦で勝つ部分など、やはり日本人として気分が高揚しながら 読めますが、ロシア軍は多大な死傷者が出ている訳ですから 勝ったからいい、という単純なものではないと感じました。 また、乃木のような無能なリーダーの下で死んでいった無名の兵士 たちが哀れです。明治期は薩長でありさえすれば、このような無能者 でも大将になれたんですから。ちなみに乃木は士官学校に数ヶ月間 居ただけなのに、長州という事だけで軍人のスタートからいきなり 中佐になっています。無能なリーダーは罪深いです。これは現代 にも通じます。 元トリンプ社長の著書で「仕事ができない奴はいい人になるしかない。 それしか会社で存在価値を表現できないから」というような記述が ありますが、軍事的才能がなかった乃木の精神面の高さにも通じる のかもしれません。 東郷と乃木のリーダーとしてのあり方、海軍の戦略性と陸軍の無策等、 (殊更、意識的に対比させている面もありますが)現代のビジネスの 場面でもとても参考になる気がします。 日本存続のために必死で戦った人たちの物語、未読の方にはやはり 読んでおいて欲しいです。得るものがあると思います。
問答無用で。
司馬遼太郎の作品はこれが初。まだ、6巻ですが ココまで一気に読めてしまいました。 日本の近代、鎖国が終わり、外国との接触が始まり 日本が先進国になろうとしていたこの時代。 熱いです。ワクワクします。自分の小ささが恥ずかしく なるくらいのスケールの大きさ。 学生は言うに及ばず、ビジネス書に飽きてきた 方にも。新鮮な感動と、熱い世界があります。 問答無用でおすすめします。
もっと早く読んでいれば…
私は学生のころから歴史などにはまったく興味がなく、自然と理系の学部に進学しました。学校の授業で教えられる歴史は断片的なものが多く"何年に何があったか?"(歴史)、"俳人の考えを類推しなさい"(国語)などジャンルを超えた繋がりがなく、どうしても興味がわかなかったことを覚えています。 社会人になり多くのCEOが本書を推薦しているのを見て読み始めたのですが、司馬遼太郎の歴史描写は臨場感があり人々の思想や時代背景など一連の繋がりを持って描かれているので「その時代の感情」を共感することができ興味がそそられます。 司馬遼太郎さんの言葉で「歴史上の事実を一つ一つ集め、脚色せず綴っていくことで、ひとつの小説が出来上がる」とありますが、それだけの情報の裏付けがあることで臨場感や親近感が生まれるのかもしれません。 学生時代に本書を読んでいれば、もしかしたら今とは違った道に進んでいたかもしれませんね
世界の日本にした男達の生き方
日本がロシアに勝ったなんて、恥ずかしながら知らなかったです。 秋山兄弟を主として、いろんな登場人物が出てきます。その中でも児玉源太郎が特に好きです。世界の3大提督である鹿児島の東郷平八郎も出てきます。 秋山真之「本日天気晴朗ナレドモ波高シ」 児玉源太郎「諸君は昨日の専門家であるかもしれん。しかし明日の専門家ではない」 203高地の占領、バルチック艦隊に完全勝利する描写が血沸き肉踊るシーンです。(戦争を賞賛してはいけませんが) この本は経営者が選ぶ本、第1位にもなっています。全くその通りだと思います。今まで読んだ小説の中で一番です。 NHKで平成21年に放送予定なので、楽しみです。
最も司馬さんらしい小説
司馬遼太郎作品の魅力は、時代背景に関する情報がふんだんに盛り込まれていて、物語が立体的に浮かび上がってくるところだと思います。そうした意味では、本書は最も司馬さんらしい小説のひとつだと思います。余談が多く、至るところで話が脇道にそれますが、それがまた楽しい。あとがきで、司馬さんご自身でロシア語の資料を読み込んでいたというのを知って驚きましたが、小説の密度を考えると納得できます。物語は秋山兄弟と正岡子規の物語というよりも、日露戦争に関わった様々な人々の人間ドラマと言ったほうがいいと思います。「坂の上の雲」という伸びやかなタイトルではありますが、この小説を貫いているのは、西欧列強から侵略されるのではないかという当時の日本人の切迫した危機意識・恐怖心です。それを避けるために頭脳を振り絞り、尊い人命を犠牲にしながら、必死で生きていた人々の様子がひしひしと伝わってくる小説だと思います。
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時代のうねりが伝わってきます。
日清戦争以降の時代の大きなうねりの中で、秋山好古、真之、正岡子規がそれぞれの境遇、立場の中で、感じ、行動する様の対比がおもしろい。 滅び行く清や、日本の前に立ちはだかろうとするロシア、そしてそのような状況の中で日本はどこへ行こうとしているのか、時代背景が手に取るように伝ってくる。
子規の実像と明治人気質
この巻では主に、闘病しながら文筆活動を続ける正岡子規と、軍人として活躍を始める秋山真之を中心に描かれています。 正岡子規に関して小学校の教科書レベルでしか知らなかったので、過去の俳句や短歌を検証し、新たな作風を作り上げていった彼の功績を初めて知りました。それにもまして結核を患いながらも壮絶なまでに創作活動を行う彼の執念に胸を打たれます。 一方、秋山真之という人物の資質は、欧米に追いつき追い越そうとする明治日本になくてはならないもののように感じます。「飛ぶが如く」で描かれた大久保利通もそうでしたが、この時代には物事に強烈なこだわりをもった人物が必要だったのでしょう。 なお、この巻の最後の章は、ロシアに関する記述になっていますが、欧米でもなくアジアでもないロシアという国の性格が見事に表現されていて、大変ためになります。先に「菜の花の沖」を読んでおけば更に楽しめると思います。
日清戦争へ
時代は日清戦争へと突入してゆく。 秋山兄弟は戦地へ赴く一方、正岡子規は病と闘いながらも・・・ 明治の時代に青年たちが、それぞれの境遇の中で青春を謳歌する話。
子規に死期が迫っています。
好古30代後半、真之、子規30代前半くらいまでを描いています。 好古についての記述は、旅順攻略が目立つくらいで、 真之、子規の記述のほうがややや多目か。 時代としては、日清戦争と日露戦争前まで。 子規は、いよいよ病床に高浜虚子という後継者を得、 好古は、この巻の終わりには大佐として司令官に、 真之は、アメリカ、イギリスに留学。 日清戦争あたりまでは、やはりひとつの山場として 読み応えがあります。 ちょうど山場を超えたあたりで この巻は、終わることになるわけです。 ロシア皇帝の話は、話が行きつ戻りつして、 なんだか、読みづらかったです。 そろそろ子規にも最期が迫っています。 文学ファンとしては、節や左千夫が出てこなさそう なのが残念ですが、次の巻も楽しみです。
「やりたいこと」ではなく、「やらねばならぬこと」をやるのが「紳士」だ。
サラリーマンのおじさんのバイブルと聞いて、以前から 興味があったが、やっと購入し2巻まで読み進むことができた。 日清戦争から日露戦争への続く、外交・内政と秋山兄弟の 「明」と正岡子規の「暗」の対照が印象的だった。 感銘を受けたところ ○豪傑を否定し、戦場で本当に必要なのはまじめな者である。p.104 →職場でも実感します。スーパー営業マンは必要ありません。 「当たり前」のことを「愚直に」実行する責任感のある人材の 方が重要です。 ○戦術というものは、目的と方法をたて、実施を決心した以上、 それについてためらってはならない。p.216 ○あしは、あと何百日生きるか知らぬが、生きられるだけはや らねばならぬことをやる。p.324 →村上春樹の「ノルウェイの森」の中で長沢さんが語った、志 (モットー)を思い出しました。彼の志は「紳士」であることで した。「やりたいこと」をやるのではなく、「やらなくてはな らないこと」をやるのが「紳士」だと。地位や志が人を造ると思 いました。 p.s.江川達也の漫画「日露戦争物語」を先に少し読んでしま ったので、小説を読みながらも、好古の顔のイメージなどが固 定してしまった。江川氏は司馬遼太郎の秋山兄弟像にずいぶん と影響されていると思いました。
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もはや成功・不成功を論じているような余裕などない
日露戦争開戦に向けての意思決定と開戦準備がテーマ。 当時大人と子供ほど国力の差があったロシアに対して、なぜ日本が開戦を決意するに至ったのか、当時の人々の深刻且つ切実な葛藤・決意が臨場感を持って伝わってきます(「このまま時が移れば移るほどロシア側に有利で日本側に不利です。今なら何とかなる。日本としては万死に一生を期して戦うほか、残された道はない」)。 国に対する愛情だけでなく客観的・冷静な彼我分析のもとに、日本がなけなしの総力を結集していく過程には思わず心が動かされます。
昭和日本軍の原点をみた
いよいよ日露戦争の戦いの火蓋が切られる第3巻。 前半部分では、戦争回避の努力もむなしくロシア側の理不尽な要求に追い詰められ開戦せざるをえなくなったプロセスが描かれています。当時の日本にとって大国ロシアと戦うことがどれだけ困難(無謀)なことだったかを思うと、大国から屈辱的外交を強いられた憤りを感じます。 中盤以降は日露戦争準備から緒戦まで描かれていますが、私が印象に残ったのは、さまざまな点で後の日中戦争、太平洋戦争との対比やそれらへの影響が垣間見えたことです。 例えば、開戦の段階で陸・海軍と政府があらかじめ戦争終結に向けたシナリオ(短期決戦での勝利で列強諸国に仲介してもらうこと)を共有化していたことは、昭和の戦争とは対照的で興味深いです。 一方、兵士個々人の闘争心や忠誠心に頼る白兵戦中心の戦闘、補給に対する意識不足など日本軍の特徴がすでにみられ、日露戦争の反省があれば昭和の戦争はもう少し違ったものになったのではないでしょうか。
まさに戦争だ!
子規は逝去。文学の周辺に関しては、この巻で終わってしまうようだ。 とうとう、日露戦争が開始され、秋山兄弟の活躍が始まる。 山本権兵衛、東郷平八郎が登場。 日露戦争の緒戦までが、本巻の内容。 ロシア側の人物に関しては、ウィッテの記述がいまひとつ定まらない感じがして、落ち着きがない。 日露戦争も佳境に差し掛かる、どう物語は進むのか?
陸軍と海軍
日露戦争における陸軍と海軍の違いこそが、その後の日本を太平洋戦争へとすすませていったのであろう。 山本権兵衛と山県有朋、この二人の男のちがいがよくわかった。
将のあり方
本シリーズの主役ともいえる日露戦争の開戦前後がこの第3巻。 p 本シリーズを通して、痛いまでにまっすぐ、国家の為に身をささげる人々の思いをびんびん感じてきたが、中でも特に印象に残った場面があった。 p 日露戦争における海軍を作り上げた山本権兵衛がかつて海軍大臣を務めていたとき、日露戦争での主役となる旗艦“三笠”を英国に発注。しかしながら、資金繰り逼迫で万策つき、どうにも前払い金が払えない。時の内務大臣西郷従道は、事情を聞き終えると 『それは山本さん、買わねばいけません。だから、予算を流用するのです。むろん違憲です。議会で追及されて許してくれなんだら、二人で腹を切りましょう。二人が死んで主力艦ができればそれで結構』 p 本当に胸が熱くなりました。この時代にはこんな人材が少なからずそこら中にいた、、、というより、武士の魂を色濃く残す当時代の常識的な生き方なのですね。 p 覚悟が違います。本気度が違います。自分と比べて余りの違いに愕然としました。 p 本シリーズを通して上記のような精神に随所で出会うことができます。
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日露戦争に勝ったことで日本が残った。
○読み始めたきっかけ 司馬遼太郎の歴史モノが好きで、その中でも経営者を中心に愛読者の多い、 「坂の上の雲」を読んでみました。 ○心に残る言葉 日本の砲弾は、敵艦船の装甲を打ち破るのではなく、甲板で炸裂し火災を起こさ せ砲台を無力化することを目的としている。兵力の少ない日本海軍にとって、最も 効率的に戦闘する手段の一つ。 日露戦争当時では、一軍の統率は司令官がその人格力をもってやる、作戦の方は 参謀長が受け持つ。基本的にすべて参謀長に任せる。二者択一を迫られた時か、戦 況が紛糾した時のみ司令官が決を下す。 p.184 農業社会=有能無能の価値基準はなく、自然の摂理に従って、きまじめさと 精励さ嵩が美徳。 狩猟社会=それぞれの能力によって部署に配置され、全体の一目標のために機能 する。その中では指揮者が必要。この社会では人間の有能無能が問われる。世界史 的にみて、狩猟民族は軍隊を作ることに熟達している。 p.256 敵よりも大いなる兵力をもって敵を圧倒撃滅するというのは、常勝将軍と いわれるものが確立し実行してきた鉄則。 日露戦争に勝ったことにより、日本がロシアの植民地にならずにすんだ。しかし、 その成功体験が太平戦争での軍部の過信を生んだ。 ○どんな人に読んでもらいたいか。 過去の日本人の行動や歴史を知ることで、将来の日本の問題について考えるきっか けとなる。できるだけ、多くの日本人に読んでもらいたい。
ちょっとした記述が妙に面白い。
良さについては沢山のレビュアー様がおっしゃっている通り。 個人的には北進軍の中の黒木部隊の記述「まるで別の人種の部隊に率いられていたかのような強さ」というところで思わず吹き出しました。 司馬遼太郎、時々面白い表現しますよね。。
リーダーの資質が組織の運命を決める
第4巻は遼陽の会戦から旅順攻防まで。 リーダーの資質が、特に戦争といういわば極めて緊迫した状態において、いかに重要かということを思い知らされます。 旅順攻略軍における乃木・伊地知コンビ、バルチック艦隊におけるロシア司令長官について、著者は「無能」を連発し酷評しています。当然、ここでいう「無能」とは、全人格を否定する意味での無能ではなく、あくまでもそのとき置かれた状況下において能力を発揮できなかった(もしくは持っている能力が状況に適応できなかった)という意味でしょう。ただ、リーダーたるもの、ある面で優れているだけでは(例えば乃木がもつ会う人を魅了してやまない包容力など)務まらないどころか、組織全体に対して悪影響を及ぼすという事例ともいえ、企業経営などに置き換えると考えさせられるものがあります。 なお、乃木・伊地知が攻撃の失敗から反省することなく、無謀な攻撃をただ繰り返すさまは、日本陸軍がもともともつDNAなのか、後の太平洋戦争を暗示しているようで、名著「失敗の本質」が思い出されてしまいました。
「学ばざる軍隊」のルーツ
第4巻では日露戦争の様子が行きつ戻りつ、詳細に記されており、1〜3巻までの秋山兄弟と正岡子規を中心とした「青春歴史小説」から「戦争歴史小説」の匂いが濃くなる。 黄海会戦、遼陽会戦、バルチック艦隊の間抜けな様子、旅順要塞の攻防戦など、丹念に調べた作者には頭が下がる。 驚くべきは後に神格化された乃木将軍とその参謀の無能ぶりである。 ロシア軍の砲撃の前に屍の山を作っても、正面からの白兵戦を繰り返す様は、約40年後の太平洋戦争で、米軍の圧倒的な火力の前に銃剣で突撃して玉砕して行った日本陸軍の姿がだぶる。 大国ロシアに「勝った」事で、驕りが出た日本は、自己過信に陥り、器は大きいが無能の乃木を英雄に祭りたて、その「失敗」を語る事がタブー化されたのであろうか? 彼らは少なくとも、失敗から学ばなかった。 ガダルカナル、ニューギニア、インパール、ビルマなどで繰り返された、無能な突撃、玉砕は、旅順攻撃の多大な犠牲を反省し、その作戦を失敗と認めて検証していれば、避けられたのではないだろうか?歴史に「たら」「れば」は無用と言うが、太平洋戦争の正当性の判断はは別として、日本陸軍に旅順での失敗を直視して、そこから学ぶ姿勢があれば、何10万人もの若き兵隊を失うことなく戦えたのではないか?と考えざるには得ない。 「学ばざる軍隊」のルーツはここにあったのだ。
日露戦争もたけなわ。
徐々に、主人公の役割が、小さくなっていく印象。 秋山兄弟に関する記述は、本当に少なく、乃木・伊地知、児玉など の記述や事実の記述が多くなる。 日露戦争は、まさに正念場。 戦争の事実に関する話は、俄然面白くなってきた。 それに反して、 物語は往きつ戻りつ、ゆっくり進行し 「〜については、すでに(前に)述べた。」 という表現も多くなる。 同じことを何度も記している印象が残ってしまう。 ちょっと、読みにくい以外は、次が楽しみな展開。
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日本人論
司馬は、戦争遂行における日本人の行動を見つめながら、ロシア人と日本人の違いをなんども語っている。それはひとつの日本人論の姿となっている。
人災の、滑稽混じりの恐ろしさ。
日露戦争の一つの山場である旅順開城が主に描写されている。 その司令部(乃木希典・伊地知幸介)の無能をフィクションらしく極大化し、それがドミノ式に起こしていく旅順における人災の怖さというものを見事に描き出したという点では、司馬遼太郎の文芸作品の真骨頂であると言えるだろう。 何しろ冗談のように人命が浪費されていく描写の中で、その浪費の責任者達の責任感・緊張感・現実感覚のなさを(フィクション内の事実として)くどいほど書き連ねるのである。 最初はホラー映画も真っ青の戦慄を覚えるのだが、そのうち頬が笑いながらひきつる感覚を覚えた。 能力の劣る上司を戴くという人災の、滑稽混じりの恐ろしさというのは、強烈だった。 そうそう忘れられそうにない。
児玉源太郎物語
3巻あたりから登場の児玉源太郎。 今の主人公は、彼であるといっていい。 書き進むうちに、この輝く人物をほうってはおけなくなったのだろう。 遼陽に戦い、二○三高地を落とし、旅順を攻略。 苦労しながら辛くも勝ち進む日本と同時に バルチック艦隊の長く苦しく足並みの悪い旅路が描かれる。 多くのエピソードが示唆を与えるこの戦争は、作者も 物語を選りすぐるのに苦労したのではないか。 そう感じる5巻でした。
これは戦記
第5巻は、バルチック艦隊の滑稽な航海の様子を挟みつつ、主題は203高地攻略から旅順陥落までを描きます。 第1巻から読み進めてようやく実感しましたが、この小説は他の司馬作品とは趣きを大きく異にしています。 序盤こそ主人公の秋山兄弟や正岡子規の描写が中心で、他の司馬作品同様、かなり感情移入できたのですが、中盤(第4巻あたりから)以降はまさに日露戦争の「戦記」といえる内容であり、読者にとっては好き嫌いが分かれるのではないでしょうか。(私は好きですが) 日露双方の登場人物はそれぞれキャラがたって表現されているのですが、それ以上に、凄まじい戦闘の様子がこれでもかと記述されています。小説ですので多少フィクション的要素もあると思いますが、著者もたびたび記しているとおり史実に対する「余談」が多く挿入されており、一般的に知識が乏しい時期である明治時代後半の日本や世界の情勢、日露戦争の様子が幾層にもわたってイメージを構成できる記述になっています。 データ、エピソードの豊富さは、参考文献一覧を記載して欲しいほどです。
旅順陥落とその多大な犠牲
旅順は陥落したが、それに払った多大な犠牲を思うときに、戦争指揮官の責任とはなにかということを深く考えねばならない。 この戦争における犠牲者に対して責任所在の有無は重要なことではないのか・・・
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人の顔が見える歴史
説明の必要がない 司馬遼太郎の最高傑作の一つだ。人気という点では「坂の上の雲」と双壁というところだと思う。 本書は青春文学である。実際 主人公の坂本龍馬だけではなく 彼の周りに現れる登場人物はみんな若い。若者が 江戸時代の終わりという「時代の老年」の中で 思う存分暴れ回り その多くが若くして死にながら 明治という新しい時代を開いていく話だ。龍馬自身も最後は凶刃に掛かって 死んでいくわけだが 本書の底を流れる「明るさ」は 主人公の死を描いていても失われていない。本書を読んで「元気になる」という感想は多いのも そんな明るさにあると思う。 振りかえって21世紀の現在、そのような「明るさ」は一体どこにあるのだろうか?資源問題、格差問題、暴走するマネーゲームという「時代の激動」はあるが そこに人の顔が見えない気もしてならない。見えるとしても のっぺりした無表情で無国籍な顔ではないだろうか。そういう時代に 本書を読むと 人の顔が生き生きと見えてくる感じも受ける。それは本書が小説であるからだけではないような気がしてならない。
もし自分がその時代に生きていたら・・・
恥ずかしながら明治維新のことを良く知らなかった私は、この本を読んで坂本竜馬に感動したのはもちろんですが、それ以上に幕末〜維新史に興味を持つようになりました。「歴史小説を読んで歴史を勉強した気になるな」とよく言われます。史実ではなくて、小説に過ぎないと。しかし、その時代の文化、通念、人々の心を容易に想像できるので、歴史に馴染みの薄い理系人間にはぴったりでした。 その時代に生きた若者たち。竜馬が活躍する以前に多くの若者が志半ばで命を落としていきます。彼らは、志のために自らの一つしかない命を賭けながら、結末を知ることすらできなかったのです。明治になり、生き残った人たちは政治や経済の舞台で光を浴び、竜馬を含めて幕末に没した志士たちは、しだいに忘れられていったそうです。幕末の志士が再び人々に思い出されるようになったのは、ずっと後になってからのこと。 竜馬ばかりでなく、その時代に生きて、そして死んでいった若者それぞれの心を、いったいどんなだったろうと想像せずにはいられません。そして、もし自分がその時代に生きていたとしたら、何を考えて、どんな思いで、どう行動をしていたかと思うのです。果たして命を賭けるほどの志を持てただろうかと。竜馬の卓抜から多くを感じる以外にも、この時代の描写から自分を見つめ直す良いきっかけを与えてくれる本です。
地形はそこに住む人間の個性を大きく左右する
司馬遼太郎氏は、作品を書く前に膨大に地理的なものを知らべ歩き、独自の感性に従って、登場人物の思いを作品に注ぎ込むことをします。 例えば、氏は、当時の勢力状況や資料などを踏まえた上で、それに+αとして、その街なり景色なりを必ず見る。 その時その武者はどう感じたのか? 氏の頭の中には鮮明に思い描かれている様子が、丹念な表現力によって作品化されている。 現代は没個性が叫ばれていますが、交通手段が発達したことにより、移動が早すぎて風景を楽しむゆったりとした時間がないのでしょう。 風景を体感する充分な時間がなく自分の足で直接地形を踏むことがないため、心に残らないのでしょう。 また誰でもどこにでもいける時代になった便利さと引き換えに、日本人がみな同じようなサイズになってしまった一因がここにあるのではないでしょうか? 例え話としては、海が見えるところで生活してた者は、好奇心旺盛でおおらかな心を持ち、山で育った者はその山を見ることによって、繊細さや逞しさを養っていたというような。 勿論、湾や山の形は一つとして同じものはないはずです。 同じ地方に住むものはアイデンティティを一部共有していたのではないでしょうか? その人が体感した風景一つ一つすべてがその個性を大きく左右していると感じられて仕方がありません。 この作品は、その後ほとんどの司馬遼太郎作品を読むことになる原因を作った、私が最初に出会った氏の傑作です。 ここでも、会津藩士、土佐藩士、長州藩士、薩摩藩士などの強烈な個性の激突があります。 そして、人物一人一人に感銘を受けて、 俺はこの中で言うと誰だろう? 誰を模範とすべきか? 読み進むうちにその答えは、私はやはり、竜馬になりたいというものでした。 しかし、最後のページを読み終えた瞬間の感想は10数年を経た今でも忘れていません。 それは 「この男にはいつまでたってもかなわない」 というものでした。 若い当時の自分に、痛烈な向上心を植え付ける経験となったのです。
竜馬どの
1巻では、竜馬はまだ20歳頃。剣術に明け暮れている時期である。とはいえ、その頃から幕末の風雲を駆け巡るべく多くの出会いに恵まれている。竜馬の大物っぷりがふんだんに描かれ、今後の活躍が仄めかされている。 理に合わぬことはせぬという桂小五郎は竜馬についてこう語っている。 「口から出る言葉の一つ一つが人の意表をつくのだが、そのくせ、どの言葉も詭弁のようにみえて浮き草では決してない。人をわなにかける言葉ではないのである。自分の腹の中でちゃんとぬくもりのできた言葉だから、その言葉一つ一つが確信の入った重みがある。だまって聞いていると、その言葉の群れが、耳から心にこころよいすわりで一つ一つ座ってゆくのである。」 この竜馬の性質は、竜馬が多くの人を巻き込み時代を変えていくことに成功した大きな要素の一つだろう。
日本人としての誇り
歴史好きと謳いつつも、実は日本史には触れた事無かった 自分でしたが、あるきっかけで読むことになりました。 感想は大満足。全8冊(文庫本)。 日本史に惹かれたのもそうですが、 やはり司馬遼太郎さんの文章力と探求力に脱帽ですね。 「坂本竜馬」の魅力と、幕末に生きた武士たちの日本を想う気持ちは、私達の忘れている何かを奮い起こしてくれると想います。 日本人としての誇りをもちつつ、そして自分の信義を貫きながら生きる人。また、信義を貫くために死を選ぶ人。 さまざまな局面でさまざまな登場人物が、さまざまな人生を歩んでいきながらも、「日本を想う」という想いは敵味方に分かれても変わらないものでした。 日本人同士が「志は同じ」ながらも、敵味方に分かれて戦うことになってしまった幕末という時代の悲劇を、他の世界(欧米、他アジアなど)になかった歴史だったということとも照らし合わせて、私達が同じ血を受け継いでいるということを再認識すべきだと思います。 「どれだけ気高い生を全うできるか」 ある本で読んだ事があります。「弔辞に何と言われて生を終わりたいか」。 永遠のテーマであると伴に、考えるのは極めて難しいことだと思います。 ただ、この時代の人たちは、自分たちのゆるぎない信義をもち、それに基づいて生き通しました。 その生き様を私達が知り、これからどう想いながら生きていくか。 坂本龍馬の「大政奉還」という大きな贈り物が、今の私達の何不自由ない生活の礎になったと言っても過言ではありません。 歴史が今の私達にどれだけの恩恵を与えてくれているか。 そして、 「『日本人』としての誇り」 が、今の私達にいかに薄れてきているか。 そして、それがどれだけ誇り高いものか。 気付かせてくれる。そんな本書でした。 今まで読んだことなかった自分が言うのもなんですが、絶対読むべし。
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明石元二郎物語
戦いのほうは、敵の退却により黒溝台での凄惨きわまりない危地を、あっさりと脱する。 この巻では、むしろ、明石元二郎が主役といってもよいくらいのサイドストーリーが展開されます。 とにかくこの人が、興味深い人物として描かれていて、印象が深いです。 革命に与えたこの人物の影響は、本当のところどの程度なのか? もう少し勉強したい気持ちになりました。
日露戦争のサイドストーリー
第6巻は、読むペースが明らかに遅くなりました。 黒溝台の戦いでは、ようやく好古率いる騎馬隊の戦闘が描かれるのですが、残念ながらその機動力を活かした痛快な戦闘というものではなく、馬を降りて歩兵として戦うことで圧倒的な兵力をもつロシア軍に対抗するという地味なもので少し拍子抜けしました(少ない兵力で戦うにはそれしか方法がしたのですが)。日本軍最大のピンチとなったこの戦いは、ロシア軍内部の権力闘争の影響もあり日本の不思議な勝利で終わります。いわば敵失による勝利といえましょう。 後半は、これまでの苛烈な戦闘についての描写が一休み。バルチック艦隊の遠大な航海、ロシアでの革命活動を促したスパイの活躍、軍艦マーチを奏でる軍楽隊の様子など、日露戦争に関連するサイドストーリーが語られます。戦場での戦闘ばかり読んできた4〜5巻に比べ、登場人物も話題も一気に広がる印象で、読むのに苦労しました。
戦争とはおそろしい
戦争とはおそろしい。 ちょっとした気のゆるみが多くの兵士を死に至らしめてしまう。 戦争指揮官の責任の重さはとてつもなくおおきい。
官僚組織の腐敗の凄まじさ
日露戦争は、官僚組織が硬直化しきってしまった帝政ロシアと、国家というものをはじめて持ち、生まれたばかりの国家を何とか守ろうと国民上げての防衛を図る弱小国日本の闘いである。 p 今から考えると、確かに勝ったが例えばやり直しがきくとして何度か再戦してみればそのことごとくで日本は負けたであろう。ロシアが敗戦の中に自らの腐敗ぶりに気付くことさえできれば。それほど実力の差はあった。逆に言えば、その実力の差を跳ね返してしまうほど、一致団結してまとまった国家は強いということも言えるし、官僚化して硬直しきってしまった国家というのは話にならないもろさを抱えるということが言えることもよくわかった。 p これは、戦争に限らない。社会におけるあらゆる事象にあてはめることができる教訓であると思う。それほどまでに、ロシアの官僚化が如実に描写されている。むしろ日本の勝利の原因は日本にではなく、ロシアにこそあったのだということがよくよく見にしみた。 p そこを差し引いても、あまりある旧日本男児の気概、生き様にはただただ畏敬の念を禁じえない。狂信的とも言える、信念の強さは凄まじい。この気概をもってすれば今の日本も一気に救われるものと確信する。 p 痛快なまでの古きよき日本の魂が堪能できる。
騎兵隊・スパイ・軍楽隊
秋山好古率いる騎兵隊の奮戦に始まる第6巻は、明石元二郎という新たなキャラクターが登場し、スパイ小説のような舞台設定で革命前夜のロシアが語られる。歴史の表舞台には登場しない明石と言う人物はとぼけた風貌で大仕事をやってのけ、どことなく刑事コロンボを思わせる。著者は彼の業績を称えつつも、歴史の流れのなせる技として誉めすぎることなく伝えようとしている。 p その後の章は、次のクライマックスに備える日本軍やバルチック艦隊の描写だが、軍楽隊の話や艦上の射撃訓練の様子など「余談」も盛りだくさんで、大変興味深く読んだ。
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感動しました
ちょっと南部訛が読みにくかったんですが、慣れてくる頃にはその訛が愛おしくなってきました。ぜひ最後まで読んでいただきたいと想います。この本に影響されて、南部盛岡に旅行に行ってしまいました(笑) 生きる力強さを感じた素晴らしい本です。
小説で初めて号泣しました
小説を読んで号泣したのは初めてでした。幕末の、政治も人の心も明日はどこに向かうのか混乱を極める中、その只中にあってひたすら己の信じる義にのみ戦い、死んだ人の話です。あまりにも切なくて、美しい生き様にとにかく涙が止まりませんでした。当時、吉村と共にあった人が語り部となり、聞き手に語りかけてくるという進め方が、より吉村の人物像を立体的なものにしていくます。
幕末を皮膚感覚で感じたい人に
とんでもない名作です。次代に読みつがれるのではないでしょうか。貧しさに立ち向かい、家族を養うため、南部藩を脱藩してまで新撰組に加入し、給金をすべて送金し家族愛を貫いた文部両道の士、吉村貫一郎の