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片山 杜秀(著)
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カスタマーレビュー数:2
【くちコミ情報】
面白いが、高偏差値風?
吉田秀和絶賛ということで読んでみた。吉田秀和が絶賛する日本人の書いた本というのは最近珍しいから。 なるほど、テーマが極めて個性的であり、片山の幅広い教養が生半可なものでないことが感得できる。文章もまあうまい。それぞれの論の展開も刺激的だ。しかしだ。彼の考えは今ひとつハッキリしない。 たとえば、小林研一郎の『パッサカリア』と山田耕筰の『明治頌歌』の類似性に触れて、山田の時代からコバケンの現代まで日本人(というより、日本の作曲家の、といった方が正確だろうが)の気質は変っていないと閉じているが、それでどうだというのだ。それは悪いことなのか。よいことなのか。あるいはわからないのか。片山自身の考えがわからない。 朝比奈の項目でも、それでは彼は朝比奈の「無国籍性」を評価しているのか、あるいは揶揄しているのか? 盟友らしい許光俊は、朝比奈についてはっきりと馬鹿にしている。コバケンしかり。わかりやすい。許はその点、言論公表に責任を負っている。 しかしながら、片山の文章では、彼が言及するあれこれについて、どう思っているのかが曖昧である。 面白いことは面白いし、色々と知識は得られるが、彼自身のスタンスがもう一つ不明であって、そのことは批評家としていかがなものなのか。疑問を禁じえない。
片山節全開の音楽本!
自分が初めて片山杜秀氏の文に触れたのは音楽之友社の クラシック名盤大全だった。(この本は改訂版の発行を希望したい。 当時CD探しにかなり役立った) その本の中で見たことも聴いたこともないような曲(ばかり)を 廃盤だろうが未CD化であろうがおかまいなく, 完全に他の批評家とは90度方向がズレたノリで 「この曲は聴いておいた方がいいんだぞ」という それはそれは熱い語り口調で(時にはレレレードミソーなどと 音階を文に載せたりして,語りの熱さは青天井であった) 薦めるものだから,当時自分はCD屋を何軒もはしごさせられた ものだった。(で,結局ほとんど見つけられなかった) また,ムラヴィンスキーのサルマノフ交響曲全集なんかにも ひょっこり解説に顔を出したりしたので,この人の知識量は底が知れん, と怯えたものだった。 そんな片山氏の本が発行された!中を見た感じ,あのときの ノリは変わっていない!必読だ。ぜひ,自分と同じ(口車にのせられる) 体験をしてみて欲しい。
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三井 秀樹(著)
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カスタマーレビュー数:2
【くちコミ情報】
美を追い求めてたどり着いたのは…
タイトルで「形の美とは何か」と問いかけている。この本にはかなり明確にその答えが書かれている。 かんたんに言えば、自然が作る形こそが、美しさの元であるということ。例えば生き物は自然淘汰の中で、もっとも効率よい形をつくってきた。また無生物の岩も、上流から下流へと流されていくうちに角が削られていき、丸みを帯びた形になっていく。こうした形はオーガニック形体といい、人工的にオーガニック形体を作ることも可能らしい(作り方が2つ書かれている)。 p この本でとくに力を入れているのがフラクタル(自己相似性)について。雲や稲妻や海岸線などは、どれだけ拡大・縮小しても形が変わらない。秩序がないと思われていた形にも、じつは数理的に表すことができたという話だ(つまり非定形とは、ほんとは非定形ではないということ)。 人間は、フラクタルについてだんだんとわかってくると、人工的にフラクタル図形を作り出していった(コッホ曲線とか、シェルピンスキーのガスケットとか…)。フラクタルは今後ますます研究が進んで、デザインなどに取り入れられていくだろうから、基本を知っておくにはよい。 p フラクタル次元の話で1箇所だけ、数式(対数log)が出てくる。それ以外はすべてふつうの日本語で書かれているので、難しいところはほとんどなし。具体例も豊富。キュビズムの代表作とされるピカソの「アビニヨンの娘たち」から、日本の家紋12種まで、特徴的な形がつぎつぎと出てきて飽きない。眺めているだけでも楽しい。
多角的な視点から「かたち」を捉え直す
様々な「かたち」を紹介、分類し、またそれらの歴史や、文化、経済、芸術、産業、テクノロジー、人間の感性などと「かたち」の関係について総括的に述べる。 「かたち」について書かれている本だけに、文字だけでなく実際に様々な図や写真が掲載されているのも分かりやすくて良かった。 p 全て「かたち」に関わることしか書かれていないとは言え、博学な筆者によって非常に広い視野で「かたち」について考察されているので、これから「かたち」に関わることを学ぼうとしている方にも、これまで「かたち」に関わることをある程度専門的に学んでこられた方にも一読の価値はある本である。
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カスタマーレビュー数:2
【くちコミ情報】
遠州の入門書としては最適だが、芸術に関心が無い読者の入門書としては取っ付き難いかも
本書は、茶人、建築家、庭師、政治家としてマルチな才能を遺した小堀遠州の魅力を、ふんだんなカラー写真を織り交ぜつつ、遠州に関心が高い著名人の解説を織り交ぜている。「NHK美の壺 表具」を通じて遠州に関心を持ったものの、どの本から遠州について学べばよいかわからなかった。検索した結果、本書を含む2冊の本が入門書に相当することを知った。そして、本書は遠州の入門書としては最適で、遠州のマルチな才能を体系的に理解できる。 私と同様、大半の方は遠州について存じない方が多いと思う。遠州は吉田織部の弟子であり、千利休の孫弟子である。利休は有名なので私なりにわかりやすく説明すると、遠州は信長、秀吉、家康の家康に相当する。 (中略) 作風としては、明るく開放的な空間で、世界中で受け入れられる近世の取れた形と装飾性が挙げられる。利休にありがちな白黒の世界ではなく、カラーをふんだんに使用しているといったところだろうか。本書の22〜23ページに利休、織部、遠州の茶碗比べをカラー写真で取り上げているが、このページは本書の全てを濃縮しているといっても過言ではない。 自分の世界を徹底的に追求するのが利休と織部だとすれば、遠州はおもてなしを最重要視している。相手の地位や気持ちを最優先し、TPOに合わせて舞台をコーディネートする。まさに、現代のサービス業にも通じる要素であり、グローバル化が進んでいる21世紀は遠州の時代だといっても過言ではないと考える。 ただ、誤解して欲しくない点が1つある。それは、利休や織部の時代は終わったということではなく、遠州も両者と同等に評価されて然るべき時が来たのではないかという点である。遠州は利休と織部の直系であり、利休と織部なくしては遠州も存在し得ないのだから。 以上のように、本書は遠州を知る上では最適な本の1冊である。しかし、不満も無くはない。それは、作品と解説が中途半端に混ざっている点である。2ページで1項目を取り上げたほうが、読者に対してより体系的に遠州について理解でき、織部や利休についても派生するのではないかと考える。さらに、歴史上の人物との兼ね合いや趣向の変化等をわかりやすく紹介し、解説も小出しで取り上げれば、遠州の偉大さや業績を再認識することができるのではないかと考える。
次に遠州符合はいかが?
初冬の京都、初霜の降りた名刹南禅寺金地院の鶴亀庭園で他殺体が発見された、遺体は遥拝石そばの白砂上に人為的に奇妙な姿勢で横たえられていた、身元は市内有名博物館館長、近世日本美術史研究者と被害者の娘による調査が始まった、奇妙な姿勢は遠州好みの「面取」に倣ったものだった、そして鶴亀庭園の作者も遠州、江戸初期、徳川家、柳生一族、天海僧正、崇伝、そして古代より朝廷に力を持つ闇の勢力、はたして日本のレオナルド、小堀遠州とは何者だったのか、そして真の日本の姿とは、がいま明らかにされる、遠州没後360年の今年、ダビンチ・コードの次は遠州コードだぜ! って、パロディもあながち的外れではない多芸多才の天才こぼりえんしゅう、業績全般に関しコンパクトにまとめられた良書、全ページ・カラーで眺めて良し、読んで良しです、著者の一人は遠州流本家の人、料理のページを設けたのは良い、 このシリーズは大きさが小さいことは購入前にぜひ確認されたし、個人的には本書のような内容であれば週刊誌サイズが望ましいとおもうが、大きく重いものを持ちたくない読者層も存在するのでこの点は購入者の好みになります、評者の愛読書、芸術新潮1996年2月号の遠州特集と同じアングルの写真がたくさんあるのにはちょっと苦笑、 建築家の視点ということで磯崎新が登場しているが、あいかわらず言葉数が多いだけで何も語っていないのは困ったもの、現代建築家なんかに遠州を語らせようという姿勢がおかしい、と気づかないところが編集者の力量の限界でしょう、
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マルセル デュシャン(著)
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【くちコミ情報】
これはしかしすごい
どうしろっていうのだ デュシャンは何も言っていない ここで彼はずっとはぐらかすだけだ だからこそデュシャンなわけだし、こういうセルフプロデュースが彼の作品、ただでさえ素晴らしいそれらを神格化しかねない、まさにそれぞデュシャンなのだけど ここではいくつかの素晴らしい言葉が聴ける しかし、それは極僅かに滲み出てしまったもので、ここに書いてある最も重要な事柄は「彼は何も話しはしなかった」ということじゃなかろうか
”生活するために働くことは馬鹿げています”、さすがダダイスト!
この本はいわずと知れた高名なダダイスト、デュシャンのインタヴューの記録である。さすがダダイストだけあって、個性的な考え方、人生観をしていることがよく伝わってくる。印象として、不真面目で、ユーモアにあふれた、知的で、かなりひねくれたご老人のように感じた。美術に関心がなくとも多分一読の価値はあると思う。当然といってはなんだが、ビジネスにしか興味のない人とは無縁の本である。大人の遊び心がなければこの人物に共感は抱けないだろう。
心地よい脱力感とそれを支える頑なさ
便器をアートにした男=デュシャンが晩年に語った言葉は、至極常識的で、気持ちいいぐらい肩に力が入っていない。それだけでなく一見こだわりがないかのように見える彼の言葉の端々から、変に頑固な顔が垣間見えるのがおもしろい。
デュシャンとの対話
マルセル・デュシャンと美術評論家のピエール・カバンヌの対話形式を取り、デュシャンが生い立ちや交友関係、自分の作品について幅広く語っている。「私はとても幸せです」という最後の言葉が印象的。チェスや言葉遊びを好むデュシャン自身が語る、拒否された『階段を降りる裸体』、運搬中にひびの入った『大ガラス』、抹殺されたレディ・メイド『泉』など作品にまつわる裏話を含め、現代芸術の父と呼ばれる人物を窺い知ることができる。
イイ!
デュシャンの考え方。モノの捉え方。そんなことが分かったような気がします。ぼくもデュシャンも大差がないこと。普通に生まれて普通に生きる。そんなあたりまえのことが幸せであること。オススメです。
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今道 友信(著)
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【くちコミ情報】
美学をやるなら読んでおいて当然の一冊。
大学紛争直後の1973年の本。簡素な本だが、なぜ今道が思想的に大物だったのか、あらためてわかる。しかし、本としての字組がひどい(句読点が無意味に二分詰めで、節の行間もない。)そのうえ、この人、まともに句点を打たない。だから、長文になると主語と述語の対応が怪しくなる。 それでも、読むべき本だ。とくに一章と二章。新カント派的な分析と構造の万能主義に対して、ヘーゲル、ニーチェ、ハイデッガーを踏まえて、独自に、悟性より上位の理性に美学を位置づける。その論旨はきわめて平易明快。古典的定義の真善美の一体性から離れられないのが難だが。 第三章は雑談。第四章、五章は芸術学。六〜最後は美の社会性。つまり、このへんは、思考素材が生で羅列され、あまりこなれていない。プロの着目点として、孔子の美学とかを持ってきたのは、興味深いけどね。 しかし、基礎教養の無いいまどきの一般の大学生には、こんな本でも、もうムリだろう。モーツァルトとブルックナーの切り換え目がベートーベンのピアノソナタ110番だ、とか、大海原の錦鯉はシャガールの色だ、とか、言って、ニヤっとできるのがいるとは思えない。それでも、せめて、美学や芸術学の関連を学ぶなら、分析と解釈の違いくらいは知っていてほしい。 この本、今道先生の十年の後輩に当たる渡辺二郎先生には、かなり思うところがあったらしく、二十年後の93年に『芸術の哲学』という放送大学の講義をしている。これも本になっているので、合わせて読むとよい。
美の形而上学
この本はそんなにやさしい本ではない。 「美」はそのようなものであり、いかにして存在し、どういう意味を持つか、そうした問いに答えてくれる本です。 ちょっと古いのとなんかで、全体に文字や文が細かく印刷されていて、少し読みにくい。 まあでも減点するほどのことではない。 こういう「本格的な美学」が肌に合わない人は、佐々木健一「美学への招待」を読んでみることをオススメします。 こちらはわりと軽い感じで書かれていて、美についても本書とはまた違った解釈をしています。 芸術や美学を志す人は、この2冊は読んで損はないでしょう。
『名著』
東京大学名誉教授にして哲学美学比較研究国際センター所長でもある著者は、日本の美学研究の第一人者である。このような略歴を持つ著者が届けてくれる「名著」が本作である。ここで注意しておきたい点は、本作が「美の形而上学」であることだ。つまり、「絵画の美」、「音楽の美」といった個々別々の「美」に対する考察ではなく、「美そのものとは何か」という考察であることだ。(この問題意識を見出すために『ヒッピアス(大)』プラトン著が良いと思われる) 本書の構成は、登山にたとえるとよいかもしれない。「美という価値」と名付けられている頂上へ、芸術作品・社会機能・人格など様々なルートを用いて、登頂を目指すのである。著者と共に歩みを進める意義が十分にある書物だと、小生感じている。 そうは言っても、押し付けがましいのならば少々困るが、『…私の責任による体系を示すことによって、読者の美についての思索を刺戟するためであります。』(p3まえがき)という冷静な視点なので心配はなく、ハッとさせられる言葉に溢れている。その後の思索に必要な参考文献も十分に備えられている。 感受性と思索のバランスについて高めたい方に手にしてもらいたい、一冊である。 太鼓判
目から鱗
音楽が好きで、楽しんで来たが、60歳を過ぎると若いときのように闇雲にのめり込めなくなってきた。同時に、自動車の騒音もモーツアルトのシンフォニーも物理的には共に空気の振動にすぎないのに、前者はうるさく後者は心地よい。何がこの違いを生じさせているのかなどという問題意識が生じて来た。これはもしかすると「美学」という学問に関係するかもと思いこの本を読んで見る気になった。読んでみて、楽しかった。音楽の楽しみ方というか、芸術一般に対する認識が変わった。美学などに関心がでるなどとは夢にも思っていなかったのに、である。
哲学としての美
あいかわらず難しく深い部分からのアプローチが多いので、哲学的感性をある程度磨いているか、知的欲求が旺盛な方でないと好まれない、もしくは理解に至らない内容かもしれません。しかし、この本により得られる精神的視野は、一生の財になること請け合いです。星四つの評価は敷居の高さゆえ、一つ星を削らせていただきました。
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| 表象の芸術工学 (神戸芸術工科大学レクチャーシリーズ) (神戸芸術工科大学レクチャーシリーズ)
高山 宏(著)
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【くちコミ情報】
知るって楽しい!
連続講義を書籍化したものとの事ですが、毎回A3判の大量の資料が 配布され、1回当たり数時間にも及ぶものであったとのことですので、 かなり要約されているのだと思います。 元の講義が聴いてみたかったものです。 本書にある、"delight"の本来の意味が「他人の不幸は蜜の味」 というものであったというのを知ってから、JTのテレビCMを 見るたびに、ニンマリしてしまいます。 そんな「知るって楽しい!」を体験させてくれる一冊です。
高山宏の語りを体感する一冊
端倪すべからざる人物である。 p 視覚と芸術の関わり―なにしろ人間の得る情報の95%は視覚経由なのだという―を軸に、古今東西縦横無尽にジャンルを移動し、語りつくす。江戸の職人の捏造した人魚がなぜ海を渡ったのか?観相学と推理小説の関連、谷崎と英国式庭園。一見意外そうに見える組み合わせでも、高山御大の手にかかれば鮮やかなスペクタクルとして説得的に提示されてしまう。いや、これだけのパースペクティブなくして「文学」を語りえようか??? p 実に勉強になるし、視覚を堪能できる一冊である。
グロテスク・ピクチャレスク・マニエリスム・蛇行
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カスタマーレビュー数:9
【くちコミ情報】
20世紀絵画を理解するのに必要な考え方の提示
本書の帯に書かれている「『わかる わからない』『好き 嫌い』だけでは、永遠に『わからない』」という言葉が中心テーマだと言えるでしょう。 私は、年間約30回美術展に行くほど、絵画が大好きですが、それでも現代芸術となると少し躊躇する場合があります。「分からない」という先入観は受け入れる体制に歯止めをかけてしまう状況をもたらします。 もっとも、昔から好きなジャンルはシュルレアリスムで、第2章の11項の「具象という暴力」で取り上げられているダリは、そのジャンルにおいて一番好きな画家で「茹でた隠元豆のある柔らかい構造(内乱の予感)」などは、その書かれている強烈なイメージとタイトルによって、何が書かれているのかは「分かる」が、その意味するところは「分からない」絵画の典型かもしれません。マグリットの「恥辱」も同様で、具象的形象での観念性の高度化によって芸術性が高められているのがよく分かります。 それ以外にピカソの「ゲルニカ」、ムンクの「叫び」、デ・キリコの「街の神秘と憂鬱」など、20世紀の絵画を俯瞰して眺める際に外せない作品に対しての著者の見解も確かめられ、有用な考え方を得た思いです。 305頁以下は、ナショナリズムと聖像忌避として藤田嗣治「アッツ島玉砕」が取り上げられています。藤田への戦争責任論を問うた問題を果敢に取り上げています。私はこの作品を美術館で対面しています。その悲惨な局面からは、宗教画のような高貴な香りすら漂い、画家の心情と力量が伺える作品でした。不思議なことに、本書の図103には絵が消えています。著作権の関係でしょうか。本文の理解には絵画が必需品ですので惜しいですね。 なお、口絵で取り上げられている旧東ドイツの一連の作品には驚かされました。筆者の「間奏」で書かれたのと同様の印象を持ちましたし、類書にない取り上げ方だったと思います。
分からない
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絵画の背後にある、考え方、思想の流れが、19世紀の印象派から、現代まで、代表的な画家の代表作を上げ、紹介してある本です。なぜ、何を目指して、この絵画が描かれてたのか?他の画家や歴史上、どのような関連があるのか、が説明されています。一人の画家に10ページ弱ぐらいで、40人弱の画家が紹介されています。素人でも知っている有名な人も、大勢紹介されていました。「現代絵画がわかる」をテーマに、抽象絵画と具象絵画などを中心に、いろいろな画家をテーマに解説する、という形です。 ボリューム、内容とも濃い本でした。正直、難しい本でしたが、これまで知らなかった世界を、たくさん知ることができ、興味深さで、読み進めることができました。文章も、なかなか、おしゃれです。 白黒の絵画が多く、解説が書いてあっても、その実際が見えにくく、残念な部分が、多くございました。
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モンドリアンのリンゴの木のデッサンを見た時の戸惑い。空間にすり減らされてあった物が線として自立した途端に起こる手が届かなくなる感覚。ポロックの記述にあったのはこういう事だろうか。つまり現実が別の世界の物にすり替わる事への抵抗感があるのだろうか。 では例えば空間の中で自分の身体と同じレベルのものとして跡や絵の具 があるとすれば、それはもう絵画とはいえないのだろうか。 モンドリアンはある事象から別の現実を造ろうとしたのかもしれない。どちらにも共通する事は絵画世界を組み立てることからはずれて直接三次元空間に関わろうとしている画面であること。 絵画について趙初心者でここに書くのが恥ずかしいくらいですが。色々考える切っ掛けをくれるおもしろい本です。枠をはずして書かれているように思えますから、釈然としなかったものはなんなのか気付いたりして。逆に謎もふえる。人のきれいという感覚きたないという感覚はどこからくるのでしょう
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所有感
写真や文章のよさはもちろん、一冊の本としてのつくりのよさに感心した。白い本体の清楚でカチッとしたデザイン、一転黒を基調としたカバーのコントラストとその手触り。中身の紙質も一味違う。これらが渾然となって本という「モノ」の出来のよさが伝わり、所有する喜びも感じさせてくれる。カバー裏面に隠された写真も秀逸。
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森美術館で開催されている回顧展で杉本氏の作品を見てこの本を買いました。作品は根源的なものへの回帰を目指し、より原始に向かう中で今を知ろうとしているかのようです。杉本氏は時を越えて時代を見つめ、本質を探ろうとしています。この本では杉本氏のモノの見方や知の深さに感銘を覚えました。杉本氏の理解だけでなく、果てしなく広がる近代社会の中で、立ち止まって考えさせてくれる本です。
知識の泉に浸った気分
杉本博司という方がいるというのは、実はこの本で初めて知りました。 どのような作品を作る方なのか、どのような文章を書く方なのかまったく知らずに紹介の文章にひかれて読んでみたのですが、視点と視線がとてもヨイです。目に映る現実の背景にある様々なモノ・コトをもっともっと知りたいとの欲望に駆られる本でした。
言葉
杉本博司氏は1974年よりニューヨークに移住し、海外で活躍しているアーティスト。 その為、日本の出版社より海外の出版社から出されたものの方が多い。洋書ではなかなか、杉本博司氏の写真に対する思いを読み取ることができずにいた。(英語だし。) そんな中、待望の評論集!(日本語で!) 杉本氏の写真も美しいが、文章も非常に美しいので是非!
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岡本 太郎(著)
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岡本太郎のピカソ論
岡本太郎がパブロ・ピカソを唯一尊敬する20世紀の芸術家と考える根拠が書かれている。 岡本によれば、芸術家とは、「もの」をより直接的に再構築(創造)するひとであり、「20世紀の」という形容詞句を冠することができるのは、19世紀のセザンヌのそれ以前の絵画芸術に対する否定に則りながら、そのセザンヌ自体も否定して、弁証法によって、20世紀ならではの回答を提出したからである、という。 上記をピカソ自身の語録から傍証するが、僕は説得力があると思いました。 また、岡本がほかの本で書いている伝統論や芸術論と照らし合わせると、岡本自身がいかにピカソに影響を受けているかがわかります。
ピカソへの挑戦と賛嘆
岡本太郎の目と心を通してピカソのなんたるかを私なりにつかむことができた。ピカソへの挑戦的な賞賛と若き芸術家への鼓舞に満ちたこの書において、ピカソの自身を次々に乗り越えてきた革新の精神に心を動かされるよりも、太郎氏の肉体的な精神、生々しい奔放な思考・筆致に強く心動かされた。解説者が論じているように、この書は『青春ピカソ』であると同時に『青春タロー』であるということ。ピカソと題されていながらも、太郎氏の精神がページを繰る私の手よりも熱くページの中で波打っているように感じた。芸術家の完成を追うのではなくその過程、未熟さを探求すべきだという件にははっとする人が多いのではないかと思う。
ピカソは「踊る」
書名からピカソの青春の苦労話を想像するとすれば、肩透かしを食らう。もちろん青春の苦悩への言及はあるが、それに留まらず、岡本の考えるピカソの魅力の本質をこれでもかと言う程抉り出している。そして岡本のピカソ論が、抽象芸術やキュビスムに対する入門書にもなっている点が本書を更に魅力的にしている。僕は芸術を学んだことは皆無に等しく、ピカソのような抽象的な絵に惹かれつつもほとんど理解出来ないでいたが、本書を読んで先が見えてきた気がしている。そういう芸術の魅力を理解出来た気になっている。初版は昭和28年なのに、読みやすくもあり、ほんとうに「読んでよかった」と思える本だった。
芸術論以前の人間論
「作品は形骸である。学ぶべきものは結果ではなく、それに至り、それを超える道程なのだ。つまり作品ではなく、芸術家のドラマが真に問題となるのである。」(本書98頁) 本書はピカソの解説書などではない。岡本という一個の精神が、ピカソを通して彼自身の中に見て取った渾沌の記録である。 p 我々は、ピカソを、岡本を、「天才」などという慇懃無礼なカテゴリーに括ってしまい、彼らの葛藤から目を背けてはいないか? ほかならぬ我々一人一人が、自身の生身の感性を積極的に打ち出さんとする何かが心中にうごめくのを感ずるのでなければ、実は彼らから何のメッセージも受け止めなかったに等しい。 p 「拝跪・礼賛は、知るや知らずや態のいい敬遠である。自動的な祀り上げによって、それとの峻烈な対決を回避し、消極的に己れの卑俗な世界を守るのである。神棚に鎮座した形而上学的存在はまた下界を毫も動かし得ない。つまり相互は無縁となり、ともに新しい現実に対してはまったく不毛なのだ。」(本書21-22頁)
若き日の天才太郎
私は芸術のことは、サッパリ分からない。特に、絵はサッパリである。そのなかでも、本来の形がバラバラになって、デフォルマシオンされているのはてんでだめである。 p そのキュービズムを顕現させたのが、ピカソらしい。そのピカソに関する、天才太郎の解釈とその歴史を解説してくれているのが、本書である。もちろん、ピカソ本人とも、われらが太郎は交流がある。ただただ、脱帽である。なぜか。その太郎の見識もさることながら、太郎の芸術にたいする、真摯な態度と情熱には、常人には及ばない、その天才性の故である。 p この日本人太郎を持ちえたことは、われわれの誇りである。
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