2008年05月17日(土) 世界史の第1位は
『夜と霧 新版』!
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ヴィクトール・E・フランクル(著)
池田 香代子(翻訳)
¥ 1,575(税込)
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ジャンル内ランキング:654位
カスタマーレビュー数:53
【Amazon.co.jp】
名著の新訳には、つねに大きな期待と幾分かの不安がつきまとう。訳者や版元の重圧も察するにあまりあるが、その緊張感と真摯さのためか、多くの場合成功を収めているように思われる。本書もまた、その列に加わるものであろう。 ユダヤ人精神分析学者がみずからのナチス強制収容所体験をつづった本書は、わが国でも1956年の初版以来、すでに古典として読みつがれている。著者は悪名高いアウシュビッツとその支所に収容されるが、想像も及ばぬ苛酷な環境を生き抜き、ついに解放される。家族は収容所で命を落とし、たった1人残されての生還だったという。 このような経験は、残念ながらあの時代と地域ではけっして珍しいものではない。収容所の体験記も、大戦後には数多く発表されている。その中にあって、なぜ本書が半世紀以上を経て、なお生命を保っているのだろうか。今回はじめて手にした読者は、深い詠嘆とともにその理由を感得するはずである。 著者は学者らしい観察眼で、極限におかれた人々の心理状態を分析する。なぜ監督官たちは人間を虫けらのように扱って平気でいられるのか、被収容者たちはどうやって精神の平衡を保ち、または崩壊させてゆくのか。こうした問いを突きつめてゆくうち、著者の思索は人間存在そのものにまで及ぶ。というよりも、むしろ人間を解き明かすために収容所という舞台を借りているとさえ思えるほど、その洞察は深遠にして哲学的である。「生きることからなにを期待するかではなく、……生きることがわたしたちからなにを期待しているかが問題」というような忘れがたい一節が、新しくみずみずしい日本語となって、随所に光をおびている。本書の読後感は一手記のそれではなく、すぐれた文学や哲学書のものであろう。 今回の底本には、旧版に比べてさまざまな変更点や相違が見られるという。それには1人の哲学者と彼を取り巻く世界の変化が反映されている。一度、双方を読み比べてみることをすすめたい。それだけの価値ある書物である。 (大滝浩太郎)
【くちコミ情報】
実体験を基にいかに生きるべきか?という提案
心理学者である著者が実際に経験した、 ナチスの強制収容所での体験記を邦訳したもの。 本書はまず強制収容所での実体験から、 そこで見出した生きる姿勢を述べている。 極限の絶望を味わうような生活の最中に、 そこで最後に生きる力を与えてくれたのは 「未来に対して目標を持つこと」 「今の苦しみに意味を見出すこと」ということだったらしい。 究極的に追い詰められた著者の言葉だけに、 非常に説得力を感じる。 また、あと数日で死ぬという女性のエピソードでは 「運命に感謝しています。だって、わたしをこんなにひどい目にあわせてくれたんですもの」 「以前、何不自由なく暮らしていたとき、私はすっかり甘やかされて、精神がどうこうなんて、真面目に考えたことがありませんでした」 と、人は極限の状況でも生きることに意味を見出せた場合、どんなにつらくても耐えられるのだな、とひしひしに感じられた。 また、生きる希望をなくした人たちが力もなくし衰弱していった様子も克明に描かれており、 まさに「姿勢」がすべてを決めるのだなと感じた。 読み物としても、哲学書としてもお勧めできる一冊です。
今自分のおかれた環境で何ができるか
V.E.フランクルの「夜と霧」(池田香代子訳、みすず書房)を読んだ。 アウシュビッツ収容所に拘留されていた心理学者の本である。 前の翻訳版には、ガス室で虐殺された人たちの痛ましい写真があって、気弱な私は、どうしても読むことが出来なかった。 死と暴力が隣り合わせにあった人の言葉は心を打つ。 収容所の話はあまりに酷いので想像したくない。気持ちが悪くなってしまう。 以下引用; 「わたしたちが生きることからなにを期待するかではなく、むしろひたすら、 生きることがわたしたちからなにを期待しているかが問題なのだ、ということを学び、絶望している人間に伝えねばならない。」pp129 「具体的な運命が人間を苦しめるなら、人はこの苦しみを責務と、 たった一度だけ課される責務としなければならないだろう。人間は苦しみと向き合い、 この苦しみに満ちた運命とともに、全世界にたった一度、そしてふたつとないあり方で存在しているのだという意識にまで到達しなければならない。だれもその人から苦しみを取り除くことはできない。だれもその人の身代わりになって苦しみをとことん苦しむことはできない。この運命を引き当てたその人自身がこの苦しみをひきうけることに、ふたつとないなにかをなしとげるたった一度の可能性はあるのだ」pp131 元気にご飯を食べられお風呂に入れる私は、ぶつぶつ文句をいっちゃあかんなと思う。 自分の人生に期待するのでなく、今のこの状況から自分が何をできるのかを考えると。 ちょっとだけ鬱っぽくなっている人にもお薦めしたい(がしかし、鬱病の人にはお薦めしません)。
旧版の方がいいのかも
たしかに内容は衝撃的ですが、すぐに読み終えてしまい物足りなく感じました。 他の方のレビューにあるように、旧版にはあった写真などが無くなっているのもかなりマイナスだと思う。 それにしても本当に恐ろしい話。
苦悩と死から導かれた、人間存在の真理
ウィーンで生まれ愛する妻と二人の子供との幸福を引き裂かれた、フロイトを師とする心理学者ヴィクトール・E・フランクルの強制収容所での心理学者的視点からの体験記。 人間存在の真理を垣間見、自分のこれまでの人生を振り返りました。第2次大戦で多くの人を失い、また殺した我々日本人は、本書を一読し個々人で何かを感じなければいけないと強く思いました。 以下、著者の言葉 ・その時、ある思いが私を貫いた。何人もの思想家がその生涯の果てに辿り着いた真実、何人もの詩人がうたいあげた真実が、生まれて初めて骨身にしみたのだ。愛は人が人として到達できる究極にして最高のものだという真実 ・人はこの世にはもはや残されていなくても、心の奥底で愛する人の面影に思いをこらせば、ほんの一時にせよ至福の境地に至れることを私は理解した ・私がこんなに愛したのは妻だけだ。夫婦でいたのは短い間だったが、その幸せは、今ここで味わわねばならなかったこと全てを補って余りある ・収容所にあっても完全な内なる自由を表明し、苦悩があってこそ可能な価値の実現へと飛躍できたのは、ほんの僅かな人々だけだったかもしれない。それがたった一人だったとしても、人間の内面は外的な運命よりも強靭なのだということを証明して余りある ・人間が生きることには、常にどんな状況でも意味がある、この存在することの無限の意味は苦しむことと死ぬことをも含むのだ (「たとえ苦しみばかりでも、そこに少しの希望が見えなくても、戦おう。生きるために、生きることをあきらめずに、最後まで力を振り絞って。その命、つきるまで」とは、父を癌で亡くしたヴァイオリニスト千住真理子さんの言葉) ・私たちはおそらくこれまでのどの時代の人間も知らなかった「人間」を知った。人間とは、人間とは何かを常に決定する存在だ。人間とはガス室を発明した存在だ。しかし同時に、ガス室に入っても毅然として祈りの言葉を口にする存在でもあるのだ
とても読みやすい
新訳で大変読みやすく、一気に読了してしまいました。 前半は主に体験談を、後半は心理学的知見を述べています。人生の意味を考える上で大変参考になる名著であると思いました。 参考になった言葉はたくさんありましたが、平易なものを一つ抜粋させていただきます。 -------- 抜粋ここから ------- …わたしたちは学ぶのだ。この世にはふたつの人間の種族がいる、いや、ふたつの種族しかいない、まともな人間とまともではない人間と、ということを。 -------- 抜粋ここまで ------- 収容所という劣悪環境においても善の態度を示すことができたにんげんもいることに感動します。 平和ボケした日本でも、まともでない人間が多くなってきました。仮に日本人が著者と同じ体験をしたのであれば極悪な行為に走る人間が多いのではないかと憂う今日この頃です。 身近な例では、最近(健常者であるにもかかわらず)車に身体障害者の車いすステッカーを貼っている方々が増えてきています。本来身体障害者のために設けられている身障者用の駐車スペースに平気で車を駐めることに何の抵抗も抱かない人が増えてきていることなど、現在の日本は何かおかしくなってきているのではないでしょうか。 上記はあくまで一例ですが「まともな人間」としていられるよう気をつけたいものです。
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【くちコミ情報】
薄さがいい。独特の文章は段々慣れます。
歴史好きな人は問題ないのでしょうが 装飾が多く、話が飛び、分かりづらかったです 私は歴史の常識がなく その為の教養書として読んだので、大変でした でも、今は文章にも慣れて、面白く読めます 歴史の本にしては珍しく、薄い文庫本なのも嬉しい。 クリスチャンの立場から見ても為になります 聖書だと「異教」「異教徒」の一言で片付けられている彼らも、 生活があり、信じるものがあったのだと、当たり前だけど思います
現代に通じる歴史書
紀元前8世紀から始まる、ローマの壮絶な歴史書。その頃、日本では文明が存在していなかった時代。ギリシアのクレタ文明は紀元前20世紀、エジプト新王国時代はしばらく後。中国の殷王朝時代は、紀元前1400年頃。 なぜ、ギリシア文明が潰えて、ローマに引き継がれていったのかを考えると、現代もまた同じ道をたどっているようにも感じます。王制から共和制などの時代を経て、戦争と平和の意味を考えることができます。ローマ人の物語を、歴史書として読むことができます。
ここから始まる大レース
紀元前後の古代国家でありながら、現代のイデオロギーにすら計り知れない影響を残した大帝国の、 一千年に及ぶ興隆から衰亡までを余さず描き出した物語。 一見際立った取り得を持たず、体格にもさして恵まれず、 多神教のもと極めて鷹揚な宗教観を持ち、風呂好きの魚好きのお祭り好きと、 なんとなく我々日本人には近親感の沸く特長をもったローマ人が主人公である。 彼らがいまだ棲み処も持たず、地中海世界を転々とするただの弱々しい集団であった昔。 ようやく中部イタリアの丘の上に安住の地を見出し、 そこに国家と呼ぶのもはばかられる、ささやかな集落を築いたその時から、 都市ローマと、ローマ人たちの、永い永い歴史は始まるのである。 彼らは始めから強大であったのではない。 ローマの周囲に存在した数多の諸部族、都市国家の間で右往左往しながら、 実にゆっくりと、少しずつ少しずつ力を備えてゆく。 その様を追ううちに、知らず知らず読者である我々は、 「我らがローマ」の心境で、手に汗にぎり声援を送ることだろう。 史上最大の帝国の、どこまでも壮大な物語は、 ローマ人と数多の英雄たちによって紡がれてゆくのである。
ローマの歴史が面白い
非常に読みやすい文章です。 ローマ成立の歴史についてわかりやすくまとめられています。そのなかの筆者の考察にとても同感できるものがあります。ローマの歴史って面白いですね。ローマを訪れたくなります。塩野さんの大作の一冊目ですが、こんなにおもしろいとは今まで知らなかったので、すぐに全巻読んでしまいそうです。この巻の最後はギリシャの歴史に関して手際よくまとめています。民族のちがい、政治の形態の違いがいかにその後に影響するかがわかり興味深いです。
ローマ人を読み解く諸前提
まず、この上下巻を読むことによって、以後のローマ人を通読する際の諸前提となる。 ローマ史を概観するためには、やはり順次読み解くのがよいと思われる。
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編年体の日本史事典
……として、たいへん役に立ちます。 もともと、通史の把握のため、高校レベルの教科書がほしかったのですが、なかなか購入することが困難です。 高校生から使用済みのを譲り受けるしかないのではないかと諦め、本書を購入しました。 地図や図版も多く、ちょっとした流れを確認するには充分です。 ただ、記述は簡略で、とても「詳説」とまではいかない。これだけで日本史を理解することは難しいと思います。 ある分野、いくつかの分野には精通しているが、大きな流れを確認したいという方にはお勧めです。
教養として
大学受験生向けに作られていると思うが、この本を使って受験生が勉強するのは良くないと思う。まず、内容が受験では問われないレベルまで突っ込んでいるからである。この本を使って日本史の勉強をするのは、はっきり言えば、時間の無駄だと思う。もっと薄い秀逸な参考書を当たるべきだ。しかし、この本は、一般教養として日本史を学びたい者にとって、非常に優れていると思われる。この本はちょうど、教科書と専門書の中間に属していると思う。専門書でなく、体系的にそれなりに詳しくかつ1冊にまとまっていて日本の歴史を学べるのは、そうはないだろう。そういう意味ではお勧めの著書だ。
あの山川の教科書準拠の参考書です。
記述だけなら、教科書で十分かも知れませんが、建物、仏像、絵画などのカラー写真が、新傾向の通訳案内士国家試験対策に役立ちます。何故か、現物を見に行きたくなる、夢多き本です。
「支配の配電盤」は変化しない。
趣味的にザッと一読した。感想は以下の如し。 日本人の大部分は、有史以来、ひたすら田畑で米や野菜等を作ってきた百姓民族だった。この「田=人」のセットが権力者の利権そのものだった。で、この利権取得と配分を巡って皇族、貴族、寺社、後に武士が、暴力的に争い続けた。この大部分の日本人とは無関係の利権争奪戦が「日本史」である。律令制は一種の社会主義だった。故に経済効率が悪く、分権的な私有経済体制になっていった。そして貴族や寺社が、荘園という特殊法人や大企業の如きものを作り私的に支配する超格差社会になった。その弊害が際立ち、民営化ならぬ「整理令」というものが出された。こうして社会が混乱するとその都度、最強力の武力を握った者が勝利し、変わり映えしないヒエラルキーと秩序を形成した。仏教も日本では神道とゴッチャになってしまった。神道には教義らしきものが無かった。故に権威(=天皇)と権力は分離されがちで、後者が前者の権威を借りるという統治形態が安定的だった。明治で再び律令制になったが、今度は文武の学歴貴族が同じことをしてきた。戦後の武力は外人が握っている。サラリーマンが百姓である。世襲貴族は少なく大学受験で特権校を出たものが疑似貴族になり、荘園=特殊法人、(天下り先)企業から搾取する。例外的世襲貴族は2世議員達で蔭位の制と荘園=選挙地盤を有する。現在、一種の「整理令」が出されつつある。要するに宗教的教義を持たぬほぼ単一の民族が「共同体」の成員として、羊の群れの如く、露骨な武力と天皇の空無的な権威により支配されてきたのが私の先祖の歴史であり、その支配者が時々シャッフルされて来たというのが全体像らしい。今後もこうだろう。日本史上最大の英雄が信長と龍馬なのは、この二人が、一瞬、この鬱陶しい支配の配電盤を叩き潰してくれたかも知れぬような幻想を与えるからだろう。この二人に共通するもの(配電盤をぶっ潰しうるもの)は、「徹底的なプラグマティズム」ではないだろうか。
参考書・教科書としては好著
参考書・教科書としては十分な内容が詰まっていると思います。センターや私大入試に必要なことは十分すぎるくらい載っています。全部覚えるのは無理かもしれませんが、レファレンス用としては有用です。ただ国公立大学の論述問題対策用としてはもう一つの感も無きにしも非ずで、論述問題にはさほど役に立たないこともあるかもしれません。またあくまでも限られた頁数で概説書として編集されているので、あまり史観が偏っていないのは良いのですが、各社から出ている20冊程度の日本通史や特定の主題に絞った新書に比べると記述が物足りないかもしれません。ですから趣味で歴史の本を読みたいという人には必ずしもお薦めしません。 ただし、本書を読んで一通り各時代についての知識を獲得すれば、世に流通する歴史本(特に歴史学者以外の書いた本)の水準がある程度は分かるというメリットは大きな物です。偏った政治思想から歴史のごく一面のみを扱うつまらない本が多数ありますが、この本で勉強するとそのような本がいかに狭い視野で歴史を語っているかがよく分かることでしょう。
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【くちコミ情報】
英雄同士の決戦
戦争とは外交の一手段。そんなことを言ったのはどこの誰だったか。しかし、この戦争に限って言えば、そうではなかったかもしれない。第二次ポエニ戦役は、天才ハンニバルの私怨により引き起こされた戦争だった気がする。 幼少の折、第一次ポエニ戦役でのローマに対する父の無念を晴らすよう神に宣誓したハンニバルは、28歳の時、双方の本国から離れたスペインでローマの同盟都市を攻略し、無理矢理カルタゴとローマの全面戦争に持ち込む。その後、アルプスを超えイタリア半島に侵攻し、次々とローマ軍を撃破し、蹂躙する。 国家が一人の天才の前になすすべも無く敗れるかという時期にローマに登場するのが、スキピオだ。ハンニバルより12も若いスキピオは、敵将を戦術の師とし、カルタゴ本国を攻略することによって、ついにハンニバルをイタリア半島から追い出すことに成功するのだ。 一人の天才によって戦争の形式が劇的に変わる様と、共和制ローマのシステムが最も有効に機能していた時代を知ることができる一冊。
第二次ポエニ戦役
地中海の覇権を失ったカルタゴは、スペインへと支配地域を広げていった。スペイン進出を主唱し実行したのは、第一次ポエニ戦役のカルタゴ側の英雄ハミニカル。ハンニバルの父であった。 スペインの支配を安定させたハンニバルは、ピレネー山脈を越え、ローヌ河を渡り、アルプスを越えてイタリアに侵攻した。本巻は、ハンニバル戦記と呼ばれる第二次ポエニ戦役を扱うものである。 稀代の戦術家といわれるハンニバルは、戦略にも長けていたようだ。彼の戦術・戦略のために、ローマは連戦連敗を重ね、ローマ連合を構成する都市国家の離反すら招いてしまう。 そのような非常事態にローマ人がどのように立ち向かったか。なぜ、ハンニバルはイタリアでの優勢を保てなかったのか。どうしてカルタゴはハンニバルを孤立させてしまったのか。そんなことに思いを馳せながら無我夢中で読んでいたら、あっという間に読み終わってしまった。
天才ハンニバルの登場
本書が面白いのは、それぞれの巻での主役が随分前から導火線のように伏線としてチョコチョコ登場してきていて、ドカンと主役に躍り出たときには読み手に早くも感情移入させることに成功している点だ。ハンニバルにしてもスキピオにしてもそれぞれの家柄、両親、幼いときから初めての従軍までを織り交ぜており「人間突如として頭角を現す奴なんていないんだ」と改めて思い知らされる。 戦術や戦略面、図などが充実していて想像力を掻き立てるが、その戦闘までの政治的過程も描いているために指揮官の顔やその人物を選出していくローマの内情までよくわかる。
大スターへの恋慕
ポエニ戦役の大スターである ハンニバルの活躍がふんだんに書かれているのが本書である。 塩野は 冷静な歴史叙述家である一方 時としてミーハーなまでに 歴史上の人物に惚れてしまう点が特長である。塩野が「ローマ人の物語」なる大長編に挑んだのも ローマ人を偏愛したからだと思うが 本書に限っては ローマ人と敵対した ハンニバルに惚れている点が良く分かる。読んでいるこちらも苦笑してしまうほどだ。ローマがおたおたしているのを 塩野は 幾分楽しげに描いている部分すらある。 但し 冷静な歴史叙述家の視点は忘れてはいない。ハンニバルの話も 単に戦闘の描写で済ましているわけではない。おそらく ハンニバルの話は「アルプスを象を連れて越えた」という 幾分漫談調に語られることも多かったと思う。それに対し 塩野は 冷静に ハンニバルが目指したものは ローマ帝国をローマ帝国たらしめた ローマ同盟の政治的撃破を ハンニバルが目指したとしている。 大スターに対して キャーキャー言っていながら 目が笑っていない塩野の顔が目に浮かぶ。
ハンニバル
名将ハンニバルの快進撃ぶりが、図表をまじえてわかりやすく書かれており、大変興味を持って読みすすむことができた。 ハンニバルに慌てふためくローマ人の様子が手に取るようにわかる。
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ハンニバル戦記
史上に燦然と輝くハンニバルの戦い。 上巻では、第一次ポエニ戦争を扱っているために、その導線 が引かれているに過ぎないが、読み物としての充実振りすこ ぶる高い。二十歳の頃は読みづらいと感じていた塩野女史の 文章だが、私の勘違いだったらしい。 大国カルタゴへの挑戦ともいえる戦いは、ローマにとって長 く過酷なものだったろう。同時に地中海の権益を一気に強く するという収穫もあった。 ローマの発展はとまらない。
戦争家の真骨頂
あのハンニバルである。幾度となく語られた彼だが、このようなスケールから描かれたことは、これまでなかった。常に、日本人好みの「ヒト」に焦点を当てたものが多いからだ。 でも、塩野は違った。というより、歴史は違う。もっと広大で深遠なシステムなのだ。これを喝破した彼女はすばらしい。 スキピオがハンニバルに「あなたは戦争の時代にはふさわしいが、平和の時代には必要ない」と言ったのは、的を得ているのだろう。
第1次ポエニ戦役とその後
地中海の制海権を巡って、ローマとカルタゴが激しく争った時代の物語。本巻では、第1次ポエニ戦役とその後のことが扱われていて、カルタゴがシチリアに持っていた権益をどのようにして失い、ローマがどのようにして地中海に覇権を唱えたかが分かりやすく描かれている。 この時代、シチリアをめぐる抗争が絶えなかったことは世界史で習った。しかし、どのような背後関係があって、どのような規模の抗争が行われたのかは聴いたことがなかった。本書は、シチリア勢力分布図を何度も示し、ある場所を確保することがローマやカルタゴにとってどのような意味があるのかを分かりやすく説明してくれている。 とても細かなところまで目が行き届いているのがこの本の特徴だと思う。印象に残ったのは、ローマ軍の宿営地建設のマニュアル化の徹底ぶりだった。 「ローマ人には、マニュアル化する理由があったのだ。指揮官から兵から、毎年変るのである。誰がやっても同じ結果を生むためには、細部まで細かく決めておく必要があった。」
歴史は面白い
本書はハンニバル戦記の序章が丁寧に書いてある。 地図や武器、勢力図などが分かりやすく散りばめられていて、読み手の想像力を刺激しながらもそれだけでは追いつかない部分をしっかりと補ってくれる。 ハンニバルやスキピオなどの歴史上人脈上の伏線を少しずつ織り交ぜながら物語が進んでいくので徐々に盛り上がっていく緊迫感が文章から伝わってくる。 船さえまともに操れなかったローマ人が独創的な海戦をこなせるようになるまでのスピードの速さは本当に凄い 他民族を潰さず受け入れるという路線がここでも成功している
ポエニ戦役前半戦
「ハンニバル戦記」(上)では ローマとカルタゴが シチリア島を巡って繰り広げた戦争の前半戦を描き出している。 第一次ポエニ戦役である。 塩野は カルタゴ=大国、ローマ=新鋭の挑戦者、 という明快な設定を行った上で 長きに渡ったポエニ戦争の第一部を書上げている。 塩野は「戦争くらい 当事者の国の民を裸にして見せてくれるものもないからである」と言っている。その為であろうが 戦争を書き出す塩野の筆致は鮮やかだ。 塩野自身は元来「歴史小説家」であろう。しかし 本書では「歴史小説」ではなく「歴史書」を目指している。戦争を書くにしても 「戦闘」を描き出すわけではない。歴史家の目と 小説家の創造力の両方を駆使して 「戦争」というものの本質に迫ろうとしている。 新鋭ローマが 大国カルタゴに勝利した点に関しては 塩野は両国の「考え方」に求めている。カルタゴが「閉じられた国」であったのに対し ローマが「開かれた国」であった点に 最大の理由を探している。 この塩野の「仮説」が正しいかどうかは ローマ史の素人である僕には分からない。但し この本から 僕が学んだ最大の内容は その塩野の「仮説」にあることも確かだ。 歴史から学ぶ点は多いと よく言われる。その好例が 本書である。僕はそう思っている。ポエニ戦役も 僕の勉強も まだ始まったばかりなのだ。
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難関私大志望者御用達の一冊
私大を狙うなら絶対にこの一冊。この本に半年すがっていたら早稲田でも9割超えました。 用語は完璧。で、この一問一答を一通り暗記したうえで、教科書を読むと「ああ、そうなんだ」とか「これは知らなかった」という案配で、流れもつかめ知識が補充されてこれで正誤問題も完璧。センターも満点です。 逆に言うと、この本だけでは流れがつかみにくく、わずかですが重要事項を掲載していないコトがありますので、本当にわずかですが、そこはご注意を。 この本だけでも大抵の私大の合格ラインは超えるでしょうが、教科書との併用でさらに一歩、日本史が得点源になることを知ってほしいです。 大まかなアウトラインをまだつかんでない人は教科書を先に読むというのも有効でしょう。 そんでもって、ここに出てくる以上の用語は覚えなくて結構ですよ。もちろん各人の判断ですが、これ以上覚えてもしょうがない。出たらあきらめる、それも要領でしょう。みんなできませんし。他の科目をのばしましょう。 ちなみに僕が始めたのは高3の八月、そのときの日本史偏差値は50。それでも万全の状態で受験に望めました。だから、日本史は間に合うから絶対に教科書と金谷の一問一答を何度も繰り返せば絶対何とかなるから、ぜひ買いましょう。そして、やりきってください。
最高の一問一答
他の一問一答より段違いに語句が収録してあります。文章中の語句も、目を通すだけで大分違います。 難易度が表示してあるので、私は★3つと2つの語句は書けるようにしたりと活用しました。 これさえ完璧にすれば消去法にも生かせます。
これはすごい
一問一答は、高校生のときに買わされたやつを使っていたが、労力の割りに合わなかった。 ところがこの一問一答はすごい!本当に的確な一問一答だ。 一問一答はたしかに手っ取り早く成績を伸ばすのにいいけど、これだったらさらに得点を10点上乗せするためにも有効だ。定番なのもわかる。
私大対策向き
入試データに基づいて作られているという点では実践的である。素晴らしい本である。ただし、この本はあくまでも私大入試向けで、センター試験までの人は必ずしも必要ないと思う。(用語の重要度を知るのにはいいが…)正誤問題の多いセンター試験では、用語の暗記ではなく、用語の内容・歴史事項の結果などを理解することが重要である。本のつくりに関して言えば、答が赤シートで消えないのが欠点である。自分の目指す目標に応じてこの本は使うべきである。
一問一答は間違いなくこれがBest
はっきり言って日本史の一問一答の中で最強の一冊。 教科書レベルの基本用語から早慶など難関私大で出るマニアレベルまで網羅している。ほとんどは難関私大の過去問から抽出されているため、実際の入試でどのような形で出るのかがよくわかる。この一冊を極めれば、他の一問一答を使用してる人とかなり差がつくはず。 ちなみに一問一答以外にお勧めなのはZ会出版の『実力をつける日本史100題』『攻める日本史』です。 日本史は頑張っただけ力がつくので頑張ってください
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Mr.レボリューション
細かな描写についてはフィクション・ノンフィクションあるだろうが、まず読み物として面白い。 また、本書を通して彼が選び辿った人生に心を揺さぶられた。人がここまで献身的で険しい選択をし、それを生涯貫くことができるのかと。 彼が敬愛される理由は、結果ではなくブレのない生き様そのものだろう。 彼を知るには持ってこいの一冊。
キューバ旅行
「キューバに一人旅に出てみよう。じゃあチェゲバラについて詳しく調べてみよう。」とこの本を読みました。実際にキューバで革命博物館を訪れてみると、チェの写真を見て涙が出そうになりました。いきなり「ゲバラ日記」を読んでも背景がわからず初心者向きではありません。この本には著者の強い愛がこめられていると感じました。
意外と近年の出来事
なんだと知ると、革命家であるとともに、女性を愛し子供達たちをも愛した た父でもあった。ゲリラ戦などというと近代の戦闘ではあたりまえのように きこえるが、彼等がつくりだした作戦なのかと知る。 わりと病弱であったとは、あの激しい気質から想像できにくい。 39才で銃殺刑になるのであるが。もっと年をとっていたように思われるのは 厳しい国と国とを戦いながら生きてきたからなのではないかと。 人間ゲバラであったのだなーと関心する。 ぜひ一読推薦いたします。
”不当に抑圧された人民を救う”ということ
”キューバ革命”を成功させた当時、チェ、カストロともに若干30代前半である。 当時米国資本の傀儡である”バティスタ政権”を、僅か数十人のゲリラ戦士を率い、その8割方を失いつつ、現政府に懐疑的な現地農民を引入れながら組織を膨らませ、”革命”を成功させるまでの道のりはまさに”奇跡”である。しかもそれは、”ファンタジー”ではなく、”実話”である。チェ自身も、その戦闘の当時、銃撃による”傷”を負っており、本書でもそのシーンが詳細に語られている。 元々アルゼンチン国籍であるチェが、何故キューバ革命の功績に名を連ねることになったのか、本書では、チェ自身の”旅人的性質”と、当時の”ラテンアメリカ全体”の”連帯感”もふまえ、その劇的な人生について、実に簡潔で正確な文体で、解り易く記されている。 星印の入ったベレー帽を被り、お洒落に葉巻をふかすチェは、タフで無欠な”完璧な革命家”と認識されがちだが、元来は、ファッションには全く無頓着で、生涯”吸入器”を手離せない虚弱な”喘息持ち”でもあった。 彼は、革命活動の最中、常にいつ”喘息の発作”に襲われるか解らない状態であるにも関わらず、軍を指揮し続けた。その後の稀有な革命成功後、各国との会談中、”発作”で倒れることすらあったという。そして彼が最期まで望んだのは、己の約束された”地位”すら捨て去り、”理想と共に生き、戦う人々と共に果てること”だった。文字通り、彼は、”自ら望んだ戦場”で最期を迎えた・・・。 ともすると”キューバ革命”は、”アカを目論んだ革命”と見なされがちだが、本書を読めば、それが明らかな誤解だと気付くだろう。 彼ら(チェ、及びカストロ)の第一の目的は、”不当に抑圧された人民を救う”ことそれのみであった。思想上の名目とは、本来その後に付いてくるべきものであろう。 チェは、生涯”個人的栄誉”には、全く無関心だったし、カストロは決して”自分の銅像”を建てさせようとはしなかった。 チェ・ゲバラの稀有な生涯のみならず、キューバという”強靭な異国”を知っておきたい方には、是非本書を購読願いたい。
革命家チェ・ゲバラの生涯
チェに関する多くの書物の中でも、まず最初に読んで欲しいのがこれです。とても解りやすく、バイブル的な書物といえよう。 一般的には、過去に世界中で起こった革命のほとんどは英雄というより、反逆者扱いされることが多く、一度政府を転覆させても、何年かすると革命自体が無謀であったことを庶民は悟る場合が多い。それは革命家が単に反政府勢力で政権交代だけを目指し、いざ政権を握っても上手く機能することが難しいからである。ただ、現在でも同様であるように、中南米カリブ諸国に限ることは反米政権と新米政権に2分されており、後者が多数派であるが、アメリカに反旗を翻しても何の利益もえられず、むしろ経済面では打撃をこうむることになろう。日本も言える事だが、現政権はアメリカとは良い関係で居ることに越したことはない。 チェはそんな新米政権とそれを陰で操る巨大米国資本企業に苦しんでいる人々のために革命を起こした。アルゼンチン人なのに傭兵(ゲリラ)として他の国のために戦うその姿勢がのちにラテン諸国を中心に共感を呼んだ。ただ間違ってはいけないのは、現在の多くのラテン諸国の人々の考え方はチェの思想自体に好感は持てても、革命によってアメリカに対抗することに対しては間違いと考えている。 この本を読んでチェのファンになる方は後を絶たないが、武器による革命はどんなことがあっても避けなければならず、現在でいえばテロ扱いされるだろう。アメリカ(アメリカ同盟国側)からみればチェもビンラディンも同じ扱いとなってしまう。
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| ローマ人の物語 (2) ― ローマは一日にして成らず(下) 新潮文庫
塩野 七生(著)
¥ 460(税込)
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ジャンル内ランキング:2,272位
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【くちコミ情報】
王制から共和制へ
ローマによるイタリア統一の過程が分かりやすく説明されている。ローマにとって最初の成分法となる十二表法成立の背後関係とか、ケルト人来襲によるローマ陥落とその後の復興などは、ローマ人の良い特徴が現れていると思う。 ローマが王制から共和制に移ってから、政体について動揺を繰り返していたが、リキニウス法の制定で政治的な安定を見る。共和制ローマを支える政治体制や税制、市民権の概念、インフラ整備についての考え方、他の民族との関係(ローマ連合の特徴)を、同時代の他の都市国家との比較検討することで、ローマの特徴をうまく描きだしていると思う
積み重ねています。
この巻の出来も立派だと思います。複雑な周辺事情をも正しい順序 で説明してくれているのでしょうかね。 お話はギリシアへの派遣視察団が帰国するところから続きます。前 449年十二表法の制定により、共和制ローマとして、ローマ人は歩 み始めます。塩野さんの説明がすごくわかりやすかったのは、この 共和制というのが、現在のフランスの共和制などとはまったく異質 の政体であるこというものでした。翻訳の問題なのだろうが、歴史 を志すものには重要なポイントなので、イメージだけでもしっかり 持ちたいところ。といいつつ私もすこし忘れている。しかし、彼ら の文明はこの時期に法律が必要なほど高いものだったとも考えられ るし、日本では成文法は聖徳太子の17条の憲法(604年)まで法律が なくても、モラルのあった生活をしていたとも考えられる。 ■ ともかく政体を変える事により、躍進するかと思った共和制ロ ーマなのですが、文化レベルでは蛮族と言わざるを得ない、ケルト 人により、壊滅的な敗北をすることになります。これが前390年の出 来事です。このケルト人は去年流行したceltic womanや、有名なenya もそうですし、もっとも好きなのはThe Chieftains等、他にリバー ダンスなどの文化の源流たるケルト人ですが、このころは蛮族でしか なかったんですね。しかし、この時期は森に棲む民族として、広く生 きていました。ドイツにも、スイスにも、フランスにも、スペインに も。375年にゲルマン人の大移動が始まるまでは、深い森の中でケルト 人は暮らしていたのですね。 さまざまな様子が事細かにかかれていて、非常に読後感も素晴らしい ものでした。
ギリシャから2000年以上経って
塩野が案内してくれるローマ史学の旅の二冊目。 ローマを語るにおいて 塩野はギリシャが欠かせないという。そんな塩野が 本書では まずギリシャをじっくり描いてくれる。 白眉はやはりぺリクレスであろう。塩野が紹介する彼の演説は 正直読んでいてため息しかでなかった。特に好きな箇所を抜き出す。 「われわれは美を愛する。だが 節度をもって。われわれは知を尊ぶ。しかし 溺れることなしに。われわれは 富を追求する。だが これも 可能性を保持するためであって 愚かにも自慢するためではない。 アテネでは 貧しいことは恥ではない。だが 貧しさから脱出しようと努めないことは 恥とされる。」 かような発言が2000年以上前にあった点で 人間は大したものだと感心する。一方 それから2000年もの間 いったい人間は進化してきたのかと いささか絶望感も覚える。 こんな |